あらゆる事業はバイイングパワー・プライシングパワー・スプレッドで成り立つ

コンピューティングが1.インプット→2.ストレージ、プロセッシング→3.アウトプットの3段階でプロンプトに対する結果を返すのと同様、あらゆる事業はスプレッドという結果を出すためにインプットとアウトプットを繰り返す。貸借対照表レベルのインプットは純資産、アウトプットは純利益である。損益計算書レベルでのインプットはバイ、アウトプットはセルである。キャッシュフロー計算書レベルでは投資CFで資産を仕入れて営業CFで回収する。
バイイングパワー、プライシングパワーとスプレッドの3要素ですべての事業は成り立っている。
🧭 Ⅰ. 3要素モデル:すべての事業はこの三軸で成り立つ
構成要素 | 説明 |
プライシングパワー | どれだけ高く、たくさん、何度も売れるか、キャッシュ前受けできるか(価格決定権)のトレードオフ問題 |
バイイングパワー | スプレッドが取れる資本、資産、財やサービスをどれだけ安く、たくさん仕入れできるか、支払サイト長くできるか(供給条件決定権) |
スプレッド | 売り-買い |
この3つのバランスによって、「ROIC」が決まります。
- 高プライシング × 高バイイング → 高スプレッド = 優良企業(例:Apple, Microsoft)
- 高プライシング × 低バイイング → ブランドはあるが利益は出にくい(例:クリエイター型D2C)
- 低プライシング × 高バイイング → ディスカウンター(例:Costco, Xiaomi)
🧩 Ⅱ. バイイングパワーの構造:3つの投資対象
バイイングパワーとは、資源をどれだけ有利な条件で取得できるかという経済的交渉力のことです。
1. 🏦 Capital(資本)
- 意味:事業活動の源泉となるお金そのものの調達コストと交渉力
- バイイングパワーの例:
- 低WACCで資金を調達する力(例:高格付け企業)
- 株主に有利な条件で資金調達(希薄化リスクを抑える)
- デット vs エクイティの最適配分
2. 🏭 CAPEX(資産投資)
- 意味:長期的価値を生む固定資産・設備への投資コスト
- バイイングパワーの例:
- 工場・ITインフラの大口導入交渉力(例:Amazonの倉庫網)
- M&Aによる割安買収(例:Berkshire Hathaway)
- 自社開発 vs 購入の選択肢を持つ技術力
3. 💵 OPEX(費用)
- 意味:継続的に発生する変動費・固定費への支出
- バイイングパワーの例:
- クラウドコスト・広告単価の交渉力(例:NetflixがAWSと交渉)
- 外注単価、人件費、材料費の調達力(例:ZARAの調達網)
- サブスクソフトのボリュームディスカウント
🔄 Ⅲ. スプレッド最大化のための戦略構造
要素 | 戦略的問い | 実務アクション |
プライシングパワー | 顧客はなぜこのプレミアムを受け入れるか?広域解に取り組んでいるか | ブランド、UX、差別化、囲い込み戦略 |
バイイングパワー(資本) | 誰から、どの条件で、どれだけ調達できるか?段階的最適化 | 資本コスト最適化、条件交渉、金融機関選定 |
バイイングパワー(資産) | どこで、いつ、何を、どうやって保有するか? | CAPEXのROI分析、スケーラブル設計 |
バイイングパワー(費用) | 誰から、何を、どの価格・頻度で買うか? | 外注・調達戦略、原価削減、ロングターム契約 |
スプレッド | どの事業・商品が最も効率的か? | 商品別粗利分析、FCF最大化戦略 |
📌 結論:この構造で「意味ある意思決定」が可能になる
この×3構造に基づけば、あらゆる事業は以下のように再設計できます:
- バイイングパワーを規模な経済で強化するには?
- プライシングパワーのプレミアムの源泉はどこにあるか?
- スプレッドを最大化するために、資本・資産・費用をいかにスケーラブルに獲得するか?
- バイイングパワーとプライシングパワーの源泉がコントローラブルであるか?受動的ではなく主体的に操作可能な数字であるか?