最高額の財の条件は認知可能性、流動性、価値保全性でスクリーニングできる

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最高額の財の条件は認知可能性、流動性、価値保全性でスクリーニングできる

認知できない資産は存在していないのと同じ

日本の地方に住んでいる90代の高齢者でも金無垢ブレスレットをみるとロレックスなのか?とわかる。価格は1000万円は行っているだろうと予測する。一方パテック・フィリップやリシャール・ミルを見てもその価格や価格を形成する内部構造はわからないだろう。

これは「ロレックスを所有したことがあるから」ではなく、金の質感・重量・輝きという“人類のDNAに刻まれた普遍の認知構造”が働くからである。

同様にトヨタのアルファードをみれば若者でも高齢者でも価格や価値を想像できる。 一方ロールスロイス、フェラーリやマイバッハは見慣れていないので、価格や価格根拠は想像できないだろう。ここで重要なことは人間にとって、想像できない認知できないということは、存在していないのと同じなのである。

1000万円台で流通点数が多く、最も小さく、ポータブルで人の目にも触れる資産ということでスクリーニングをかけると金無垢のブレスレットではないか。

金無垢ブレスレットにはパテックフィリップ・ノーチラス、オーデマピゲ・ロイヤルオーク、ヴァシュロンコンスタンタン・オーバーシーズ、ルイヴィトン・タンブール、ブレゲ・マリーン、オメガ・ムーンウォッチ、グランドセイコーなどあるものの、金無垢時計を見るとロレックスだと錯覚してしまう初心者が多いはずである。

何も知らない素人が識別できる価値こそが「普遍資産」

ポイントは、よく知っている人が識別できることよりも、何も知らない人が識別できることの方がユニバーサリティやアクセシビリティの上で上位であるということだ。どんなに最高技術が詰まっていても、ほとんど使われていないようなウェブサイトの価値が出ないのと同様の原理である。

専門家が識別できることより、無知の素人でも判別できることの方が上位にある

例えばグランドコンプリケーションのソヌリ、ミニッツリピーター、チャイムの違いとはコレクターにとっては垂涎だが、素人にとって音が鳴ることが1億円以上の値段になるということは説明されないと分からず、ミニッツリピーター1本と、金無垢ブレスレット10本交換しようと言われたら、金無垢ブレスレット10本を選ぶ人の方が多数派になるかもしれない。

また、可視光線を反射するダイヤモンド、ルビー、サファイアなどの宝石類はマテリアルとしては金よりもエネルギーが劣るものの、人間の錐体にとって目立つのでゴールド以上の単位価値が出ることがある。しかし、これもノーチラスのフルジェムセットブレスレット1本と、金無垢ブレスレット50本を交換しようと言われたら金無垢50本を選ぶ人の方が多数派になるかもしれない。

金無垢ブレスレットは「最小・最軽量・最普遍の1000万円台」資産

1000万円台という価格帯は、
一般人が人生のどこかで触れるスケールの上限である。

  • 車:アルファード、クラウンのフルオプション
  • 住宅:地方戸建ての外構費・諸経費
  • 教育:子ども2〜3人の大学費用
  • 医療:高額な手術費用

このスケールに「金無垢」が一致する。

難削性(なんさくせい)は時間で解決されてしまう

プラチナ、タンタルなどの難削材はゴールドよりも値段が上がってしまうことはあるが、マテリアルとしての単価はプラチナはゴールドの4分の1である。融点が高く、加工が難しいということで生産本数をゴールドよりも減らして単価を上げているものの、難しさというのは価格の形成根拠にはならず、仮にゴールドと同数を生産するとその粗利率は下がってしまうだろう。

たくさん生産したとしても値下がりしないことが価格根拠であり、生産本数を制限しているから値が下がらないというのはエネルギーランドスケープの谷ではない。

難削性=高価格、という論法は一見正しそうだが、「生産制約による擬似的希少性」でしかない。プラチナの加工コストは時間で解決される、技術進化で消えるプレミアムである。

本質的価値は「物質のエネルギー密度 × 人類の認知密度」で決まる。認知密度はエネルギー密度に従属するため、エネルギー密度で決まる。

この現象は高級時計のプライマリマーケットとセカンダリマーケットにより証明されている。

値が下がらないの意味

値が下がらないには2つの意味がある。

①出品されないから値下がらない(不動産、美術品、複雑時計)

