PLOG|プロダクトの本質は生活アーカイブ装置である

Growth-as-a-Service™︎| Decrypt History, Encrypt Future™

PLOG|プロダクトの本質は生活アーカイブ装置である

とても大切にしていたものがあったとして、記憶の奥底にその仕草、動き方、言葉、反応の仕方が深く記憶されているとして、遠い未来で、そのバックアップをとっていなかったために水に流れて記録が消えてしまったのを後悔をする夢を見た。記憶はしていたものの、なぜ大切にしていたのかも思い出せない。人間は厳密には物事を記憶できていないとするとどうだろうか。タンパク質に記録された情報は新陳代謝とともに失われてしまう。サーバーの情報もバックアップがあって初めて消失せずに保存される。日々の生活の中で、バックアップされた最新版に必ずアクセスでき、情報の完全性がある点で、SaaSアプリは魅力的であり、オンラインゲームの方が通信しないゲームよりも魅力的である。消費財や耐久財もその本質は情報の固定化にありそうである。朝起きた時に記憶を途中保存からスタートできるのだ。

日本最大の銀行が仮に所有できたとして、所有した途端に自分の名前に変えたり、他の名前にして力を誇示しようとする。その先に待っているのは所有できたという達成感かもしれないが、皆の記憶が失われる。プロダクトを作る、法人格を運営するというのは時代のアーカイブを作るということなのであり、それには一人一人の市場参加者の日常生活の中で忘れたくない大切なものを途中保存し、明日また途中からスタートできるという暗黙の合意があるのだ。したがって、法人格は所有者のものではない。

コカコーラの味が変わった時に喪失感を訴え、電話し続ける高齢の女性がいるということは、その女性の生活の日記のように、コカコーラに大切な記憶が根付いているからなのである。つまり、プロダクトの最も重要な要素は消費者の日常のアーカイブであり、生産者、消費者、株主、非納税者(自治体や国)といったあらゆるステークホルダーの記憶の記録媒体なのである。

著名な絵画や画家のことを思い浮かべてみるとこれがよくわかる。ただ単に作用反作用のように力として入ってきたものをひたすら書き留めたものが国の宝になっている。徒然草や枕草子、奥の細道も、特別な何かを歌ったわけではなく、大切な日常のアーカイブなのである。

PLOGとは

プロダクトや企業は、消費者・株主・国家などあらゆるステークホルダーにとって**「生の途中保存装置」**であり、ただの物や組織以上の役割を果たしている。

人間の記憶は不完全な保存。SaaSやプロダクトは「消えないアーカイブ」という魅力を持つ。法人格は所有ではなく「時代のアーカイブ的公共財」。消費者の日常の中に残したい記憶こそが、プロダクトの本質的価値。つまり、所有権は元を辿ると公共財になってしまうということである。個人でなんとかできるものではなく、公共財として育てたものが時代を象徴するプロダクトになる。

総理大臣、大統領もその人自体に価値があるわけでなく、みんなで選んだ国の歴史のアーカイブ装置として機能するのである。

中古品やマンション、中古車、レンタカーも前に誰が持っていたか、誰が誰と利用したか、どんな気持ちで利用したかという全履歴が外形に記録されている。断片的な外形で、どのように使われたかが解読できるのだ。解読した情報が自分と共鳴するかによって人はプロダクトを選ぶのである。