AIで揺らぐエクイティファイナンスと株式市場の意義
株式市場の意義について
TANAAKKでは株式上場大手との取引や20%のエクイティファイナンスをすることによってエクイティのオフバランスによる資本効率性とオーガニック成長のバランスを吟味してみた。しかし最も最適な出口は株式を希薄化させて上場することではなく、純利益を積み増して純資産法による株式の買い戻し、メジャー株主は株主価値の向上という責務を全うした上で、最後合意の上でマイノリティースクイーズアウトをすることではないかという結論に至りそうである。
株式公開しながら権限を維持するオプションについて
たとえば種類株を作って議決権を50%以上持ったとしても経済的持ち分が10%台まで減ってしまえば、意思決定権があったとしても配当持ち分は少なく、純利益を増やそうというモチベーションは個人からでてこなくなり、結局経済的持分を希薄化しない方が良かったのではないかという議論はありうる。
AIで消えるのは株式市場の意義では
例えば、自力で1000万円から始めて10%のROICを出すことができ、銀行取引やリース取引をしながらエクイティの放出することなしに売上を増やし、規模の経済とともにオペレーティングレバレッジが実現できるとしたら、株式を放出するという選択肢を取る人はいないだろう。そして、シミュレーションがバーチャルでできなかった5年前と、ほとんど全ての現実の事象がモデル化でき、AIでモデル化、シミュレーションできる2026年とは前提条件が違う。AIで消えるのは実は株式市場の意義ではないか。
株式市場はマイノリティ持分の個人のための機関であり、マジョリティオーナーのためのものではない
株式市場の最も実証された勝ちパターンは勝ち馬に金を預けるというローコストインデックスのパッシブ投資である。勝った事業者にドルコスト平均法で金を預けることで、「どの銘柄が上がるか」の戦いから、「勝った株式を買うだけ」のポジショニングに移行できる。そして株式市場の上位に君臨できるのはオーナー資本が10%台いかに希薄化した「顔のない」会社である。顔のない会社に顔のない個人が殺到し、それぞれ年間15%くらいの利回りを得て、5年で元本を2倍にするというのが株式市場の仕組みである。
上場株を買う時に感じるアンティークを買うような「寂しさ」
上場株を買うときには17世紀のアンティークの時計や20世紀前半のアンティークジュエリーを買うような「もどかしさ」がある。元々10万円で売られていたようなデイトナが20億円になる。元々10万円で売られていたパテックのグランドコンプリケーションが10億円になる。出荷後に積み上げられた時間やストーリー、購買履歴で価値が上がっていくのであるが、その値上がりは本質的な収益還元法ではなく、人気投票制であり、もはや元々のコスト積み上げ法やマーケット法といった相対的なプライシングには基づいていない。
内部燃料だけで生存できなかった企業が上場している
株式市場に上場するような企業は、元々は外部資本に依存することなしに存続することのできなかった「ゾンビ」である。内部燃料だけで生存できなかった企業が巨大化すると、あたかも内部燃料が潤沢にあるかのような見た目になるが、外部燃料に依存して大きくなった企業はどこまで成長したとしても外部燃料を主体とした補給方式から変更することができない。株式市場の究極的な実態は「社会保障」であり、社会保障なしに生存できなかった組織がキャピタルマーケッツにより生かされているというのが実態である。
ローカル最適はグローバル最適に取って代わられる
株式市場の「根拠のない」金回りの行き着く先はカルテル、トラストである。人類は数十年をかけて、財閥解体、独禁法設立、新たな種類のカルテル、トラスト、解体を繰り返しており。このような公正取引に欠けるローカル最適がグローバル最適に取って代わられる時、必ず理念の衝突が発生し、深層ルールの変更によって完結する。
非上場企業は消費者を通じて上場市場と接続する
消費者は労働収入の10%を長期株式保有し、キャピタルゲインで財やサービスを消費者として使う。非上場企業の基本指針はD2Cとして、キャピタルマーケッツで少数持分による利益を確定した個人が浮いたお金でできる何かを提供することなのではないか。非上場企業が上場大手企業のサプライヤーになると上場市場の巻き添えを喰らってしまう。上場企業の巻き添えを喰らわない非上場企業としての適切なポジショニングが必要である。そしてそれを提供するためにまたキャピタルマーケッツから金を集めるというのは循環構造になっており、完全自己資金でキャピタルマーケッツからエネルギーを集める方が空間構造として適切なのではないか。
これを証明するためにTANAAKKでは本業の利益を根拠とした営業キャッシュフローの増加とオペレーティングレバレッジにより、PcLOG, PLOGによる成長を、最小作用原理で実現するという実験を継続してみようと思う。
株式市場の「アンティーク化」と「社会保障」の実態
現在の上場株式市場は、企業の将来収益を割り引く「収益還元法」の場から、希少性と物語に基づく「人気投票(ビューティ・コンテスト)」の場へと変質。
- 資本の外部依存: 内部燃料で回せなくなった組織が、不特定多数の「顔のない個人」から薄く広く補給を受けることで延命・巨大化する構造は、資本の社会保障システム。
- 希薄化の代償: 創業者の持分が10%以下に希薄化した「顔のない会社」は、個人のインセンティブではなく、システムの慣性(ガバナンスという名の形式)で動くようになる。
2026年:AIが「リスク」を「計算可能なコスト」に変えた
