失敗の理由は有限であり、成功の理由は無限である。
失敗の理由は有限であり、成功は無限である。成功のエッセンスが人間から分離された時、人はなぜその成功が空間、時間を超えて連鎖するか全容を認知することができない。情報が宇宙の演算シーケンスそのものまで抽象化された時、その情報を記号化して説明できるようなコルモゴロフ最小記述は存在しないのである。
失敗の原因は有限である。成功の原因は無限である。失敗は有限個のコンフリクトとして記述できる。成功はコンフリクトを回避した経路の集合であり、その経路数は数えることはできるものの、事実上無限である。成功のエッセンスが人間から分離された時、認知の閾値を超える。人はなぜその成功が連鎖するか理解することができないまま成功に相乗りする。そしてチューリングマシンのアルゴリズムがいつ止まるのかを判定するアルゴリズムが存在しないのと同様、成功のアルゴリズムは止まるまで続くのである。
1. アンナ・カレーニナ
文豪トルストイの小説『アンナ・カレーニナ』の冒頭
「幸福な家庭はどれも似通っているが、不幸な家庭はそれぞれにその不幸の形が違う」
これは演算資源が限定的な時代の観測である。一方、現代的で、演算資源が豊富なディストリビューテッドコンピュテーションからの観測はこうである。
「不幸な家庭はせいぜい有限数で類型化できるが、幸福の形は無限である。」
個々の人間(=演算資源が限定的なノード)から見れば、「なぜうちの家庭(あるいは会社)だけがこんな特殊な目に」と、目の前の不幸が固有のバグに見える。しかし、全体を俯瞰する分散システムから見れば、話は完全に真逆である。
失敗の要素: 資金ショート、チームの不和、市場調査不足など、致命傷になるクリティカルパスはパターン化されており、数に限りがある。
成功の要素: それらすべての地雷を奇跡的に回避した上で、時代、運、タイミング、ネットワークなどの「無限の掛け合わせ」がカチッとハマった時に想像以上の成功が生まれる。
2. 充足可能性論理
失敗の原因が有限な理由: どれか1つでも「0」にすれば成立するため、バグや致命傷の箇所(原因)を特定しやすい。(SAT solver)
成功の原因が無限な理由: すべての要素をプラスに保ちつつ、それをどう組み合わせるかのパターン(無限の可能性)はNP-completeである。
失敗の有限性
過去の偉人や他人の失敗談、ケーススタディを2-SATで簡単に検証する。過学習や深い理解は必要ない。論理的矛盾をつけば良いだけである。実行はSATソルバーのCDCLで進める。衝突があればその枝を刈り取る。
成功の無限性:
「これさえやれば絶対に成功する」という単一の正解は存在しないと知る。だからこそ、自分の頭で考え、無限の組み合わせを試行錯誤し続ける。失敗の原因という「明確な敵」をしっかり防ぐことだけで、無限に広がる成功へのルートは自動的に道が開いていく(コンフリクトを避け、残った道)
新たな書籍を執筆する過程で、書けば書くほど自己論理が厳密にどの理論からの可換性を持つかのゲシュタルト崩壊を起こしていった。そもそも、厳密と推定される数学界であっても、論文定義が時代やコンテクストによって変わっており、厳密には本人が語っていない単語が後世の引用で語られることがわかってくる。そうすると引用される論文自体もある程度の数理的堅牢性があるにせよ絶対的ではなく時代を超えて引用され続けたという確率的な計測にしか真の理由がないことがわかってくる。
ある数理モデルや理論が時代を超えて残っているのは、それが絶対的な真理だからではなく、たまたま多くのノードに長期間レプリケーション(複製)され続けたというビザンチン将軍問題的な生存確率の結果にすぎないという不都合な現実はAI時代が進むにつれて明らかになるかもしれない。本人が言ってもいない定義が時代の後半で後付けで肉付けされ、歴史的に「最適化」されていく。そして後世の数学者はアーベルやチューリングを全知全能の天才視するのである。しかし、原典を見てみればそれはやはり20歳前後の青年が日々の生活の中で気づきそうな素朴な発見の論文であることが確認できる。
つまり、私が私の理論を強固にしようと引用しようとした「足場」自体が、最初から決定論的なオブジェクトではなく、確率的なゆらぎの塊であるということがわかってしまった時、何を足がかりとすれば良いのかという前提が揺らいでいく。
完成したタナークの理論を出版するにしても数学者はこれは厳密には数学ではないというだろうし、コンピュテーション産業のど真ん中にいる人はコンピュテーションの理論とは違うというだろう。経営者はこんなの経営ではないというだろう。
そうするとこの理論が仮に純利益として大成した時としても、その理由を認知できる人間は誰一人としていない(著者ですら認知できない)。ここで識別できる事実は、どの領域の専門家であってもこの理論は理解できなかったが、機能したというMIP*=RE的な証明形式である。もしこの理論の停留が量子もつれ対話証明を取ったとしても既存の系に対して独立しているということが証明できた時、absolute elsewhereから地球に着陸したgroundismとして、目的は達成されるのである。

