不動産、建設業界は1坪の最小居住空間3×3マトリクスに収束していく

Growth-as-a-Service™︎| Decrypt History, Encrypt Future™

不動産、建設業界は1坪の最小居住空間3×3マトリクスに収束していく

人間が宇宙空間において、願望を処理するとき、人間スケールの球状フィールドを想定している。例えば、身長182cmであれば、およそ半径1.8mの球空間がその人のテリトリーである。

情報処理の摩擦やコストが大きい時代は、不動産は流動性が低く、取引は活発に行われることはないアセットクラスだった。しかし、デジタル化、小口証券化によって不動産の流動性は上がり、流動性が上がっていくにつれて、実は一人の人間に必要な居住空間はさほど広くないということが明らかになってきているのではないか。

例えば、港区に土地を持っていた人は虎ノ門ヒルズや麻布台ヒルズの開発で、土地を売り、区分所有に切り替えてしまう。地方に豪邸を持っている人も祖父母が亡くなってしまえば便利な都心に引っ越してしまい、家の維持管理や空き巣対策ができないために売ってしまう。土地神話は若者世代の利便性によって簡単に覆されてしまう。

スケールをどんどん広くして、大きい方が良いのであれば、100平米、1000平米、1万平米、10万平米、100万平米と住宅の敷地面積を広げていくことも考えられるが、現代では王宮に住むということは自由を失うということになる。王族は収入源を自分で管理することができないくらい経済社会と共依存してしまう。

究極的な1坪にこだわると自分の空間に他者が入ってくることを許容できなくなってくるはずだが、大きすぎる屋敷をスタッフなしで維持するのは困難になる。

人間の動きを点群で管理すれば、宇宙から見た1人の人間の動きは、広い地球のほんのわずかな区域を毎日行ったり来たりしており、さらに家の中ですら、たったの3点くらいしか滞在していない。例え豪邸であっても3点〜5点が限界である。

人間は土地には根付いておらず、その時代時代にあったニーズに合わせて特定の1坪を移動するのが自然ということである。

3に収束する身体的な理由

世界最高の宝石が何になるのかというと三大、五大に別れる。ダイヤモンド、ルビー、エメラルド、サファイア、アレキサンドライト、翡翠、パールなどの並びになるが、大体、上位3つは確定し、5番目くらいで揺れる。

Haute Joaillerieでいえばカルティエ、ティファニー、ヴァンクリーフ、グラフ、ハリーウィンストンになるし、

オルロジュリでいえばパテックフィリップ、オーデマピゲ、ヴァシュロンコンスタンタン、ロレックス、リシャールミルになる。3大はどれかと言われてパテックを入れない人はいないだろうが、PP, AP, Rolexにするか、PP, AP, RMにするか、PP, AP, VCにするかは意見が割れるところだろう。

例えば世界最高の時価総額の会社といえばApple, Nvidia, Microsoft, Alphabet, Metaなどやはり3大〜5大になる。3大と言われてAppleを外す人はいないだろうし、Nvidiaも外せなくなっている。しかし、Microsoft, Alphabet, Metaのどれが残り一つに来るかは意見が割れるところである。

これは人間の指が片手5本であることと、人間の腕が2本+目で1点なので、最大で3つのものは捉えられるからなのではないかと考えている。

つまり、居住空間においても以下の3×3のマトリクス、そして3番目は最大3つの中からローテーションを組まれていることで3〜5になる。

3×3マトリクス

人間のあらゆる行動を点群化すると、ほとんどの人は基本以下のどれかに収まる

・居住空間(1.ソファ 2.ベッド 3.食卓・書斎など)

・執務空間(1.デスク、2.食堂、3.特定会議室など)

・転換空間(1.カフェ、2.居酒屋、3.その他娯楽)

