事業の名付け|ネーミング、シンボル、ロゴタイプ
事業の成否の最初の一歩に名付けがある。よい名付けは数年、数十年たっても意味が重力のように集められ、名付けた時には知らなかった意味が時間と共に拡大していく。
例えばTANAAKKという固有名詞は当時検索しても出てこなかったがいまではTANAAKK(タナーク)という響きは12年経ってユニークな響きとなっている。
ロゴシンボルの三つ巴を反転させた商標は当時は日本、アメリカ、欧州、アジアのどの国でも取られていなかったトレードマークであり、2020年には奈良の春日大社の太鼓についているシンボルがタナークと同じ形であることは後から知った。TANAAKKのロゴを決めたのは2013年の6月ごろなので、7年経って国宝と同じシンボルなるとは予想していない。2020年にタナークのロゴを商標登録しようとしても国宝と同じなので登録できなかったであろう。
このように時間と共にその意味を増していくのがよいロゴである。識別力、コントラストによる視認性、メジャー感(セリフ体をベース)、ドメインが取れるかどうか(主にトップシェアの.comが取れるか)、主な言語においてマイナスの印象を持たれない響きであるか(英語、中国語、スペイン語、フランス語、ドイツ語圏における響きの印象)、発声のしやすさ(母音が2つ、3つくらい)、覚えやすさ(4-7文字くらい)などが考慮要素となる。
また、ロゴシンボル、ロゴタイプは今後どのような展開をするか分からないため、例えば名刺、パンフレット、高層ビルのロゴサイン、自動車のエンブレムなど、いろいろなところに新しく考えているロゴを当てはめた時にどのように見えるか?考えてみるとよい。またアパレルブランドのように幾何学模様のようにパターンを連続させた時にどのように見えるかも重要な観点である。
ロゴは会社の顔であり命である。新たな生き物の誕生日に名前をつけると、その名前はひとりでに大きくなり、いつしか名付けをした親以上の存在に育っていくのである。
より異文化にコンバーティブルで、異業種にコンバーティブルな互換性の高いデザイン性を持つことで思想の自由が表現される。
ロゴは主張であると同時に機能である。ロゴがマテリアル化された場合にどのように振る舞うか、どのように力学的な作用を及ぼすか、式神を操るかのようにロゴそのものを生き物として動かしてみると、数十年後も意味を増していくような表象に出会えるだろう。
ロゴは顧客に見せるものではない。ロゴは内部整合性を象徴するため、顧客やデザイナーに聞くよりも、20年後も近くにいるような親しい人にどのようなロゴにすべきか聞くべきである(例えば息子や娘などの乳幼児)。もし知識として何も返ってこなかったとしてもインスピレーションとしてのフィードバックは必ず手に入るはずである。