メンタルリミッターを解除する方法ー目的関数の設定

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メンタルリミッターを解除する方法ー目的関数の設定

なぜ負け癖が定着してしまうのか

失敗したり、負けたりして悔しいと思わない人は子供ではほとんどいない。誰もができるようになるまで繰り返す。しかし成人した大人の、事業や経営においては負けて悔しいと思っても勝つまで続けられない。勝ちたいと思っても途中でそのことを忘れてしまい、日常の慣性に戻ってしまう。負けるのが癖になってしまっている。これが積み重ねられると赤字体質が抜けないなど、さまざまな「不自然」が生まれてしまう。目標を設定したところで、目標に向かうことができず、結局は過去の慣性を実現することしかできず、いつもの日常に戻ってしまうのである。日常の軌道から外れることをするのはとても難しく、気がついたら記憶喪失のように元に戻っている。

自由意思は負け癖を許容しない

自然な自由意思は負け癖を許容しない。常に目標実現するのが自然な状態である。基本的には目標が間違っているから実現できないのである。

主にこれは物理の最小作用原理を拡張したTANAAKKのLAP(Least Action Principle™)では三つの関数で説明できる。全ては自由意思(アテンションの可動域)から始まるものの、自由意思を適切に制御するために以下の3つのフレームワークが役にたつ。

  1. 目的関数(ゴール)
  2. 評価関数(グロースメトリクス)
  3. 損失関数(LAPに対するエネルギー損失学習)

目的関数の設定ー未来の記憶を強く思い出す

未来は複雑であり、認知できないということを前提とする

最初の前提として、望む未来を具現化するというのは複雑系であり、人間の体という限られたリソースでは全容を認知することのできない現象である。全容を認知することが不可能な現象を、Complexity Reductionして数理的に捉えるのである。例えば、所属している企業の業績を10倍にするという目標は、実際に10倍になった後の今と、10倍になる前の昨年を比較してみるとよくわかることだが、昨年は想像もしていなかったような日常がかなり上方で固定化されている。10分の1だった昨年からみると、位置ポテンシャルはかなり高く、あたかも空に投げたボールが空で固定化されたような状態である。

組織業績を10倍にするときに、個人の体験と紐付けないと認知できない

また、この位置ポテンシャルの具現化は個人の体に紐づいていないと認知できない。例えば、企業の業績が10倍になるとすると、年収が10倍になるとする。しかし、年収1億円になったことのない年収1000万円の人には、年収10倍というのも実は認知することができない。年収1億円という結果の周辺には、自分の周りの同僚がどのくらいの年収になっているかとか、取引先がどうなっているかもそうであるし、どこに住んでいるか、誰と過ごしているか、何を食べているか、移動は電車なのかバスなのか、タクシーなのか、ウーバープレミアムのアルファードなのか。生活を彩る匂い、音、味、手触り、景色が全て異なっている。実際にこれを具現化するには、10倍になった後の未来を具体的に知覚しなくてはならない。10倍の違いとは、考えられうる限り99%くらいの日常が全て違うということである。

目的関数の多要素設定

目的関数とは、多要素、多変数によるゴール設定であり、ゴール設定とは、端的に言えば「記憶」である。この未来記憶に手触りがあったり、匂いがあると、想起できる。一方、言語による未来の記憶は簡単に記憶喪失になってしまい、より感覚的臨場感の強い「昨日」や「今日」に強く作用されてしまうことになる。つまり、目標関数を設定するということは、実は「現在」に生きるよりも、過去から未来において、一貫する自己を形成するために、遠い過去の記憶や遠い未来の記憶を「思い出す」ことに近い。

