■ルシアンベトナム 生産計画戦略指針(NB主導・アイドリングリスク吸収モデル)
1. 課題認識
- PB(プライベートブランド)・ODMは顧客都合による不定期発注・納期短縮・仕様変更が多く、生産計画が乱れやすい。
- 結果としてアイドリング(手待ち)タイムが頻発し、生産効率・工場収益性が低下している。
→定番、高粗利、高在庫回転のSKUを10品番以上確保しておくことで、アイドリングリスクはマーケットに吸収させ、自社でリスクを保持することなくリスクをオフバランスする
2. 戦略方針
■NB定番商品の在庫主導型生産を導入
- PB/ODMの谷間やスキマ時間を活用して定番NB商品の生産を常時実行。
- あらかじめ型紙・資材・仕様を固定し、いつでも量産可能なSKUを10品番以上確保。
■販売チャネルを通じた市場吸収(D2C・モール活用)
- Shopify(自社EC)・Amazon・楽天を活用し、NB在庫を常時販売。
- 特にAmazonで売れ筋の1,980円未満価格帯に最適化されたSKUを重点開発。
■NB主導により自社ブランドによる稼働率コントロールと原価率低減
- PB/ODMは顧客主導であるためスケジュール管理が難しい一方、NBは価格・原価・生産・販売ペースを自社でコントロール可能。
- **SKU別原価率を戦略的に設計(例:30%以下)**することで、全体の利益体質を強化。
3. 実施体制と設計指針
✅ NB生産SKU設計
| 項目 | 設計基準 |
|---|
| 価格帯 | 1,480円〜1,980円(税込) |
| 製造原価目標 | 税抜売価の30%以下(450〜550円前後) |
| 色展開 | 白・黒・ベージュ等の定番色を基本 |
| サイズ展開 | S, M, LなどSKUを限定し在庫分散リスク最小化 |
| ターゲット | Amazonレビュー平均★4以上を目安に設計 |
| データ主導 | Amazon,楽天での実売データや、量販店店頭での実売データ、POSデータ等から定番売れ筋商品を把握 |
✅ 生産計画モデル
- 毎月のPB・ODM受注計画に応じて、NBの生産枠(時間換算)を調整
- 工場内で「空いたらすぐNBを入れる」仕組み
- 企画、販売、生産の情報共有
✅ 販売体制構築
- フルフィルメントによる「翌日配送」「送料無料」「無料返品」
- Amazon, 楽天, Shopifyの順番に現時点では売上が高いが、粗利率はShopify→楽天→Amazonなので、粗利の高いチャネルを戦略的に強化していく
- 上記だけで在庫過多になる場合は自社ブランドはSuperdeliveryなどの卸チャネルなどでも計画的に捌いていく
4. 期待効果
| 項目 | 効果内容 |
|---|
| 生産稼働率向上 | アイドリングタイムの吸収で機械・人材の有効活用 |
| 原価率低減 | 自社ブランド化による資材調達・仕様設計の標準化 |
| キャッシュフロー安定化 | NB在庫の即時販売による資金回収リードタイム短縮 |
| 工場の安定操業 | PB/ODMの変動リスクをNBで吸収し、長期的な工場マネジメントが可能に |
| ブランド価値向上 | NBの売れ筋レビュー・リピート率により、D2Cチャネルの信頼を高められる |