GAASの産業政策ー10億倍の価値創出

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GAASの産業政策ー10億倍の価値創出

ゴールドの性質を持つ事業の創出-GAAS

GAASはゴールドの素材を用いた文化財の発掘、精製、製造、販売までをその範疇としている。IoT SaaS型事業はまさにゴールドである。金のなる木である。しかし、ゴールド事業は探し始めるとほとんど存在しないことに気づく。丸の内、銀座などのある通りに集まっているのだ。

ゴールドは10億分の1しかないにも関わらず特定の場所に集まる

パテックフィリップ、カルティエ、ロレックスのゴールドモデルを購入して身につけている人は身の回りにどれくらいのいるだろうか?ほとんどはスティール、プラチナモデルの購入者なはずである。さらにゴールドベースのダイヤモンド、レインボーサファイアモデルにプラスして、ミニッツリピーター、スーパーソヌリ、セレスティアル、パーペチュアルカレンダー、トゥールビヨンなどの「ハイジュエリーフルパヴェジェムセット+グランドコンプリケーション搭載モデル」を見たことがある人はほとんどいないのではないか。

ゴールドは寿命と同様に長いバリューチェーンを持つ

ゴールドはキロノヴァで生成されてから、超質量による空間還元、または陽子崩壊か宇宙の寿命という長い時間をかけないと消失しない。生成、発掘、分離、精製、加工、工芸、文化性の付加に至るまでとても長いバリューチェーンを持つ。ゴールドはその性質上もっとも地球上で見つけにくい性質をもつポータブルなエネルギーパッケージであるため、簡単に見つけられるものではない。

鉄(Fe 26)、銅(Cu 29)、銀(Ag 47)、金(Au 79)の見つけやすさの違い

一方、銀は金の100倍見つけやすい。銅は金の1万倍見つけやすい。鉄は金の100万倍見つけやすい。鉄をメインとした産業である自動車業界は、新規事業ではゴールドを発掘しないといけないのだが、気持ちの切り替えができないままカネだけどんどん使ってしまう。せいぜいワイヤーハーネス=銅くらいの感覚で新規事業を進めてしまう。仮に金が含まれる銅の鉱床を発見済みで、銅コンセントレートを得ていたとしても、銅の1万分の1しか金は含有されていないので、その1万分の1の金を電解プロセスから得ないといけない。プラチナ(Pt 78)、イリジウム(Ir 77)、パラジウム(46 Pd)、ロジウム(Rh 45)、ルテニウム(Ru 44)などの白金族も地上では発見しにくいが、地球に含まれる割合は金よりも若干多い。

銅を精製する満足感は必ずしもリターンを意味しない

100トンの銅を精製しているとその大きな作業で満足してしまうが、そこからはたった1kgの金しか得られない。たった1kgの金が銅の100倍の純利益をもたらす。ほとんどの大企業は鉄、銅、銀くらいの感覚で新規事業を扱い、最後の最後に得られるゴールドを見逃し、新規事業は赤字続きで儲からないといって諦めてしまう。最後にセカンダリーで入った外部者(アウトサイダー)に全ての利益を取られるのはそのためである。(Winner takes all)

ゴールドは発掘から精錬だけでも利益が得られるが、さらにアップサイドがある

金が100万分の1含まれる銅のコンセントレート(銅も1%)を売ろうとしてもただの汚い石を売るのと同じなので、二束三文でしか売れない。銅の分解のついでにとれたアノードスライムから、ゴールドを純度99.99%で精錬し、人間の肌に害がでないよう、銀、銅、パラジウムを25%混ぜて、イエロー、ローズ、ホワイトなどの好みの色の18Kを作る。仮にゴールド24Kが得られたのであれば、素材そのものを売るだけでも莫大な利益になる。

