Primordial Black Holes: PBH 原始ブラックホール

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Primordial Black Holes: PBH 原始ブラックホール

物理学の理論上、温度には「これ以上は上がらない」という絶対的な上限(最高の温度)が存在します。 どこまでも無限に上昇するわけではありません。

最低の温度が「絶対零度(-273.15度)」と決まっているように、最高にも限界があります。この宇宙の最高温度は「プランク温度」と呼ばれています。

1. 宇宙の最高温度「プランク温度」とは?

現代の物理学(量子力学と一般相対性理論)が破綻せずに計算できる限界の温度を「プランク温度」と呼びます。

  • プランク温度: 約 $1.4 * 10^{32} 度(1.4の後に0が32個並ぶ温度)

これは「ビッグバンが起きた瞬間の宇宙の温度」であり、これ以上の高温はこの宇宙には存在できない(存在したとしても現代の物理学では記述できない)とされています。

2. なぜ無限に上がらないのか?(限界の理由)

① 温度は「粒子の震え(スピード)」

物質を温めると、それを構成する原子や素粒子が激しく動き回ります。つまり、「温度が高い=粒子の動くスピードが速い」ということです。

② スピードの上限は「光の速度(c)」

アインシュタインの相対性理論により、この宇宙のあらゆる物質は「光の速度(秒速約30万km)」を超えることができません。温度を上げていくと粒子のスピードはどんどん上がりますが、光速に近づくと、今度はスピードが上がる代わりに「粒子自体が重く(エネルギーが大きく)」なっていきます。

③ エネルギーが限界突破すると「ブラックホール」になる

アインシュタインの E=mc^2 の通り、エネルギーと質量は同じです。プランク温度に達すると、粒子の持つ熱エネルギー(質量)があまりにも巨大になりすぎて、粒子1個1個が自分自身の重力で「ミニ・ブラックホール」になります。粒子がブラックホールになってしまうと、それ以上「激しく震えて温度を上げる」という物理現象そのものが成り立たなくなります。これが、温度が無限に上がらない理由です。

💡 結論

温度とは、物質のエネルギー状態です。絶対零度が「粒子の動きが完全に止まった状態」という限界であるならば、最高温度(プランク温度)は「エネルギーが限界まで詰まりすぎて、粒子速度が光速に達する、またはエネルギー密度が最大となって空間と物質がブラックホール化して崩壊する状態という限界があるます。宇宙のルールによって、温度の上限はしっかりとロックされています。

Primordial Black Holes: PBH

ビッグバン直後の超高圧・超高温の宇宙では、その場でブラックホールが大量に誕生したと考えられています。

これを、星が寿命を迎えてできる通常のブラックホールと区別して、「原始ブラックホール(Primordial Black Holes: PBH)」と呼びます。これがなぜ生まれ、今どうなっているのかを解説します。

1. なぜビッグバン直後にブラックホールができるのか?

通常、ブラックホールは「巨大な星が寿命を迎えて大爆発し、中心部が自重で潰れる」ことで生まれます。

ビッグバン直後には、周囲の圧力に耐えかねて、星の寿命を待つまでもなく、その場で空間ごとベコッと凹んでブラックホールになる現象がおきます。これが宇宙開闢から1秒未満の間に起きたと考えられている「原始ブラックホール」の誕生メカニズムです。

2. そのブラックホールは今どこにある?

ビッグバンの超高圧から生まれた原始ブラックホールは、その生まれたタイミング(宇宙の密度)によって、大きさがバラバラでした。

  • 手のひらサイズ(山ひとつ分の質量)のブラックホール
    • もしこれくらい小さな原始ブラックホールができていた場合、それらは宇宙の歴史(約138億年)の間に「ホーキング放射」という現象でエネルギーを放出し、すでに蒸発して消滅してしまったと計算されています。
  • 小惑星〜地球サイズ、あるいは太陽サイズのブラックホール
    • これくらい大きければ、138億年経った現代でも蒸発せずに宇宙を漂っているはずです。

実は、この生き残った原始ブラックホールこそが、現代天文学の最大の謎である「ダークマター(暗黒物質)」の正体なのではないかという説があり、世界中で激しい観測・研究が行われています。

💡 1970年代にホーキング博士が予言

この「ビッグバン直後に超高圧でブラックホールができる」というアイデアを1970年代に理論化したのが、スティーヴン・ホーキング博士です。博士は、ビッグバンの凄まじいエネルギーによって極小のブラックホールが生まれ、それが現代までに蒸発していく過程でガンマ線を放つはずだ、という理論を打ち立てました。