CITES証明書の取得方法|附属書Iと附属書Ⅱの違い

ワシントン条約(Convention on International Trade in Endangered Species of Wild Fauna and Flora(絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約))CITES(サイテス)は、野生動植物の一定の種が過度に国際取引に利用されることのないようこれらの種を保護することを目的とした条約です。
ファッションメゾンで以下のような商品を購入した際にCITESⅡの書類を依頼する必要があります。店舗によって、証明書取得に慣れていない場合もあり、自分で取得することが必要な場合もあります。

- ディオール
- レディーディオールヒマラヤクロコダイル
- ルイヴィトン
- カプシーヌクロコダイル
- フェンディ
- バゲットクロコダイル
- ピーカブークロコダイル
- エルメス
- ケリーポロサス
- ヒマラヤバーキン
- ロロピアーナ
- ビキューナ
- ヴァシュロンコンスタンタンなどオルロジュリー
- クロコダイル、アリゲーターなどの腕時計ストラップ
特に、クロコダイルやアリゲーターなどのワシントン条約(CITES)対象種を含む製品を海外で購入・日本に持ち運びする際、または日本で購入し、海外旅行に持参する際は、法的に非常に厳格な手続きが求められます。特に、「原本(Original)」の保持が通関の絶対条件となります。
購入および海外旅行(輸出入)に必要な手続き
ワニ革(クロコダイル、アリゲーター)は、基本的には「附属書II」に分類されます。
基本的な流れ
- 現地での確認: 購入前に、販売店が「CITES輸出許可書(原本)」を発行できる正規店か必ず確認してください。
- 輸出許可書の取得: 帰国(入国)前に、輸出国側の管理当局(政府機関)が発行したCITES輸出許可書の原本を入手する必要があります。
- 日本への持ち込み(税関): 日本入国時の税関検査で、この「原本」を提示します。
1. 海外出国時にすべきこと
例えばシンガポールや香港の店舗で発行された「CITES輸出許可書(原本)」を持って、空港の税関窓口(Customs)へ向かってください。
- 必須アクション: 税関職員に「CITES輸出許可書の原本」と「現品」を提示し、許可書の裏面に「輸出のスタンプ(裏書き)」をもらってください。
- なぜ必要か: 日本の税関では、その書類が「実際にシンガポールから正規に輸出された際に使用されたものか」を確認します。スタンプがない場合、書類が「未使用(使い回し可能)」とみなされ、無効(偽造疑い)として日本入国時に没収されるリスクが非常に高いです。
2. 日本入国時にすべきこと
日本に到着後、赤いライン(課税/申告あり)の税関カウンターへ進みます。
- 提出物:
- CITESⅡ輸出許可書の原本(シンガポール当局のスタンプがあるもの)
- 購入した現品
- 注意点: 預け入れ荷物(スーツケース)の中に入れてしまうと、税関で取り出すのが大変です。手荷物として持っておき、すぐに提示できるようにしてください。
3. 「特例(手続き不要)」に該当するかどうかの確認
個人の携帯品(お土産)として持ち帰る場合、一定の条件を満たせばCITESⅡ書類そのものが不要になる「特例」がありますが、ワニ革製品については、基本的には「書類が必要」と考えたほうが安全です。
- ワニ革(附属書II)の場合:
- 日本側のルールでは「4個まで」なら書類不要の特例がありますが、海外側がリアルタイムの行政手続きで「輸出許可が必要」としている場合、日本の税関もその輸出許可書(原本)を要求します。
- シンガポールの店舗が「CITESⅡ書類が必要だ」と言って発行してくれる場合は、必ず上記の「出国時のスタンプ」をもらうようにしてください。
重要:書類を紛失・スタンプ忘れした場合
もしシンガポールの税関でスタンプをもらい忘れたり、原本を紛失したりして日本に到着した場合、その場で商品は没収(任意放棄)または積戻しを命じられます。
後から「シンガポールから郵送してもらう」という対応は、日本の税関では原則認められません(輸入時の提示が必須なため)。