5年前まで、株式市場が「不確実性」をリスクプレミアムとして価格に織り込むことで成立していた。しかし、2026年のAI環境下では、以下の前提が崩壊。
- シミュレーションの完遂: ROIC -WACC の継続性をAIが高精度に証明できるなら、それはもはや「投資(リスク)」ではなく「確実な計算(アービトラージ)」。
- 最小作用原理の適用: 最小のエネルギー(自己資本と低コストなデット)で最大の効果(成長)を得るという物理学的な最適解をAIが導き出せる以上、高コストなエクイティを放出することは、熱力学的な損失に等しくなる。
非上場D2Cモデルによる「空間構造」の構築
外部燃料なしに生存できなかった巨大化したゾンビをランキング化する株式市場という前提に立つと、「上場市場の巻き添えを喰らわない非上場企業のポジショニング」は、資本の食物連鎖からの脱却を意味する。
- 接続の再定義: 上場企業に依存するサプライヤー(B2B)は、上場市場の非合理なボラティリティをそのまま押し付けられる。
- 循環の完結: キャピタルマーケッツで「あぶく銭」を得た個人(消費者)に対し、圧倒的な実利と体験(D2C)を提供し、その対価を直接、完全自己資金のキャッシュフローとして回収する。
これは、資本を「外部から調達するエネルギー」ではなく、「内部で発生させ、外部の余剰熱(消費者のキャピタルゲイン)を吸い上げる磁場」として定義し直す試みである。
TANAAKKの実験:最小作用原理によるPcLOG/PLOGの実現
「本業の利益を根拠としたオペレーティングレバレッジ」こそが、2026年における最も純粋な経済合理性である。
株式市場が「過去の遺物(アンティーク)」となり、AIが未来を計算可能にした今、経営者に残された唯一の聖域は「意思決定(自由意志)」。希薄化を拒絶し、純利益によるスクイーズアウトを出口とするTANAAKKの実験は、「資本に飼われる経営」から「資本を従える経営」へのパラダイムシフトの証明になるはずである。
増加するフリーキャッシュフローを内部調達の根拠としていれば、外部環境の激変(ブラックスワン)に対する財務弾力性もあるはずである。「持分100%を維持したままのグローバル・スケール」には臨界点があり、臨界点まで耐えるための数理モデルを有していれば、株式市場からの直接金融は必要ないと結論づけられそうである。
創業者の残存寿命?
この「持分100%でのグローバル・スケール」を維持する際、唯一の脆弱性は「資本の物理的限界(時間の壁)」かもしれない。しかしながら、この点においては「空間」や「時間」をどのように認知するかによって前提が変わりそうである。
「自力成長による世界制覇に要する時間」と、株式市場を利用した「希薄化を伴う加速による時間」の差分が、「創業者の寿命」というバイオロジーの臨界点を下回っているかどうかが、一般的なエクイティファイナンスにおける決定的変数になるのだとは思うが、それは時間を線形時間として扱っている数理式からくる理解であり、時間が非線形力学であるという前提を置けば、数理的には常に創業者の寿命の制限範囲内で株式市場を利用するよりも大きな成果を得ることができるという解が導き出せそうである。しかし、これは株式市場を利用するよりもさらに複雑系を扱うことになるため、新たな経済理論と言えそうである。
物理的時間(線形) vs. 密度の時間(非線形)
線形時間モデル: 成長速度 v は資本量 C に正比例する。加速には外部燃料が必要。
非線形力学モデル: 成長は「情報の密度」と「エネルギーの変換効率(最小作用原理)」に依存する。系内部での自己組織化をAIで最適化すれば、外部から見た1年(線形時間)の中に、通常の企業の10年分に相当する「経済的進捗(エントロピーの減少)」を圧縮して詰め込むことが可能になる。
株式市場を利用しない方が「速い」という逆説
株式市場を利用して加速しようとすると、以下の「時間的摩擦」が発生し、結果として実質的な成長密度が低下します。
- ガバナンス摩擦: 外部株主への説明、合意形成、監査、四半期報告という「儀式」に費やされる時間は、非線形力学における「純粋な作用」を阻害する抵抗(ドラッグ)となります。
- 希薄化による慣性: 顔のない組織(ゾンビ化)になることで、意思決定のベクトルが分散し、密度を高めることによって空間曲率が増すことによる加速度 a が低下。
「空間構造」としての自己資本場=特異点
非上場企業が「キャピタルマーケッツの余剰熱(消費者の浮いたお金)」を吸い上げる力場として機能するという定義は、経済空間における「特異点」の形成を意味する。
- エネルギーの還流: 上場市場という「社会保障システム」で増幅された熱量を、D2Cという直結パイプを通じて、実利を伴う価値(プロダクト)へと変換し、自己の純資産へ回収する。
- エントロピーの局所的減少: 市場全体が「人気投票」というカオス(高エントロピー)に向かう中、TANAAKKの系内では「数理モデルによる秩序」によってエントロピーを減少させ、強固な実在(純資産)を構築する。
この実験は、「不確実性を外部に売る(上場)」のではなく、「内部整合により時間を圧縮する(自己資本)」ことこそが、AI時代の真の最短経路であることを証明するプロセスである。
TANAAKKの数理モデルが導き出す未来:
- 外部燃料(株式)に依存する巨大組織は、エントロピー増大(ゾンビ化)により長い時間をかけて自壊する。
- 内部燃料(純利益)と最小作用原理を極めた組織は、時間の非線形性を利用し、寿命の壁とは関係のない特異点を超えると、グローバル・スケールを完遂する。

