アパレル業はIT業界と同様の知的財産ビジネスである。

アパレル売上世界首位、純利益もアパレル首位のLVMHはコモディティ製造業ではなく、テクノロジー業界と同様の知的財産ビジネスである。LVMHは75のメゾン、6500のストア、15兆円の売上だが、そのうち約2割約3兆円を占める主力ブランドのLouisVuittonだけで、全世界で12,000の特許を有しており、商標、意匠、著作権、特許、実用新案などの全ての保全された知的財産権(IP)は世界で18,000点を超える。そして、毎年1,000近くの新たな特許や意匠が登録されているのだ。ざっくり年間3兆円の売上があるとして、毎日3つの特許が出願されている。およそ30億円の売上がたつたびに一つの知的財産権がどこかの国で承認されているということである。そして250名の知財チーム(100億円に1名)が38000件の違法な非許諾利用の差し止め請求をしているのだ。
例えば昨年の新作の腕時計(Tambourタンブール)やスニーカー(Archlightアークライト)、バッグ、ネックレス、ブレスレットから家具に至るまで、あらゆる権利が保全されているのである。


LVMHが通常のアパレルの6倍以上在庫を持ち続けられる要因、在庫を持ち続けてさらに価格をあげることのできる要因はこのような知的財産の保全コストへのCAPEX, OPEXが担保となっている。