18K加工の後も金の利益凝縮は続く

そして18Kを鋳型に流し込み、複雑機構の入ったムーブメント、ケース、ダイヤル、秒針、ブレスレットなどを作り、表面をポリッシュしてマットや艶などのニュアンスをつくる。そして最後に彫刻、ギョーシェでディテールを作り込み、芸術作品が出来上がる。これにダイヤモンドやルビー、サファイアを装飾し、機能の検査をして、最後にチャイムの音の響きの美しさを確認して出荷である。デジタル証明書を付け、箱、保証書、紙袋とカタログ、パンフレット、記念品を添えて、グローバルシティの一等地の路面店で売り、さらに出荷した製品のオーバーホール対応、盗難があった場合には追跡できるようにする。

セカンダリーでリセール品の価値が落ちていないことまで確認する。また、価値を落とすような代理店との契約は早期に解消する。

鉄鉱石から金が発見されることはない

日本の新規事業は、鉄鉱石を発見しただけで満足してしまうケースが圧倒的に多い。鉄鉱石は30%鉄なのでわかりやすいが、鉄鉱石から金が発見されることはない。少し進んで銅鉱床を発見しただけで満足してしまうケースも多い。そして銅鉱石に熱をかければ銅が取れると勘違いするが、銅鉱石の処理は化学処理であり、硫酸で溶かしたときの堆積物のアノードスライムの中に金(Au 79)の他にビスマス(Bi 83)、鉛(Pb 82)、テルル(Te 52)、銀(Ag47)、パラジウム(Pd 46)、セレン(Se 34)、シリカ(二酸化ケイ素)(Si 14 O 8)などが含有する。金、プラチナ、パラジウムを王水で溶かして還元したあとにさらに分類してはじめて24Kができる。

金は原価の10億倍までの付加価値がつく稀有な元素である

金濃度の高い銅コンセントレートであっても100万分の1(ppm)しか金は含有していない。さらに金を精製できたとして、金をそのまま売るよりも、金無垢ブレスレットにすれば金の価格の3倍で売れる。さらに複雑機構のサヴォアフェールとメティエダールの文化芸術を付加すれば、金の原価の100倍から1000倍で売ることができる。銅鉱石の発見、土地の仕入れからグランドコンプリケーションの販売までで10億倍の付加価値がつく。

金はレアであるため常に生産できるバリューチェーン、エコシステムの構築とスケールが必要

一方、1本10億円の時計を販売したところで、平均5000万円の維持費がかかる従業員5人分ほどの給与にしかならない。つまり、1本10億円の時計を販売することよりも、1000万円を1000本販売して100億円稼ぐ方が重要となってくる。1本10億円は1000本分の10本として、価値の相対を牽引する役割にはなるが、1本だけで成立するものではなく、スケーラビリティやサステナビリティが重要である。

このように、銅山を見つけるところから、最後消費者が手に取るオートオルロジュリーのタイムピースを具現化するまでの一連の過程では正味10億倍もの付加価値が詰まっており、これこそが新規事業の醍醐味なのである。

GAASは“ゴールド型新規事業フレームワーク”である

• 新規事業の本質は「金を探し、金を精製し、金に文化をまとわせる」こと

• 価値の99.9999999%は最後の最後に生まれる(10億分の1、10-9

• 大企業は“前半工程だけ”で満足するから失敗する

• 生産出荷から、プライマリーマーケット、セカンダリー、エコシステムのリスク保障までが真の最終工程であり最後までやり切る設定が前提の組織が正しい学習を繰り返し、利益を総取りする(Winner takes all)

• IoT SaaSは現代の金であり、GAASはその体系化である

GAAS(ガース)はGrowth as a Service であるとともに、そのコンセプトの中にGold, Gravity, Groundなどもの意味をセミオティックに含んだ事業である。手元資金ゼロから純資産20億円まで、支配権を維持しながら12年で実現したことが仮説検証の裏付けである。TANAAKKの単体正社員は13名であるが50億円の連結売上があり、一人当たりの売り上げが3.8億円という点も、パテック、オーデマピゲ、ロレックス、リシャールの1人あたり売上約1.5億円〜8億円と並ぶところである。