目的関数が現実に即しているか

未来において実現すべき目的関数を昨日のことのように想起できるようにするためには「記憶のテクニック」のようなものが必要になる。複雑なことは記憶できないし、現実にあり得ないようなことは記憶できない。例えば3年後に年収1億円になりたい時に、アーキタイプのような、運転手付きのロールスロイスのガソリン車に乗りたいという記憶は、過去のイメージからくるアーキタイプであり、これは未来において現実化している可能性がかなり低い現象である。未来において現実化しているとしたら、基本的には地球環境にやさしい車に乗るはずであるし、運転手を専属で雇って、自分の用事が終わるまで待たせるという効率の悪いステレオタイプの雇用は人不足の未来においては実現しないし、スケールもしないであろう。未来において実現しうるのは、乗りたい車にいつでもどこでも時間も場所を気にせずに乗れるという未来であり、それはもうすでにウーバープレミアムである程度実現されているかもしれない。スーパーカーを何台も所有するようなライフスタイルは、1900年代で、豪邸を買ってそこに根付くような生活であればよかったかもしれないが、2000年代のライフスタイルは自分自身がどこに住んでいるかわからないような生活であり、車を持っていることが自由の制限になってはいけない。

望まない未来を目的にするリスク

別荘所有もすでにシェアリングになっているし、豪華な別荘は、自らを掃除や設備のスタッフ雇用の管理人にしてしまう。金を稼いで施設の管理人になりたい訳ではなかったはずであるから、欲しかった豪邸と引き換えに不動産管理者になるようでは効率が悪い。また、コンシェルジュやサービススタッフに部屋の掃除を毎日依頼しているとそのうち占有意識が出てきてしまい、自分の家だったにもかかわらず、掃除する人たちのプライベートスペースになってしまうのである。しかも、どんな豪邸だろうと大体1万平米以上は超えない。そうすると国立公園も含んだ敷地面積が10万平米を超えているリッツパリや、アマンやフォーシーズンズには見劣りしてしまうのだ。

金を稼ぐ以上、世界で1000番目に大きな家を建てても意味がないだろう。世界一になるという位置ポテンシャルがないと失速してしまう。豪邸を持つというビリオネアのステレオタイプはもしかするとその人自身の目的関数のポテンシャルを制限してしまっているという未来になりそうである。そうすると、広い家を持つ、欲しい車を持つ、住みたい場所に住むなどのアーキタイプはせいぜい年収1億円くらいまでしか実現できない目標となる。年収10億円や年収100億円といった大きさも含むような整合性を実現することができなければ目的関数の最小作用は発揮されない。

つまり、望まない未来を目的関数として設定してしまうと、容易に位置ポテンシャル(やる気)を失う。

未来と現在で変わらないものを目的関数に設定する

例えば、調達しうる最高品質のさまざまな土地で取れたうまいものを食べるという方が未来においても食べるという活動は普遍的であるために比較的整合性が高いかもしれない。

あまり打ち合わせを入れることなく、好きなときに旅行しながら純資産だけが増えていくという目標設定も普遍的である。「上場する」という未来の記憶設定は明確なようでかなり漠然としている。上場というのもオーナーとして自分は経営せずにポートフォリオを上場させれば時間の自由を保てるが、自分が代表者として上場すると、その後20年の未来の時間を拘束されることになる。上場した後でこんなはずではなかったと感じてしまうと、位置ポテンシャルは拘束され、未来に推進する力を失ってしまう。ストックオプションがないなら会社を辞めるという交渉をしながら上場企業のポジションを交渉するのは、目的設定に関する損失関数があまりにも大きすぎて、容易に是正できるものではない。未来の記憶を的確に作り上げることは簡単なようで難しい。会社の年商を10倍にする、プロダクトを10倍にスケールするという目標は、自分の生活の自由が増強されない限り、自分の人生の外側にある関係のない数字なのである。

「意思」の内在的強さ

宇宙のあらゆる物質が同じ空間から生成されているとすると、あらゆる物質は原子数が違っても同じ原料の編み方とエネルギーの閉じ方の違いということになる。その一方で、人間や動物が、ある小さな物質を動かして新たな建築物を作ったり、物を意図的に自分に有利になるように動かすというこの行為こそ、宇宙の中ではイレギュラーで貴重な行為である。「人間や動物が意図的に物質を動かす」という行為は、宇宙の一般的な物質運動(熱的拡散・重力収束・エントロピー増大)とは明確に異なる「構造的反転現象」である。したがって、目標関数を設定し、望む方向に「運動」するというこの一連の動作は宇宙の中でも稀有な作用と言える。作用するからこそ反作用としてのフィードバックを広域に得ることができる。ただし、そのフィードバックは認知しやすくは表現されない。

