「買う」という選択 最初の一本は最後の一本であるべき

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「買う」という選択 最初の一本は最後の一本であるべき

ゴールドは、イエローゴールド、ローズゴールド、サンドゴールド、ホワイトゴールドとさまざまな選択肢がある。何かを買うときに重要なことは、初めての1本を買うことと、最後の1本を買うことである。たとえば、価格の制約がない場合にステンレススチール、セラミック、チタン、カーボン、プラチナ、ゴールドのなかでどの素材を選ぶのか。

世の中で一番高いものから安いものまで見尽くしたときに位置ポテンシャルとしてどこに停留するか。

例えば広い家に住みたいと思って、100平米以上の家を選び、どんどん広くなって1万平米になったとき、不動産の管理人のようになって身動きが取れなくなってしまうだろう。

世帯1人当たり40平米くらいがちょうど良いのではないか。そして平家の庭付きよりも、ガードマンや車寄せつきのタワーマンションでベランダ付きの方が、資産が軽くてよいのではないか。また、所有するよりも賃貸の方が気楽である。人気の土地の利回りが1-3%なのであれば、資本は土地に拘束させず運用して、5%以上で運用すれば家賃くらいはカバーすることができる。

資産は常に維持保全が付きまとう。毎日プールに入りたいからプールを家に設置したとしても、数日で細菌だらけの水になる。毎日のように塩素消毒しないと藻が張ったプールに入れない、結局は五つ星ホテルのプールに入りに行った方がよいのではないか。

つまり、欲しいものというのはカネがないときはその基準が曖昧である。カネや時間の自由がないときに欲しいと思ったものは、意外カネと時間の余裕ができた後には無用の長物となっていることがある。

足し算的に増えたバリエーションの中から一つを選ぶのは難しい。ゴールドとステンレス、生涯で一本しか買えないとしたらゴールドを選ぶ。プラチナとゴールドも生涯で一本を選ぶとしたらゴールドだろう。

2本目だからとか、コレクションしたいからとかいろいろな理由がてくると、すこしなら良いだろうというその甘さが、不要な重いしがらみを増やしていく。資産を増やすことには必ず呪縛がつきものである。余計なものが増えていくというエントロピーの増大の罠に必ずハマる。

会社の買収も、買収に慣れてくると、不要なものまで買収しようとする。社員が増えてくると不要な社員まで採用しようとする。

あったほうがよいのではないかという不安駆動型の生き方は砂上の楼閣になりうる。そのときに重要なのは一つだけしか買えなくて、それが人生最後の一つになるとしたらどうするか。最初の一本は最後の一本であるべきだし、何本目だとしても、その選択の根拠は最初の一本であり、最後の一本になりうるかという前提が必要である。「最初の一本だから安いのを買おう」と言っていたら、それが最後の一本になる可能性を忘れている決断だ。

増やすよりも難しいのは、あらゆる可能性を吟味した上で、ポテンシャルを停留させる収束他を選び抜くことである。他を捨て、一つだけ選びとり、その選択が他の選択よりも優れていることを、他の人生を歩むことなく証明する必要がある。