スタートアップはUHNW、センティミリオネアになれるかどうかの登竜門である
資産US$30m以上のUHNWの資産中央値は約$100mである。スタートアップはUHNW創出ゲームである。キャッシュを気軽に10億円動かせるセンティミリオネア(100m)になれるかどうかの登竜門がスタートアップ競争である。10億円は個人の力では到達できず社会の合意形成が必要となる金額である。どんなに事業が拡大してもセンティミリオネアにならない限りは競争の外側に押し出されるという意味では大企業で出世して1億円の役員報酬を得てもUHNWの戦いの土壌に乗ることができない。
UHNWのステージまで行けば、そこからビリオネアになるために、センティミリオネアで事業を売り切らない構造が必要。UHNWまできた燃料をエグジットで切り離してしまうと、UHNWで止まる。さらにビリオネアからマルチビリオネアになるのも同様。ビリオネアになるまでに得た資産や雇用をエグジットで切り離すとその後もう一度城を作り直す気力と体力は残っておらず、寂しい余生を過ごすことになる。
センティミリオネアからマルチビリオネアはエスカレーター方式である。いかにセンティミリオネア(UHNWの中央値)まできた構造のまま、マルチビリオネアになり、富の保全と拡張を維持し続けられるかが重要である。
海をみわたし、海洋生物で例えると、イルカはUHNW, クジラはセンティミリオネア、シャチはビリオネア、シャチのリーダーはマルチビリオネアといえる。
途中で失速してしまうリーダーはチームの密度が薄い。反対にイルカからシャチのリーダーまで到達するマルチビリオネアは位相のジャンプを経験する。マルチビリオネアは必ず次の誰かをマルチビリオネアにしている。時間をかけるのではなく位相をジャンプさせる必要があるため、厳選されたチームの隅々にまで餌が行き渡っているかを確認する能力のあるリーダーのチームが他のチームに勝るのである。途中でエグジットしたくなるリーダーは濃度が薄いまま規模を拡大し、複雑系を扱えないくらいにカオスになってしまった状態である。そしてこの扱えなくなる大きさというのが意外と小さいのである。100くらい数えられると思いきや意外と20くらいまでしか数が数えられないということである。自分の能力を見誤ると自分の能力以上に組織が拡大し、コントロールできなくなった悲しさで資産を手放してしまう。
餌が行き渡っているか、割りを食っている個体がいないか、みんな病気や怪我をしておらず群れについてきているか。弱い個体を強い個体が見守る。これを観察するのが母性であり、母系の群れがシャチに多いのはこれが理由であろう。