新規事業の真実|上位10%が世界の富の約80%を持つ
あらゆる新規事業は上位10%を狙うべきである。例えば、京都にアジア人が多くいるという実感があったり、銀座に中国人が多いという印象があったとしても、東京、大阪、京都に最も大きく投資しているのはアメリカである。
アメリカは全世界の富の約40%を保有しており、グローバルシティはアメリカが最も大きな投資をしている。中国は全世界の富の13%しか保有していない。中国の人口はアメリカの4倍だが、中国の資産はアメリカの3分の1なのである。つまり、一人当たりで12倍の差がついている。中国の上位10%の富は世界の富の10%である。アメリカの上位10%の富は世界の富の30%である。
✅ 命題:
「すべての新規事業は世界の上位10%を狙うべきである」
1. 🌍 世界の富の集中構造
区分 | 世界の富シェア(2023年) |
---|---|
🇺🇸 アメリカ | 約 40% |
🇪🇺 欧州(合算) | 約 25%〜27% |
🇨🇳 中国 | 約 13% |
🌏 その他アジア | 約 10%未満 |
🌍 その他全世界 | 約 15%以下 |
👉 よって、「アメリカ+欧州に住んでいるTop10%層 = 世界富の6〜7割を保有」
2. 🧠 「実感」と「資本の流れ」のズレ
京都でアジア人観光客が目立つ、銀座で中国語が飛び交う。しかし、それは「流動(カスタマー)」であり、「投資(オーナーシップ)」とは一致しない。
高級、かつ儲かっているホテルや旅館、商業施設、飲食店があるとしたら、そのオーナーはアメリカREITである可能性の方が中国保有である可能性よりも3倍高いのだ。しかし、中国人が土地を買い漁っているとはよく言われるものの、アメリカ人が土地を買い漁っているとは言われないのは不思議なものである。実際に日本のデータセンター、倉庫、物流施設のほとんどはアメリカ機関投資家が保有しているのであり、ここに中国は入ってこない。
✔ 実際に都市に投資しているのは:
都市 | 最大の海外不動産投資主体 |
---|---|
東京・大阪・京都 | 🇺🇸 アメリカ系REIT、ファンド |
ロンドン | 🇺🇸、🇸🇦、🇸🇬 |
パリ・ミラノ | 🇺🇸、🇨🇭 |
バンコク | 🇸🇬、🇭🇰 |
3. 💵 誰が“消費”するのかではなく、誰が“保有”しているのか
- 観光地でお金を使う人がアジア人でも
- その土地の不動産を買って賃料や含み益を得ているのはアメリカ人である可能性が高い(世界の富に対して40%の確率でオーナーである、さらに都市圏のメインストリートだと50%以上の確率かもしれない)
4. 🏙 グローバルシティ≒米国資本のフロントエンド
東京・ロンドン・シンガポール・パリ・ドバイなどのグローバル都市は、表面上は多国籍消費だが、裏側は米国資本のプラットフォーム化
例えば:
- 銀座の不動産:米ファンド系REITや国内系ファンドの裏に米国LP
- 京都のホテル:米系PEファンドが取得 → アジア人観光客で利回り回収
5. 🚀 新規事業のターゲティング原則
❌「数が多い層」に向けた事業:
- 単価が低く、競争が激化しやすい
- プロダクト・マーケの差別化が困難
- 「生きるために買う」市場=価格弾力性が高い
✅「上位10%」を狙う事業:
- 資本力があり、単価が高くても利便性や体験により購入する
- ブランド・価値・体験に重きを置く
- 「時間のほうが優先」=価格弾力性が低い
✅ 結論(あなたの主張の強化表現):
京都でアジア人が歩いていても、銀座で中国人が買い物していても、最終的に最も大きな経済的果実を得ているのはアメリカ人である。ゆえに、あらゆる新規事業は「誰が消費しているか」ではなく「誰が保有しているか」に目を向け、世界の上位10%を顧客として設計されるべきである。
同様に、国内の消費についても、国内の上位10%の年収層が牽引している。
✅ 命題:
国内事業でも狙うべきは「都市圏 × 上位10%年収層」、特に中堅層である
1. 💰 日本国内の所得分布(年収階層)
国税庁『民間給与実態統計調査(2022年)』によれば:
年収層 | 人口割合 | 年収の目安 |
---|---|---|
上位1% | 約 1% | 1,500万円以上 |
上位5% | 約 5% | 800万円以上 |
上位10% | 約 10% | 700万円以上 |
👉 年収700万円以上の層が、消費支出・投資判断・家計余剰の多くを担っている
2. 🏙 地域分布:上位10%はどこに住んでいるか?
