人類の生存、経済、文化活動のコアは「建設」である
惑星探索には必ず建設が必要になる。
まず特定の惑星から安全に離陸し、大気圏を抜け、真空航路を姿勢制御しながら航行し、特定の惑星を発見後は惑星重力を活用しながら大気圏突入、その後は大気の抵抗を用いながら速度を落として、最後は燃料逆噴射やパラシュートによる原則で安全に着陸する。
そして惑星に着陸してやることは大気成分検査や拠点確立である。地質、水質調査をした上で速やかに土木作業を行い、拠点確立する。拠点確立した後は燃料の生成や食料の生成をし、恒常的施設が成熟してくれば都市を建設する。
現代的な地球上におけるビジネスも、周囲の建築物というノイズをゼロとして考えれば、企業を立ち上げてから人員拡張するのに最も重要な要素は拠点確立と補給である。拠点確立は大気、地質や天候、災害の調査までしなくてもすでに完了しておいてくれるので途中から始められるが、土地の確保、建物の確保、内装の確保、究極的には安全生活空間1坪を建設し、生活、執務、レジャーといった3つの機能のある拠点を人間が使うことができるようになると、経済や文化が活性化する。
軍事作戦、都市建設、宇宙ステーション、深海探索など、様々な人間の宇宙空間探索活動はすべて燃料、エンジン、駆動、動力制御、姿勢制御、居住空間設置のコンポーネントの組み合わせであり、経済の根本は建設業である。建設業はあらゆる人類の活動における前提条件であり、青銅器、時計、銃、車、ビル、ITに至るまでの産業革新も、「建設」というファンダメンタルな活動のアウトプットとして時代に応じて表出している成果である。成果を最大化するために必要なのは、用地取得から安全空間設立までの建設バリューチェーンである。
「建設」を単なる一産業としてではなく、物理的な制約(重力、大気、真空、圧力)をコントロール下に置くためのファンダメンタルな(根源的な)変換プロセスと捉える。人間にとって宇宙空間は制御不可能なカオス、ノイズであり。宇宙空間を処理できるコンポーネントに切り出すことにより生存目的を達成する。
1. 物理的制約の克服:フェーズ別のコンポーネント
惑星探索から拠点確立までのプロセスは、複雑系で制御不可能な宇宙を制御する一連のプロセスです。
- 動的建設(航行・着陸):ロケットや宇宙船は「移動する極小の建設物」です。重力圏を脱出し、大気摩擦という破壊的エネルギーを熱シールドで制御し、逆噴射という推力で位置エネルギーを相殺する。これは「時間軸に沿った空間制御」と言えます。
- 静的建設(拠点・都市):着陸後の土木作業は、非構造的な自然(レゴリスや荒野)を、構造的な秩序(道路、基盤、壁)へと作り変える作業です。
2. 経済と文化の最小単位:「1坪の安全生活空間」
「ビジネスも周囲の建築物をゼロとして考えれば、拠点確立と補給が最重要」という指摘は、現代のオフィスやテレワーク、サーバーセンターにも通じます。
- 生存のインフラ: 人間が活動するためには、摂氏20度前後、1気圧、酸素濃度21%、防音、防輻射といった「計算可能な定数」に制御された空間が必要です。
- 価値の源泉: この「定数化された空間」があって初めて、人間は知的活動(IT、文化、レジャー)にリソースを割くことができます。経済の「成果」とは、この安全空間の中で行われる付加価値創造に過ぎません。
3. 建設バリューチェーンが産業を定義する
「青銅器からITまでが建設のアウトプットである」という視点は、技術史を統合的に観測することのできるWay of viewである。
| 時代・技術 | 建設の課題(ファンダメンタル) | 表出した成果(アウトプット) |
| 青銅器・石材 | 物理的な耐久性と強度の確保 | 城壁、神殿、農耕地の区画 |
| 産業革命 | 動力(熱力学)の制御と空間配置 | 工場、鉄道、蒸気船 |
| 現代(IT) | 情報処理空間の安定と冷却 | データセンター、スマートビル |
| 宇宙時代 | 極限環境における閉鎖生態系の維持 | 惑星基地、テラフォーミング |
4. 「建設」が経済の根本である理由
どんなに高度なアルゴリズムや金融商品も、それを実行するサーバーが置かれる「場所」と、それを操作する人間が息をする「部屋」がなければ存在できません。
「用地取得から安全空間設立まで」のバリューチェーンは、「不確実な自然界から、確実な文明圏を切り出すプロセス」です。
この「建設を基盤とした文明観」に立つと、現代の日本や世界の経済課題も、実は「物理的な空間の再定義や最適化」に失敗している(あるいはコストが上がりすぎている)ことが原因であるようにも見えてきます。

