EVAスプレッド|Economic Value Added 

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EVAスプレッド|Economic Value Added 

EVAスプレッド(EVA Spread)は、企業が投下資本に対してどれだけ経済的価値を生み出しているかを測る、極めて重要な財務指標です。

■ EVAスプレッドとは?|Economic Value Added 

EVAスプレッド = ROIC – WACC

  • ROIC(Return on Invested Capital):投下資本利益率=どれだけ効率的に資本を使って利益を出しているか。
  • WACC(Weighted Average Cost of Capital):加重平均資本コスト=調達した資本にかかる市場の期待利回り。

■ EVAスプレッドの意味

スプレッドの状態経済的な意味
正(> 0)企業は投資家が期待する以上の利益を生み出している(=付加価値創出)
0資本コストをちょうどカバーしている状態(=成長はしても価値創造はない)
負(< 0)資本コストを下回っており、資本を毀損している(=価値破壊)

■ EVAスプレッドとEVAの関係式

EVA=(ROIC−WACC)×投下資本

  • EVAスプレッドは資本1単位あたりの超過利益
  • EVAはその超過利益の総量(価値創出の絶対額)

■ 活用例

  • 経営者のKPI設定(EVAスプレッドを上げる)
  • 投資判断(正のスプレッドを持つ事業への集中投資)
  • バリュエーション(DCFモデルに組み込むことで企業価値の精度向上)
  • 資本配分(負のスプレッド事業のリストラ判断)

■ EVAスプレッドが高い企業の特徴

特徴具体例
高利益率、高LTV、規模の経済SaaS(例:Adobe, Salesforce)
低率手数料、高回転率、規模の経済Visa, Mastercard
アセットライト、ソフトウェアエコシステムUber(プラットフォーム系)

非常に良い質問です。SPY(S&P500)、VTI(米国全体株式)、そして米国長期国債(例えば20年超債券ETF TLTなど)をEVAスプレッドの観点から比較するには、それぞれの「ROIC(投資収益)」と「WACC(資本コスト)または期待利回り」を設定して考える必要があります。

📊 EVAスプレッド比較(概算・参考モデル)

指標米Top5平均SPY(S&P500)VTI(米国全市場)米長期国債(例:TLT)
ROIC ≈ 利回り28%約10%(長期平均)約8.5〜9.0%約4.0%(2024年時点)
WACC ≈ リスクフリーレート+リスクプレミアム約8.0%約7.0%約6.5〜7.0%約4.0%(≒名目金利)
EVAスプレッド約20%+3.0%+2.0〜2.5%0%

以下は、米国の主要テクノロジー企業6社(Apple、Microsoft、Alphabet、Amazon、Meta、NVIDIA)の最新のEVAスプレッド(ROIC – WACC)比較です(2025年4月時点):

企業名ROIC(投下資本利益率)WACC(加重平均資本コスト)EVAスプレッド
Apple33.16%10.89%22.27%
Microsoft21.60%9.66%11.94%
Alphabet32.61%9.90%22.71%
Amazon14.62%12.36%2.26%
Meta35.98%10.73%25.25%
NVIDIA174.69%10.14%164.55%

特にNVIDIAのEVAスプレッドは164.55%と、他の企業を大きく上回っており、投下資本に対して非常に高い経済的付加価値を生み出していることを示しています。このような高いEVAスプレッドは、企業の資本効率や競争優位性を評価する際の重要な指標となります。

✅ SPY(S&P500)

  • 時価総額加重の大型株中心。
  • テックやブランド企業が多く、ROICが高い(Apple, Microsoft, Metaなど)。
  • WACCも高め(市場期待が大きい)だが、それを上回る収益力。
  • 長期的には最も安定した正のEVAスプレッドを出している。

✅ VTI(米国全体)

  • 小型株も含むため、ROICはやや低下。
  • 成長余地はあるがバラつきも大きく、EVAスプレッドはやや低め。
  • 分散効果は高いが、SPYより資本効率はやや劣る

✅ 米長期国債(TLTなど)

  • 債券にEVAスプレッドという概念は直接は適用しにくいが、「利回り=WACC」とみなすとスプレッドは0%
  • つまり、経済的価値を「創出しているわけではない」(安全資産としての保存機能はあるが)。

EVAスプレッド的に魅力的な資産とは?

  • インフレ+実質リターンを大きく上回るROICを継続できる資産
  • 株式市場では、**ROIC > 10% かつ WACC < 7%**の構造を持つ企業群(例:GAFA+SaaS)が理想的