体を緩めるMBA|正しい姿勢?

姿勢とはトレードオフである。姿勢を正すとは硬直、固定することではなく、頭頂部から尾てい骨までの丸みを整えるのであって背筋を伸ばすことは真の姿勢につながらない。胸を張って背筋を伸ばすということは、喉をしめて横隔膜も緊張させるということになるのである。「真の姿勢」は常に動的で調整的なものである。姿勢を正すとは、リラックスする、力を抜くということでもない。どちらかというと、頭と尻で背骨を引っ張り合うようなイメージが正しい。
例えば頭蓋骨を肩の上に乗せようと、頚椎をまっすぐにしようとしても、胸椎がこわばっていると呼吸を阻害することになる。頚椎から胸椎、腰椎までそれぞれ柔らかくないといけないし、呼吸の通り道を阻害するような緊張は体にとってマイナスである。主要な神経叢まわりが圧迫されないように喉、鎖骨、みぞおち、鼠蹊部に空間を作ることが重要だ。
体は一部分だけ正すことや伸ばすことはできない。どこかを伸ばそうとすると連動してどこかが過剰に引き伸ばされる。粘土のように丸めるような感覚が真の姿勢に必要となる考え方である。外側に拡張するのではなく球のオーラを整えるイメージである。
体は柔軟ができて柔らかければ良いというものではない。少ない作用で大きな成果をえるのは寿命が限られた生物にとって至上命題である。つまり、自分の元にあらゆる質量を巻き込むように、重力を丸め込み、時間、空間を畳み込むような体の使い方が正しい姿勢である。