令和時代における強靭な不動産•建設収益ポートフォリオの擁立
あらゆる事業はプライシングパワーとバイイングパワーのスプレッドに帰着し、投下資本に対するROICと、時間軸でみたときのオペレーティングレバレッジの経年変化をベンチマークと比較することで説明できる。
しかし、位置ポテンシャルが収束する最終地点が予測できたとしても、そこにいたるまでのエネルギーの揺れ動きの振幅の範囲や、順序、時間スケールまで予測しないと、直線的に収束するわけではない。振幅、周期、外力による収束抵抗、減衰係数など様々な要素が関わりうる 。しかも一足飛びにはいかず、ステップを踏まないと次のステップは見えない。
特に外力は厄介である。収束がわかっていても、収束するまで粘る。効率の悪い大企業は100年単位では市場から80%以上ワイプアウトされるが、短期間では排除されない。しかし、我々は会社の初期の設定から、1世紀単位で物事を考える企業風土を持っている。TANAAKKファシリティーズでは、令和の時代のインフラストラクチャにより、不動産・建設という巨大市場を再定義することである。
不動産業・建設業はあらゆる国で小売、製造と並ぶ3大GDP、3大雇用産業の一つであり、地球の土地の地上部分の地権や空中権を主張し、区分された土地の上に土台を作り、鉄筋や木造の建築物を建設し、売買や賃貸の取引をする。この市場に乗り込むということは、オーナー、管理者、テナント、入居者、保証人など、さまざまなステークホルダーが関わり、ほとんどが支払い主体と受益主体が異なるという歪んだ経済になっているエコシステムにおける構造的な杭打ちを体で理解し、実行していくということである。
これまでのファシリティーズの動きは以下である。
•まずは事務所を設置
•人を雇う
•一般建設業許可取得
•車両と設備を準備
•有形固定資産は金融オフバランス
•管工事の資格人材を固める
•特定建設業許可取得
•売りは受託開発をしながら情報を集める
•買いは外注からはじめて技術者を内製化
•ISO取得による標準化
•知見を集め、バリューチェーンを垂直統合し始める
•徐々に自社知財を収益コアとしたプロダクトに切り替える
GAASと同様の道をファシリティーズもたどる。ただしGAASとは違って不動産はネット参入者がマイナスなので5-10%くらいのFCFは受託でも出るかもしれない
。ただし景気耐性の強い複合的な収益ポートフォリオにピボットするのは必須である。
10年以内に経済ショックが再び起きる可能性はあるため、経済ショックを織り込んだD2CおよびラージアカウントBtoBtoC、SaaSサブスクリプションという両極端の顧客層の確保によるエコシステム囲い込み、トップ人材の雇用、強靭なキャッシュフローを創出する必要がある。
不動産や住宅のD2Cは大和ハウス、大東建託、オープンハウスなど住宅ローンの低金利時代に逃げ切った事業者ならよいが、これから参入するにはリスクが高すぎるので、土地や建物の在庫リスクを取ることは難しい。金融リスクがオフバランスされたアセットライト戦略は基本である。
不動産、建設は60代以上が不動産所有権者(オーナー)として主役を張る高齢ビジネスである。これはUHNWのリーダーシップを取るということである。超高齢先進国である日本において不動産、建設のDX解を出すということは、先進国における人口減少問題、産業衰退問題をサステナブルに解決するという問いの設定である。そのバリューチェーンはアクティブシニアとリタイアメントの2種類に別れ、前者はどちらかというと貴金属やジュエリー、高級リゾートマーケットと類似しているが後者は介護、医療、相続、事業承継、葬祭業、墓地運営と似ている。
令和時代にあった不動産BtoBtoC+D2C+SaaSサブスクリプションのモデルを見出すことで、自立、独立、強靭な収益ポートフォリオを建設するスタート地点にいるというのがTANAAKKファシリティーズの現在地である。