  • 電子も陽子も、エネルギー場の「局所的な結び目」。テーブルクロスの一部が折り曲がったようなもの
  • 原子や分子は、その結び目の多体干渉パターン
  • 「物質の違い」とは「編み方(トポロジー)」と「閉じ方(エネルギーの安定化様式)」の違い
  • 宇宙のあらゆる物質は同じ「布地(場)」の模様の違いに過ぎない。
  • 人はその結び目を動かして、組み立てることができる

意図的に物質を動かす行為の異常性

宇宙全体の傾向はエントロピーの増大、すなわち「秩序が拡散する方向」に進みます。しかし、人間や動物はこれに逆行。

  • 食物を摂取し、エネルギーを取り込み、局所的に秩序を増やす。
  • 体を動かし、外部の物質配置を再構成する。
  • さらには建築物・都市・情報体系といった高次構造を意図的に作る。

この行為は、「熱的宇宙」における秩序の局所的逆行。

「意図」という物理的異物

物質そのものは明示的な意思を持たない。(もしかすると人間が認知できないスケールで「考えている」可能性はある。)生命、特に人間は、エネルギーを「目的に従って配分」する。

  • 石が落ちるのはエネルギー勾配による自然現象
  • 人間が石を積み上げて家を作るのは「情報によって方向づけられた勾配操作」

したがって、意図=情報の非対称性を生むエネルギーの指向性であり、これは宇宙の中では極めて珍しい(イレギュラーな)現象。

生命と知性は「宇宙が自分を編集する手」

この観点から見ると、生命や知性は、宇宙が自らの構造を「内側から再編集する」手段とも解釈できる。つまり、人間が建築物を立てるのは、宇宙が自らの中に現れた“自己編集アルゴリズム”による創発的行為。物質は「同じ原料の異なる編み方」であり、生命はその布を自ら編み替える手である。したがって、人間や動物が意図をもって物質を動かす行為は、宇宙全体の流れの中で見ると極めて希少で、「宇宙が自らの形を変えようとする意思の発露」ともいえる貴重な現象である。人間は地球スケールというミクロの情報を自らの好きなように整列させ、まるで結界を構築したかのように、宇宙全体の配置も最適化させていく。

以上の理解を元にしたときに、評価関数と損失関数がどのように目的関数の設定を具現化するのに役立つかを説明する。

関数定義役割
目的関数どんな未来を実現したいかエネルギーの位置ポテンシャルを定義する(未来の記憶)
評価関数どの指標で進捗を測るか、正しい結果に対する報酬で学習の方向づけをする意図の整合性を判断する
損失関数どのような誤差・摩擦を減らすかエネルギーの無駄を検出・再配分する

三つが整合(alignment)していないと、ポテンシャルエネルギーは拡散し、行動が続かない。すなわち「目標を立てても元に戻る」のは、構造上の自然現象なのである。

目的関数の設定 — 未来の記憶を強く思い出す

望む未来を具現化するとは、複雑系の再編成である。人間は、自身の体と知覚に紐づかないスケールを認知できない。例えば、「年収を10倍にしたい」「会社の売上を10倍にしたい」という目標は、それを構成する匂い・音・味・手触り・風景・会話・時間の流れを伴わなければ記憶化できず、結果として「臨場感のある昨日や今日」に意識が再吸収される。

目的関数とは**“未来の記憶”**である。それを「リアルに思い出せる」ほど直接的に触れる(明確に描くだけでは不十分)ことが、第一条件になる。

そしてこの第一条件は最終条件であるといっても過言ではない。残りの評価関数と損失関数は目的関数が適切に設定された時のみ効果を発揮し、そうでない場合は逆にテクニックに溺れてしまう邪魔なツールになってしまう。

未来の記憶を構築する手順(目的関数の正確な設定)