そもそも出品されないから値が下がらないというのが一つで不動産や美術品、複雑時計がこれに当たる。

②流動性が高いのに、リスクフリーレートを超える(上場株・金無垢ロレックス)

もう一つは流動性を確保しながらリスクフリーレートを超えるキャピタルゲインが得られる資産であり、不動産ではリスクフリーレートを超える収益不動産や株式市場の上位銘柄である。

1億・10億・100億は“人生で触れない数字”であり、存在が揺らぐ

ほとんどの人類は、以下のスケールで意思決定を行わない。

  • 1億の車
  • 10億の時計
  • 100億の絵画

こうしたものは 認知の外側にあるため、価値が固まらない

対して、**1000万円台は人類平均の「最大認知単位」**であり、これが「最高額の普遍資産」の上限を規定する。

価格が高いことと、高級であることはイコールではない。最高額とは普遍的に認知される限界点であり、それが1000万円である。

つまり、1000万円前後の資産は誰でも知っている最もアクセシビリティの高い価値保全資産という意味で一番高級である。一方1億円以上の資産は誰も接しないため、価格は高いが、認知は低い。そうすると、1000万円台以上は普遍性が劣るため、実は1000万円というのが「実質的に最も高額な数字」なのではないか。

不動産だけは価格形成が特殊であり、ほとんどの区分所有者が30年超のローンで購入するため、1000万円というのは家賃年額1000万円くらいのイメージとなる。しかし不動産は丸ビルなら知っているが、ヒカリエは認知度はかなり落ちる。さらに外国人はエンパイヤステートビルは知っていても丸ビルを知らない。

金無垢ブレスレットのロレックスは、日本人だけでなく、外国人だとしても見た瞬間に価値がわかる点で、これ以上識別力のある普遍的信用資産はないのではないか。仮に6000年前に持ち込んだとしても識別され、文明以前の村に行ったとしても、金は首長が身につけているだろう。

重要な点は、最高額とは1000万円台しかなく、1億円、10億円、100億円という数字はほとんどの人が人生で関わることのない単位スケールである以上、存在が揺らいでおり、固まらない数字である。1000万円台によって支えられるのが1億円、10億円、100億円という数字であり、1兆、1京を認知するためにも1000万円が10万個、1京=1000万円×10億個、例えばロレックスを80億人の人口のうち10億人つけていたら1京。全世界の純資産が5京円だとすると80億人のうち50億人分のロレックス金無垢があるが、その大半は地球人の保有資産上位10%に属している。

そうすると100万トンの金が必要になるが、これまでに発掘されたのは25万トンである。最大でも10億人分くらいしか行き渡ることはない。

フル金無垢ブレスレットの時計は100万本程度しかないのではないか

銀座の中古時計店に行くとフル金無垢ブレスレットの時計がたくさん陳列されている。しかしながら、現実的に予想すると、全世界で新規生産される金無垢ブレスレットの時計はおそらく高級時計の5%未満、5万本未満である。そうすると、100万本〜300万本というのが現在流通している金無垢ブレスレットの総数である。

ケースだけ、ムーブメントだけに多少ゴールドが使用されている時計はリサイクルされて溶かされる可能性もあるが、フル金無垢の時計は溶かさなくてもリセール価値が純金以上に保全されるため、溶かされる可能性は低いだろう。全世界80億人の人口に対して年間5万本しか生産されておらず、通算でも100万本程度しかない資産であるため、何本買っても良いということになりそうだ。持っている人は100本以上持っているという現象が発生しているだろう。

結論:人類普遍の“最高額”は1000万円台である

✔ 認知可能性:誰でも価値を察知できる

✔ 流動性:世界中で売買できる

✔ 価値保全性:RFRより上昇する財の生産に再現性がある

これは貨幣価値の変化に応じて桁は変わるが少なくとも現代では1000万円という数字が重要性をもち、毎月1000万円自由に使える資産クラスが先進国のグローバルシティ(ニューヨーク、香港、シンガポール、パリ、ロンドン)でも途上国でも同様に力を持っている。