【高年収層が集中する都市圏】
地域 | 特徴 |
---|---|
首都圏(東京・神奈川・埼玉・千葉) | 上場企業本社・外資系・国家公務員・高級住宅地集中 |
関西圏(大阪・京都・兵庫) | 製造業本社・大企業支社・医療教育の中核 |
中部圏(名古屋周辺) | 自動車産業・三菱系・高年収技術職の集中 |
👉 日本の「高収益家計」は明確に三大都市圏に集中
三大都市圏以外だとしても、高所得者はほとんどの場合が大企業の関連会社か、もしくは大企業に土地を貸したり、大企業のサプライチェーンに入っている協力会社である。あるいは、セブンイレブンの近くにある歯医者であったり、地元の個人オーナーであっても、大企業、巨大経済圏に属していると言える。
3. 👔 誰を狙うべきか:上場企業の若手〜中堅社員
この層が持つ特徴は:
項目 | 内容 |
---|---|
安定した可処分所得 | 月10〜20万円の自由支出が可能 |
定期的なライフイベント | 教育・住宅・保険・旅行・投資 |
デジタル対応能力 | EC・SaaS・投資アプリ・キャッシュレスを活用 |
情報感度・ブランド志向 | 他者比較・信頼性・価値重視 |
👉 「自分の収入で選べる範囲の中で、最も意味のある選択をしたい」という目的志向
4. 📈 国内消費の構造的特徴
- 日本の全世帯のうち、上位10%が消費支出の約25〜30%を占める
- 旅行・教育・高付加価値商品・医療・金融商品などでは40%以上を担う
5. 💡 戦略的な事業設計指針
❌「マス向けの低単価・低利幅」:
- 薄利多売、広告依存、差別化困難、LTVが低い
✅「都市圏 × 上位10% × 若手」:
- 高単価・再購入・紹介・ブランド構築が可能
- 価格よりも、買いやすさ、利便性、スムーズさで選ぶ(時間の価値の方が上位である)
- D2C・サブスク・教育・体験型商品・資産形成が刺さる
✅ アメリカでは上位10%がアメリカの富の80%を保有している。一方日本であっても上位10%が日本の富の約60%前後を保有している
したがって、短時間で成果を出すという差し迫った理由のある新規事業は常に上位10%を対象とする必要がある。これは例えば福岡、沖縄でレンタカーを運営していたとしてもデータを見てみると都市圏(関東、関西、中部)のユーザーが半分以上になってしまうということである。そして、都市圏以外のユーザーについても大企業に勤めているか、あるいは大企業のサプライチェーンに勤めている社員である。つまり、上位10%を狙える射程圏内に属しているのである。
さらにBtoBにおいてはもっと顕著である。10ヶ年の純利益を合計すると上場企業4000社のうち上位1%の企業が過去10ヶ年の全上場企業純利益の95% を占めているのである。つまり、法人営業は上位40社だけ訪問したとしても十分な成績をあげられるということである。
BtoB事業が成功するかどうかは上から順番に顧客にできるかどうか?ただそれだけである。下から上がっていくのでは永遠に真実にたどり着くことはない。