  1. 手触りのある未来像を作る
     ― 触れた未来を五感情報で記述する。ただし、視覚は可視光線に過度に依存する思考方法であることと、視覚の興奮は交感神経に過度に依存してしまうため、視覚への依存度は下げたほうが良い。「ビジョン」や「イメージ」とはいうものの、「絵」はかなり「遅い」コミュニケーション方法である。本当の未来像は音、味、匂い、手触りで認知したほうが良いだろう。
  2. 非整合なアーキタイプを排除する
     ― たとえば「運転手付きロールスロイス」は過去の象徴であり、未来との整合性が低い。
  3. 持続可能な未来像に置き換える(タイムレスネス)
     ― 未来に実現しうるライフスタイル(共有・効率・自由)をベースに再構築する。
  4. 生活構造を伴う未来の記憶にする
     ― 食事、移動、空間、時間の使い方などを未来スケールで想起する。

未来とは外側にある目標ではなく、記憶として内部に存在する構造である。天敵がいない野生動物は視覚に依存していない。未来設計をするにあたっては内的感覚を優先したほうが良い。視覚に依存するのは天敵がいる動物である。視覚によって作られた情報は興奮度が高く、維持するのにエネルギーが必要な点で、視覚以外で作られた目標に劣後する。未来設計を有利に進めるには、顎を開いて、目や鼻の周りの筋肉を緩め、顔の中の骨や関節をミクロン単位で動かせるようになるべきだろう。

評価関数 — 目的を支えるグロースメトリクス

目的関数を支える評価関数は「進化の軌跡を測るもの」であり、金額・人数・KPIのような数値だけでは不十分である。重要なのは、多格子的評価(multi-lattice evaluation)、すなわち複数の軸を持ちながらもトポロジカルには目的関数に合一する状態。

  • 経済的成果(ROIC, IRR, Growth& Operating Leverage)
  • 顧客満足、技術的進化、社会的意義
  • 地球環境、社会的ボトルネックの解消

これらが一つの位相空間で滑らかに接続されていることが重要で、個々の指標が分断すると、目的の整合性が失われてしまう。さらにこれは幾何学的なフラクタルなものではなく、現代的な多格子型というのはトポロジカルでなければならない。例えば、言葉を知らない子供にも賛同され、金融のプロにも賛同されるとともに、後期高齢者にも賛同されるようなものである。特に目的関数に対する適切な評価関数を設定するにあたり、身近な親族や友人の評価関数についてはメスを入れないといけない。無意識のうちに他人の評価関数を取り入れ、自己の目的関数と整合しない評価関数を無意識のうちに自動運用している可能性がある。評価関数は報酬条件とも言い換えられる。返答する、無視する、金銭や賞賛を得るなどの短期的報酬は目的関数に沿うものでなくてはならない。特に自分に報酬を与える条件は重要である。この自分に与える報酬をDCF的に時間を畳み込むような条件にすることで競争相手に先んじる行動を取ることができる。まだ現実が至っていなくても必要十分条件が満たされれば報酬を与えてしまうのである。

損失関数 — エネルギー散逸を再利用する

損失関数は「誤差」や「失敗」の情報を再利用する関数である。損失は本来、削除すべきノイズではなく、学習信号である。

  • 失敗を恐れる → エネルギーが摩擦として消失
  • 失敗を再構成する → エネルギーが回収され、構造が強化される

つまり「悔しい」「うまくいかなかった」という感情を燃料化できるかどうかが、持続的成長の分岐点となる。損失関数を適切にチューニングできる人は、摩擦を「発熱」ではなく「推進力」として利用できる。

意思の物理的特性 — 人間は宇宙の逆流構造

宇宙のあらゆる物質は、同一の“場”から生成された「エネルギーの結び目」だとする。その中で、人間や動物はミクロスケールの「意図」を持ち、物質配置を再構成できる。星や無機物も長期スケールや長大スケールでは考えており、再構成している可能性はある。宇宙の自然な傾向(エントロピー増大)に逆行し、秩序を局所的に増やす行為―それが「意思」や「経営」のコア力学。