それぞれ最小単位は体の2倍くらいの長さの面積である。例えば3*3=9平米=3坪。だが基本1坪の中に収まっている。

そして奇遇なことに宇宙空間であってもこの法則は適用され、ロケットの居住空間の最小単位は3*3*3の空間である。

空間の最終消費単位のコンポーネントは1~3坪であり、究極的には1坪に対しての消費について、最大シェアをとった会社が次の不動産、建設、FacilityManagement, Plant Managementの雄となるだろう。その端緒はタワーマンション、シェアオフィス業界やリゾートホテル区分所有などの急成長などに現れている。

生活の実体は「1坪(3.3平米)という標準化されたモジュール」の切り替えに集約される。これを「空間のD2C(Direct to Consumer)」および「製造小売業(SPA)」として再定義する

3×3マトリクス

カテゴリ1坪モジュール A1坪モジュール B1坪モジュール CモジュールD, E
居住 (Residential)安眠(ベッド)団欒・弛緩(ソファ)摂取・書斎(食卓)ベンチ、ローテーションで入れ替わり
執務 (Commercial)集中(デスク)交流(特定会議室)栄養(食堂・カフェ)ベンチ、ローテーションで入れ替わり
転換 (Recharging)静(カフェ、飲食店)動(ジム、プール、ゴルフ、サウナ)縁(居酒屋・スナック・カラオケ)ベンチ、ローテーションで入れ替わり

3×3マトリクスを2セット持つ人のマルチモーダルパフォーマンス

この9つ1組のセットは通常東京だけ、大阪だけという人もいれば、東京と京都という2セットを持つ人、東京と沖縄の2セット、または東京とシンガポールの2セットの人がいる。

マトリクス複数セットのマルチモーダルになると情報処理能力が上がる。家を二つ持っていてもさほどパフォーマンスは上がらないが、家、仕事、転換場所の1セット×2を持つ人のパフォーマンスは上がる。モデルが二つになり、デュアリティにより計算資源が豊富になる。

情報処理モデルを複数持つことは、モデル間のスクリーニング能力やコンバーティビリティ、ユニバーサリティを高める。

だからと言って3、4、5と空間セット数を増やしていけば良いかというとそうでもなく、モデル維持費の方が高くなりパフォーマンスは落ちるだろう。せいぜい2セット、最大3セットくらいが限界効用でそれ以上は処理速度の向上よりも人生の時間が足りなくなるため効率が悪い。人間にとって無限に広がる宇宙空間はノイズでしかなく、享受できる空間の豊かさには身体的な上限があり、この制約条件は庶民からビリオネアまで共通の前提である。

3×3マトリクスのアンカリングによる効率的な情報処理

人間は場所に3×3アンカーを張ることにより情報処理をしている。無限に広がる空間は脳にとってノイズで計算が追いつかない。問題を切り分けること、つまり特定の「1坪」にアンカーを下ろすことで、初めて人間は「安眠」「集中」「リラックス」といった特定のモードへ脳チャンネルを切り替えることができる。

この「アンカーとしての空間」を最小単位で最適化、金融により規模の経済を実現しスプレッドをとるのが次世代の不動産、建設業であろう。

建設業は国、地方自治体、土地形状、土地用途や周囲の景観の影響で一つとして同じ前提条件はない、オートクチュール型のビジネスであり、建設業において製造業のような画一化を図ってしまうとどんなに上手に規格化しても少しばかりの残念さが残ってしまう。建設業はディオールのオートクチュールにして、Ready-to-Madeやプレタポルテのコレクションとは分離する必要がある。

つまり、人間にとっての最小計算空間は、オーダーメイド型であるべきであるが、その背後にあるルールベースやより抽象的な計算目的の解の出し方にはパターンがあるということである。

あらゆる居住空間は惑星探索における最小安全空間として定義でき、ポータブルな価値を持つ。ロケットの居住空間、潜水艦、ヨット、乗用車、トラック、公共交通機関、住宅、ヴィラ、ホテル、職場などを共通規則とモジュールで扱うことができる

不動産業を「場所の賃貸業」から、脳のモードを切り替える「高密度なアンカー(点)のデマンド、サプライ、プラットフォーム化」してみると、ユニバーサルな比較ができるようになる。

