Peter Scholze ピーター・ショルツ
ピーター・ショルツ(Peter Scholze)氏は、 1987年生まれ。24歳でボン大学の教授に就任しました。これはドイツ国内で最年少の教授記録です。
- フィールズ賞受賞: 2018年、30歳の時に数学界のノーベル賞とされるフィールズ賞を受賞しました。
- 現在の役職: 現在はボン大学の教授に加え、マックス・プランク数学研究所の所長を務めています。
主な数学的領域
1. パーフェクトイド空間 (Perfectoid Spaces)
- 解説: 数的性質が特殊である素数を「p進数」として独立させ、「正標数(有限体上の関数体)」の幾何学的対象へとgeometrizationするための一連の様式を厳密に構成。
- 標数0(複素数)の問題を標数p(素数)の問題に変換して解き、その結果を可換性のある型として利用することができるようになりました。(Tilting Equivalence)
Perfectoid Spaces and their Applications-Peter Scholze
https://people.mpim-bonn.mpg.de/scholze/ICM.pdf
2. ダイヤモンド (Diamonds)
- 解説: 幾何学において、ある空間を別の空間で割ったものは、しばしば図形としての形が崩れます。ショルツは、パーフェクトイド空間を特定の位相(pro-étale 位相)で割ったwell behavedな対象を「ダイヤモンド」と名付けました。
- これにより、これまで「図形」として扱えなかった非常に抽象的な数学的対象(スタックなど)を、幾何学的な「空間」として一般化して扱えるようになりました。
ETALE COHOMOLOGY OF DIAMONDS -PETER SCHOLZE
https://people.mpim-bonn.mpg.de/scholze/EtCohDiamonds.pdf
3. 凝縮数学 (Condensed Mathematics)
ダスティン・クラウスン(Dustin Clausen)氏と共に提唱している、数学の基礎を再構築する新しい枠組みです。
- 解説: トポロジー(位相空間論)と代数(群や環)を融合させる際、従来の「位相空間」という定義では、代数的な計算(ホモロジー代数)と相性が悪いという問題がありました。これを解決するために、位相空間の代わりに「凝縮集合」という概念を土台に据えることを提案しています。
- 重要性: 数学のあらゆる分野に現れる「連続的なもの」を、代数的に表現できるようになります。前述の「Liquid Tensor Experiment」も、この理論の正しさを証明する一環です。
Condensed Mathematics and Complex Geometry- Dustin Clausen, Peter Scholze
https://people.mpim-bonn.mpg.de/scholze/Complex.pdf
https://www.math.uni-bonn.de/people/scholze/Condensed.pdf
4. p進ホッジ理論 (p-adic Hodge Theory)
複素数上の幾何「ホッジ理論」を、p進数の世界へ拡張したものです。
- 解説: 代数多様体(方程式の解の集合)が持つ「形(コホモロジー)」の情報を、異なる視点から分解・統合する理論です。
- 重要性: ショルツ氏はパーフェクトイド空間を用いることで、この分野の未解決だった難問(ウェイト・モノドロミー予想の一部など)を解決し、理論を大幅に簡略化・一般化しました。
TOPOLOGICAL HOCHSCHILD HOMOLOGY AND INTEGRAL p-ADIC
HODGE THEORY -BHARGAV BHATT, MATTHEW MORROW AND PETER SCHOLZE
https://people.mpim-bonn.mpg.de/scholze/bms2.pdf
5. ラングランズ・プログラム (Langlands Program)
- 数論(Galois表現)と解析学(保型形式)の間に深い関係があるとする壮大な予想群です。
- ショルツ氏は「局所ラングランズ予想」において、ダイヤモンドなどの自身の道具を駆使し、幾何学的な手法(幾何学的ラングランズ)を数論の世界へ持ち込むことで、この巨大なパズルの重要なピースを埋め続けています。
GEOMETRIC LANGLANDS-Peter Scholze
https://people.mpim-bonn.mpg.de/scholze/Exp1252_Scholze.pdf
Condensed Mathematicsのleanによる証明
https://github.com/leanprover-community/lean-liquid

