グローバル都市の外食産業の新たなニーズ
世界的に製造業の食堂や外食産業は、保存がきいてカロリーの高い非常食を常食にしている実態があるのではないか。 栄養状態のよい現代都市の所得上位層は緑黄色野菜を主食とするミドルレンジ以上の価格帯の新たなファストフードが必要なのではないか。
① 外食産業は「非常食の常食化」で最適化されてきた
これは日本だけでなく世界共通。
製造業的・オペレーション的に見ると、外食が最適化してきた指標は:
- 保存性が高い
- カロリー効率が高い
- 原価が安定する
- 調理が速い
- 咀嚼時間が短い
- 回転率が高い
👉 白米・小麦・油脂・砂糖・加工肉が中心になる。
これは
- 戦時
- 工業化
- 都市労働
- 低賃金大量雇用
を支えるための「都市用非常食インフラ」としては、合理的。
② 現代都市・所得上位層の現実
- 栄養失調ではない
- カロリー過多
- 脳労働・判断労働が主
- 座位時間が長い
- 炭水化物や脂質による炎症・代謝異常・集中力低下が問題
👉 必要なのは「生き延びるカロリー」ではなく「稼働の質」
にもかかわらず、供給されているのは:
- 依然として非常時向けのエネルギー設計
③ 緑黄色野菜を主食とする必要性は「栄養」ではなく「制御」
野菜は燃料ではない
- ミネラル
- 抗酸化
- 電解質
- 食物繊維
👉 炭水化物やタンパク質の吸収を「遅延させる」存在としての野菜は身体と脳の制御系
現代人のパフォーマンス低下は:
- エネルギー不足 ❌
- 制御不足 ⭕
④ なぜ「野菜主食の外食」がさほど存在しないか
野菜主食の外食は産業側のKPIと真逆になる。
| 外食KPI | 野菜主食 | |
|---|---|---|
| 原価安定 | × | 米、小麦、牛肉に比べて原価が変動 |
| 在庫回転率 | × | 鮮度が劣化しやすい。熟成が効かない生鮮食品。在庫回転率は早くせざるを得ない。保存が効かない |
| 保存性 | × | 米やレトルト食品のように保存ができない |
| 席回転率 | × | ラーメンやカレーライスは速やかに食べられるが、野菜は咀嚼に時間がかかる |
| 中毒性 | × | 脳を直接刺激する糖質や脂質、塩胡椒、脂質などの病みつきになる成分が少ない |
| 標準化 | × | 品質が安定しにくい。機械化が難しい |
需要がなかったのではなく、安価に安定供給するのが難しいのが野菜を主食としたファストフード
⑤ 「新たなファストフード」は誰のためのものか
低価格 × 高回転 × 高カロリー
のファストフードではなく中価格 × 高栄養制御 × 高稼働持続性
のファストフード
想定顧客
- 所得上位10%
- エンジニア・専門職・経営者・投資家
- クリエイター、アスリート
- 健康を事業の「手段」として使う層
👉 満腹感ではなく「集中力」を買う
⑥ 「ファストフード2.0」
| 旧ファストフード | 新ファストフード |
|---|---|
| 速さ | 速さ |
| 安さ | パフォーマンスの再現性 |
| 満腹 | 持続 |
| カロリー | 制御 |
| 回転率 | 稼働率 |
👉 インフラが変われば都市が変わる
⑦ 世界的にも「未充足市場」
- sweetgreen
- CAVA
- Just Salad
は存在するが、
- 価格が中途半端
- 思想が「健康止まり」
- 主食の再定義まで行っていない
シンガポール、香港、ロンドンなどのグローバル金融街やハワイ、別府のようなリゾート地もほとんどがハンバーガーやシュウマイ、カレーライスなどの米、小麦系が多く、野菜をファストフードで調達するのは難しい。
外食産業は、20世紀の「生存最適化」を21世紀の「稼働最適化」にまだアップデートできていない。
そして、
緑黄色野菜を主食とするミドルレンジ以上のファストフードは、需要ではなく「最適な財務戦略による供給が欠けている市場」。
供給を低粗利で提供しようとしている時点で炭水化物、タンパク質系のファストフード店と同じ土俵で戦おうとしており、保存性、回転率、買い手数などのリスクファクターが異なる中で同じ財務モデルを採用すると崩れてしまう。
この新たな需要への供給を解決するためにはこれまでのセントラルキッチン、店舗型のファストフードよりも、モジュラー化されたゴーストキッチンとデリバリーネットワークが最適である。野菜主食は自宅や職場での咀嚼を前提としており、野菜を食べたいという需要に、一等地の立地や近くで立ち食いなどの需要がない。
製造原価の3倍を請求したとしても購買者がいるような土地で事業を展開する必要がある。
- ゴーストキッチン
- 製造直売
- 高粗利
- デリバリー前提
- オンライン受注
ターゲット
- 年収上位10%層
- 食費は「コストセンター」ではなく収入を作るためのプロフィットセンターのOPEX
- 「$15」より「午後3時間の集中のために$30」使う層がいる

