Definition of dimensions 次元をどう定義すべきか
1. 代数的な定義:自由度の数
次元の一般的な定義です。
- 定義: 線形代数学におけるベクトルの基底の数。
- 考え方: 「その場所を特定するために必要な独立した数字がいくつあるか」を数えます。
- 1次元:x(線)
- 2次元:(x, y)(面)
- 3次元:(x, y, z)(空間)
- 特徴: 非常に明快ですが、複雑なものには適用しにくいという弱点があります。
2. 位相的な定義:境界の次元(帰納的次元)
ブラウワーの時代に発展した、図形のつながり方に注目する定義です。「皮を剥くと1つ低い次元が現れる」という性質を利用します。
- 定義(被覆次元・帰納的次元):
- 点(0次元)の境界は「空($-1$次元)」である。
- 線(1次元)を途中で切ると「点(0次元)」が現れる。
- 面(2次元)を切り裂くと「線(1次元)」が現れる。
- ブラウワーの貢献: 彼は、連続的に形を変えても、この「境界を辿って次元を下げる構造」は変わらないことを示そうとしました。これがトポロジー的な次元です。
3. 解析的な定義:スケーリング(ハウスドルフ次元)
フラクタル幾何学などで使われる、「拡大したときにどう増えるか」に注目する定義です。
- 定義: 図形を 1/k 倍に縮小したとき、元の図形を埋めるのに N 個のパーツが必要なら、次元 D は以下の式で定義されます。$$N = k^D \quad \text{より} \quad D = \frac{\log N}{\log k}$$
- 例:
- 正方形: 辺を 1/2 にすると、元の正方形を埋めるのに 4個必要。4 = 2^2 なので 2次元。
- コッホ曲線: 長さを frac{1/3 にすると、パーツが 4個必要。4 = 3^D となり、D ≈ 1.26 という非整数の次元が現れます。
まとめ:次元の定義の比較
現代数学では、これらを使い分けて「形」を定義しています。
| 定義名 | 注目ポイント | 使える図形 | 特徴 |
| ハメル次元 | ベクトルの数 | 線形空間 | 計算が最も簡単 |
| 被覆次元 | つながり・境界 | あらゆる図形 | ブラウワーらが確立。整数になる |
| ハウスドルフ次元 | 密度・複雑さ | フラクタル図形 | 小数(実数)や複素数にもなる |
なぜ定義が分かれているのか?
それは、カントールやペアノが示したように「点の数だけで次元を決めようとすると失敗するから」です。ブラウワーは「連続性」を重視したことで、バラバラな点の集合ではなく「つながった空間としての次元」を固定することに成功しました。これが、現在の私たちが「3次元空間の中に生きている」と自信を持って言える数学的な根拠になっているのです。

