1839 Patek, Czapek & Cieから2009 Patek Philippe & Cieまで
主要人物
- フランソワ・チャペック（François Czapek）
1811年生 - アントワーヌ・ノルベール・ド・パテック（Antoine Norbert de Patek）
1812年生 - ジャン＝アドリアン・フィリップ（Jean-Adrien Philippe）
1815年生 - シャルル・スターン（Charles Henri Stern）
1884年生 - ジャン・スターン（Jean Stern）
1889年生
（※1930年に会社を引き継ぐスターン兄弟）
Patek Philippe & Cieまでの社名変更
1811 チャペック誕生
1812 パテック誕生
1815 フィリップ誕生
1839
Patek, Czapek & Cie
（パテック27歳／チャペック28歳）
1839–1844
・創業期
1845
Patek & Cie
（パテック33歳／フィリップ30歳）
1845–1851
・チャペック離脱
・フィリップ参画
・キーレス巻上げの時代
1851
Patek, Philippe & Cie
1851–2009
・パテック39歳／フィリップ36歳
・グランドコンプリケーション確立
1877 パテック没
1894 フィリップ没
1884 シャルル・スターン誕生
1889 ジャン・スターン誕生
1930
スターン家による経営継承（スターン兄弟40代）
2009
Patek Philippe & Cie カンマ廃止
長期的原因：
・顧客の非欧州化
・デジタル／検索時代
・表記の誤読コスト増大
短期的引き金：
・リーマン後の世界再編
・資産としての時計の国際化
ジャン＝アドリアン・フィリップ（Jean-Adrien Philippe）
ジャン＝アドリアン・フィリップ（Jean-Adrien Philippe）は時計職人として14〜15歳から、時計製作（精密機械）に本格的に関わり始めている。
- 1815年：フランス生まれ
- 1829〜1830年頃（14〜15歳）：
- 機械・精密器具の徒弟修行を開始
- 当時は「時計職人」というより
精密機械工・メカニシャンの徒弟という位置づけ
- 20代前半：
- 時計機構、とくに巻上げ・調整機構に集中
- 1842年（27歳）：
- キーレス巻上げ機構を発明
- 1844年（29歳）：
- パリ博覧会で発表
- パテックと運命的に出会う
刻印ルール
1839–1844 Patek, Czapek & Cie
1845–1851 Patek & Cie
1851–2009 Patek, Philippe & Cie
2010– Patek Philippe & Cie
ムーブメントはPatek, Czapek & Cie、ケースはPatek & Cie、懐中時計を腕時計に改造しているなどの変則パターンもあるが、基本的な年式と命名規則は真偽を見極める上で役に立つ。パテックフィリップは生産年、出荷年、販売年を記録し、開示している稀有なメーカーである。生産履歴はExtract from the Archivesで誰でも確認可能である。
Patek Philippe 主要モデル別・開始年一覧
| モデル名 | 開始年 | 補足（文脈） |
|---|---|---|
| Calatrava（カラトラバ） | 1932年 | スターン家時代の象徴。Ref.96。バウハウス的純粋形 |
| Chronograph（クロノグラフ） | 1923年 | 初の腕時計クロノグラフ |
| Perpetual Calendar（永久カレンダー） | 1925年 | 世界初の量産型腕時計パーペチュアル |
| Minute Repeater（腕時計） | 1916年 | 懐中→腕への決定的転換 |
| World Time（ワールドタイム） | 1939年 | ルイ・コティエ機構採用 |
| Golden Ellipse | 1968年 | 黄金比ケース。デザイン主導モデル |
| Nautilus | 1976年 | Ref.3700。ジェラルド・ジェンタ |
| Aquanaut | 1997年 | ノーチラスの分岐 |
| Gondolo | 1993年（再定義） | 元は19世紀ブラジル向け懐中時計名 |
| Twenty~4 | 1999年 | 初の本格女性向け現代コレクション |
| Grand Complications | 公式区分：1996年 | 機構群としての整理・体系化 |
| Complications | 公式区分：1996年 | 同上 |
| Rare Handcrafts | 2012年 | ギョーシェ（Guilloché）、七宝・彫金を独立カテゴリー化 |
懐中時計系機構
| 系統 | 実質開始 |
|---|---|
| 懐中時計（Patek, Czapek & Cie） | 1839年 |
| キーレス巻上げ | 1845年 |
| ミニッツリピーター（懐中） | 1850年代 |
| パーペチュアル（懐中） | 1860年代 |
時代別
🔹 1930年以前
- モデル名より機構と特注
- 「Ref.」も体系化されていない
🔹 1930–1970
- Calatrava を中心に
- “型”としてのクラシックドレスモデルが誕生
🔹 1976年以降
- Nautilus / Aquanaut
- 明確なコレクション戦略→ 現代スポートモデル市場との接続
年代別 生産本数
単位：本（概算）
| 時代 | 年代 | 社名表記 | 期間 | 推定生産本数 | 年平均 | コメント |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 創業初期 | 1839–1844 | Patek, Czapek & Cie | 5年 | 200–500 | 40–100 | 工房段階／考古学レベル |
| 移行期 | 1845–1851 | Patek & Cie | 6年 | 800–1,500 | 130–250 | フィリップ参画・拡張前夜 |
| 創造期 | 1851–1870 | Patek, Philippe & Cie | 19年 | ~10,000 | ~500 | キーレス定着・基礎文明 |
| 成熟期 | 1870–1900 | Patek, Philippe & Cie | 30年 | 30,000–50,000 | 1,000–1,700 | 複雑機構の黄金期 |
| 拡張期 | 1900–1930 | Patek, Philippe & Cie | 30年 | 80,000–120,000 | 2,500–4,000 | 腕時計前夜・危機直前 |
| 保存期 | 1930–2009 | Patek, Philippe & Cie | 79年 | 300,000–450,000 | 3,800–5,700 | スターン家／量を抑制 |
| 現代 | 2009–現在 | Patek Philippe & Cie | 年間 | 60,000–70,000 /年 | 同左 | 世界需要×厳格制御 2,670名で7万本の生産 |
2009年以降
年産 7万本 の内訳概算
- アクアノート／ノーチラス等スポーツ系：約35–40%
- カラトラバ等クラシック：約35–40%
- グランド・コンプリケーション：5–10%未満
- レアピース／特注：ごく少数