CITES附属書Iの場合
主にビキューナやアジアゾウ、アフリカゾウの象牙などは附属書Iにあたり、商用の利用が制限されており、仮にお土産で買えたとしても輸入することは難しく、日本の「種の保存法」に基づく「特別国際種事業者(象牙を取り扱う登録事業者)」であっても輸入することはできません。
CITES原本を紛失した場合の対応
万が一、輸出許可書の原本を紛失してしまった場合、「日本国内で再発行してもらう」ことはできません。 許可書はあくまで「輸出した国」が発行するものという定義です。
紛失時のフロー
- 購入国販売所への連絡: 商品を購入した店舗、またはその国のCITES管理当局に連絡し、再発行(Replacement)が可能か交渉します。
- 経済産業省への相談: 日本側の窓口は経済産業省(野生動植物貿易審査室)です。輸入手続きのトラブルについては、まずこちらへ相談してください。
3. 自然環境研究センターへの連絡と役割
質問にある「一般財団法人 自然環境研究センター(JWRC)」は、主に「国内にすでに存在する国際希少種」の登録や譲渡の管理(種の保存法に基づく業務)を行っています。
海外からの輸入時に原本を紛失した場合の直接的な窓口ではありませんが、「輸入後の国内登録(剥製や生体など)」が必要な個体に関しては、こちらが窓口となります。
自然環境研究センター(国際希少種管理事業部)
- 主な役割: 日本国内での登録票(個体識別番号など)の発行、紛失時の再交付、名義変更など。
- 連絡先: 03-6659-6018(平日 10:00~17:00 ※12:30〜13:30除く)
- 公式サイト: 自然環境研究センター 登録センター
紛失・トラブル時の使い分け
- 海外から日本へ持ち込む際のトラブル(許可書紛失など) → 経済産業省 貿易経済協力局 野生動植物貿易審査室(03-3501-1723)
- 日本国内ですでに登録済みの個体の登録証を紛失した場合 → 自然環境研究センター(03-6659-6018)
再交付申請書のサンプル

空港の税関や保安検査で使用されるX線検査装置は、単に形を見るだけでなく、物質の「密度」や「原子番号(素材の性質)」を色分けして表示する機能を持っているため、隠せばバレないというのにはリスクがあります。
1.象牙の場合
象牙は非常に密度が高く、成分の約70%がカルシウムなどの無機物で構成されています。
- X線の映り方: 非常に「硬いもの」として映ります。金属ほどではありませんが、一般的なプラスチックや木材とは明らかに異なる「強い不透過性(白っぽく、あるいは密度が高い色)」を示します。
- 形状と内部構造: 印鑑や置物などの形状はX線でくっきりと浮かび上がります。CTスキャン型X線検査機では、象牙特有の内部構造(縞模様など)に近い密度の違いまで検知できる場合があります。
2. クロコダイル(ワニ革)の場合
革製品は「有機物」として分類されますが、クロコダイルやアリゲーターの革には特有の性質があります。
- X線の映り方: ワニ革には「石灰化した鱗(皮下骨板)」が含まれていることが多く、これが普通の牛革や合皮とは異なる独特の粒状の反応として映ります。
- AIによる検知: 現代の主要空港では、AIによる自動検知システムが導入されており、特定の絶滅危惧種のパターンを認識してアラートを出す仕組みも準備されています。
3. X線以外のチェック体制
「X線さえ通らなければ大丈夫」というわけではありません。税関は多角的な方法でチェックを行っています。
- 検疫探知犬: 象牙や特定の野生動物の匂いを嗅ぎ分ける訓練を受けた「野生動物探知犬」が導入されている空港もあります。
- 開披(かいひ)検査: X線で「不自然に密度が高いエリア」や「不審な形状」が見つかれば、必ずカバンを開けての目視検査が行われます。
- プロの目: 税関職員はブランド品や高級素材の知識が非常に豊富です。クロコダイルの質感や、象牙特有の「菱形模様(シュレーゲル線)」などは、目視で即座に判別されます。