どんな高級なプレジデンシャルスイートでもたったの1点×3箇所しか使わない。例えば、ソファ、ベッド、ダイニングテーブルなど。300平米の部屋で部屋にジムやプールがついていてもそれは4つ目の場所、5つ目の場所、または目的の異なるリチャージングカテゴリの空間である。

つまり、3坪のために一泊300万円を支払う人がいる。

空間が変わったとしても価値を凝縮するために、人は洋服、靴をアップグレードする。アップグレード先はどのようなマテリアルでも良い。ゴールド、プラチナ、などの重元素のみならず、炭素、水素ベースの繊維、エキゾチックレザーでも良い。とにかく、みんなで考えた時により価値があるのはどちらだろうと考え、より良いものを選んだ方が良くなる。

どんなに均質に見えるものも、人は違いを見極めるものである。特定空間の1坪の価値を高めるためにテレビ、パソコンを買い替える。

1坪の価値を高めるために数億円の腕時計、数億円の指輪を買う人がいる100億円のペントハウス、ルーフトップ、プレミアムレジデンスも3坪のために100億円を支払う。1坪しか居住空間のないロケットは1人あたり100億円かかっている。最新鋭の航空機、戦車、潜水艦も1坪のために数億円〜数十億円である。

ただし、重要なこととして、人間の支出、投資は、究極的には自分と関わりのあるたった3×3=9坪にしかフォーカスすることができない。他人の居住空間のクオリティを高めるためだけに人生を費やすと、エネルギーを他者に持っていかれることになる。

1坪のD2C・SPA化

自分のためであれば、数億円かけてたった1坪を整備するという活動は報われる。なぜなら、人間は1坪より大きい空間を認知できず、人間にとっての宇宙は目の前の1坪なのである。1坪のD2C・SPA化を前提としたスケーラブルなスプレッドを構成した事業者が次の時代の覇者となる。

従来の不動産モデル次世代の「1坪マトリクス」モデル
土地に価値が紐付く機能(モード)に価値が紐付く
汎用的な間取り(3LDK等)3×3の最適化されたモジュール
所有による流動性の欠如小口化・証券化による高流動性
オートクチュール(高コスト・低速)
または大量生産、大量消費
オートクチュールをコアとして、量産の道を開く
プレタポルテ(スタイルやルールの規格化)

自分と関係のある1坪に時間とカネを投下し、自分と関係のない¬1坪からは資金を引き上げる。そうすることで目の前の空間を追認することができる。端的に言ってみれば目の前にあるスマートフォンやパソコンのスペックを1段階あげることは追認行為であり、価格以上の価値が出る。100円の缶コーヒーを500円のスタバコーヒーに変更するという習慣を連鎖させることは収入を500%向上させることと同義になる可能性があるということだ。ただし、バランスが取れている必要があるので、1坪のボトルネックから取り替える方が、効果は高い。例えば、パソコンなどはスペックが高くてもイヤホンが1000円くらいということがあるだろう。AppleAirpodに変えれば2万円使えるし、ルイヴィトンのイヤホンに変えれば20万円使うことができる。

1坪という最小単位において、「よりよい品質」を配置することは、脳に対する「自分はこれだけの価値増幅を処理する人間である」という強烈なフィードバック装置になる。PC、イヤホン、椅子、立地……とボトルネックを順番に潰していく行為は、自身の演算能力(パフォーマンス)を最大化するためのインフラ整備である。

物理的な「広さ」から、認知の「密度」への転換

身の回りに高級品を置き続けていたら次は家の立地が気になり始めてしまうとアップグレードするために引越しをする必要も出てくる。アップデートが停滞してきて、全体を底上げするために最高級の1点ものを買う必要がある時も出てくる。

ボトルネックをクリアしながら近接空間の全体を底上げすることが重要なので、想像以上にライフステージの収入ベースを変化させるのに必要な最小空間内のパラメータ多要素で構成されている

事業ドライブも3×3の手元空間にいつでもエネルギーを呼び出せる「召喚可能性」が重要であり、クラウド、IPカメラ、コネクティッドの優位性はここにある。事業とは召喚獣のようなものなのである。