成功するスタートアップは「借りた金は返す」というルールを守り、相手にも守らせる債権回収実行者である。

成功スタートアップの特徴は法的権利に基づいた債権回収執行マネジメント業者であることである。スタートアップは常に政府や大企業などの大資本と戦う必要があり、常に下請法違反、独占禁止法違反、優越的地位の濫用の被害者になりうる。しかし、そのような市場の失敗を公正な手段で是正するプレイヤーがスタートアップであり、スタートアップはシニョレッジにより紙幣を市中に普及させるという金融の失敗をボトムからキャリブレーション、是正する役割を持っているのである。
1. 大資本による「市場の失敗」の調整弁としてのスタートアップ
大資本による市場の失敗を是正するのがスタートアップである。
大企業や政府といった巨大資本は、意図的であれ構造的であれ、下請法違反や優越的地位の濫用といった「外部不経済」を垂れ流す傾向にある。
- 搾取の是正としてのスタートアップ: 伝統市場では、大企業の不公正な取引は「慣習」として埋没してしまう。しかし、SaaSや透明性の高いプラットフォームを提供するスタートアップは、取引プロセスをデジタル化・可視化することで、実質的に不当に奪われていた利益(債権)を技術によって強制回収している側面がある。
- 非対称性の解消: 情報の非対称性を利用した利益の独占に対し、スタートアップが介入することで、本来あるべき価格(公正な配分)へと強制的にキャリブレーション(調整)をかける。
2. シニョレッジの失敗の調整弁としてのスタートアップ
シニョレッジ(通貨発行益)を前提とした金融の失敗をボトムアップで是正するのがスタートアップである。
- 中央集権的なインフレへの抵抗: 中央銀行や国家が独占する通貨発行権(およびそれに伴うシニョレッジ)は、実体経済と乖離したマネーサプライを生むことがある。スタートアップは補助金や超低金利の政府補助融資に頼るのではなく、グローバル市場経済というより広域な自然法に基づくべきである
- キャリブレーションとしてのトークンエコノミー: スタートアップが独自の経済圏を構築することは、既存の金融システムが回収しきれなかった価値を、新しい単位で再定義する行為である。これは伝統的会計とは異なる、将来のキャッシュフローの現在価値を前提として、計画的に潜在インカムを回収する行為である。これは、中央からトップダウンで降ってくる価値基準ではなく、消費者(ボトム)による合意形成に基づいた価値が裏付けとなる。
3. 法的権利に基づいた債権回収実行者としてのスタートアップ
成功するスタートアップは「法的権利に基づいた債権回収業者」である。彼らは「本来価値の根拠がなく、支払われるべき対価が支払われている場所」を見つけ、風穴を開け、急速に市場の不均衡を是正する吸引能力に長けている必要がある。
- 例: タクシー業界に風穴を開けたUberや、宿泊の遊休資産を再定義したAirbnbは、既存の規制によって守られていた利権(=消費者から不当に奪っていた選択肢という債権)を奪還する執行者であったと言える。
結論: スタートアップとは、既存の非効率や不正によって生じた「社会的な未回収債権」や大企業が捨てていく「廃品」の中から一握りの価値を回収し、テクノロジーと法理を武器に力ずくで(しかし公正に)回収し、地球上の有限の資源と富を再分配するサステナブルなエコシステムである。
大企業は投資する人は投資しただけで評価され、その後資金を失ってもお咎めなしである。売上を増やす担当は売り上げを増やせば販管費で赤字になっても評価される。純利益を出していれば、資本効率がベンチマークより低くても音が召されない。つまり、大企業は局所部品としてのプレイヤーにより構成されており、全体で悪事を働いてしまっていても当事者は正しいことをしているという正義感を捨てられないのである。スタートアップは資本が限られている以上、今日使った100万円は必ず半年以内に100万円として回収し、スプレッドを10万円取らないといけないのである。大企業と同じ論理でスタートアップを運営すると必ず失敗する。
借りた金は返すという基本形が守れない大企業を真似するスタートアップ
99.99%のスタートアップ創業者が借りた金を借りっぱなしでスプレッドを作れず、スプレッドを作るどころか10年以内に投下資本の全額回収にすら辿り着くことができないのは借りるだけ借りて、全額返す能力のない流動資産ネットデット状態の大企業に資本を依存しているからである。メガバンクでさえ、借りている金を全て返し切ってしまうと会社が存続することができない。
メガバンク3行とも、手元の現金や日銀への預け金という流動資産だけでは、顧客から預かっている預金の半分も返せない。 差額の約300兆円以上が足りない計算になる。
借りた金を使わなくても事業が回る、借りた金が即座に数倍の現金に化ける装置
スタートアップが失敗する初歩的な誤りは「間違った親をモデリングする」という基礎である。100万円使ったら必ず半年以内に100万円を回収する。回収したついでにスプレッドがくっついてくる。「借りた金は返す」「貸した金は必ず取り戻す」という基本形を守る唯一の方法は、「借りた金を使わなくても事業が回る、貸した金が即座に数倍の現金に化ける装置」を、最初の10年以内に完成させることだと言える。
借りた金を返すだけでは借りた金を返さないプレイヤーに負ける不利な戦いである。借りた金をさらに貸し、スプレッドを得る。このスプレッドが既存のプレイヤーよりも大きければ、金を借り、金を貸すというサイクルにおいて、今すぐ全ての金を返してもなお財産が残るネットキャッシュ状態の運営が可能になる。