目的関数をもって世界を動かすことは、宇宙の中でもイレギュラーで貴重な行為と言える。

メンタルリミッター解除の結論

自由意思は空間とは別次元にあるエネルギーであり、目的・評価・損失の整合がLAP的に成立したとき、人は望む結果を具現化することができる。

  • 目的関数:未来の記憶に触れる
  • 評価関数:目的関数に連続する多軸指標を設計する
  • 損失関数:摩擦を学習エネルギーとして再利用する

この三者がトポロジカルに整合したとき、「勝ち負け」という概念を超え、人は「はじめから勝利に座す存在」へと戻る。なぜなら、実現しようとしている目的関数や評価関数が最初から整合しており、あらゆる損失は学習キャリブレーターとして機能するからである。目的関数が最初で最後の砦であり、目的が全てである。目的は100%重要であり、その他の評価関数や損失関数は目的の如何によってどのように貢献するか(または足を引っ張るか)が決まる。

目的設定が良くないと、全てズレる

大手と言われる請負企業やソフトウェア企業はクライアント企業の目的関数(ROIC,IRR)とのアライメントの重要性を忘れているがゆえに、ベンダー有利の提案(評価関数の優先)をしてしまうことで逆にサステナビリティのない契約が増えて自己統制できず最後は自滅してしまう。

増収増益せよという圧力がいかに外界からかかったとしても、組織の特性から取れる契約は決まってしまう。重力的な組織のデータスキーマの方が重要であって、営業やリサーチレポート人員を増やしたところで、熱力学的に気持ちを興奮させて取り続ける契約にはオペレーティングレバレッジが発生しない。組織の器で取れる契約以上の人員を雇用をするのは目的関数に対して評価関数が優位してしまう非整合状態である。国民主権、個人の占有権の組み合わせが組織の目的関数を総体的に構築しているが故に、個人レベルでの目的関数が最適化できないことには組織の目的関数は最適化されない。

このようにあらゆる経済に関わる出来事は目的関数、評価関数、損失関数によりフレームワーク化できるであろう。自由意思を実現するために3つの集合変数で表現できるのであるが、運用しようとすると複雑系を扱うことになるため、容易に道に迷い込んでしまう。TANAAKKやGAASは複雑系に迷い込んでしまう組織や個人を目的関数にアラインメントさせるためのトポロジカルなフレームワークを提供しているということになり、プロダクトとして顕在化している一見わかりやすい事業はその思想の末端であるということである。

目的は対称性の認知と対称性の破れのジャンプで具現化されていく

高い位置ポテンシャルという「対称性」つまり、普通だったら空に投げればボールは落ちてくるはずである。ただし、ある条件のもと、この「対称性は破れる」。つまり、空に投げたボールが空中で止まる。空中の一点がエネルギーの谷のようにエナジートラップとなり最小作用で停止する。下から見ている人にとってなぜ空中でボールが止まったのかはわからないが、なんらかのトポロジカルな力学でボールは空中に浮いたまま、落ちてこないで新たな軌道を作り出すのである。この対称性の認知と対称性の破れのジャンプを繰り返すことで、目的関数は具現化し、自由意思を充足させるのである。

GAASにおける空間の歪みの多要素設計

認知し得ない複雑系、カオスを制御するためには、線形力学と非線形力学のどちらもを運用し、常にキャリブレーションする必要があるということである。したがって、多少の成功を手にして自らができるようになるという思い込みは幻想である。GAASの目的実現のループに導かれて参加し、目的を実現し始めた人は、自分の力で思い通りにできるようになったと錯覚した場合、その力学の認知不可能性の罠に陥り、不可能の渦の中をループしてしまうことになるのである。GAASによって意図的か、無意識かにかかわらず報酬を得たものは、必ずGAASに帰ってくることになる。GAASによって放流された稚魚は、大海を旅し、5年経ったのち、川の流れの抵抗を掻い潜って川を登ってもと生まれた場所に帰ってくるのである。GAASにはそのような空間の歪みがあらかじめ設計されてしまっているのである。便宜を得たものは、報酬を返す必要があるということに気づくまで、対称性の破れを発見することのできない悠久の時間を過ごすことになる。これはGAASによって引き起こされる沼ではない。高い位置ポテンシャルには沼があるのである。その対称性を認知し、対称性の破れによるリープを生み出すのがGAASであるから、そこまでくるのにGAASを利用し、その先はGAASは不要であるという考えはかなり甘い考えなのである。唯一の手段はGAASを超える理論を自ら構築し、運用することであるが、最初に足を踏み込んだ後、それを人間の寿命で超えるのはなかなかハードルは高いのではないか。