人間の本当の年齢は138億歳である
🌌 人間の本当の年齢は138億歳である
「自分は何歳か」
戸籍には生年月日があり、体は成長し、やがて老いる。数え年は10ヶ月、生年月日よりも早い。
しかしそれは本当の意味での「年齢」ではない。
人間を形づくる原子のひとつひとつに目を向けると、私たちの身体は、宇宙そのものの歴史を宿している。
1. 星の灰から生まれた存在
いま私たちの血の中を流れている鉄原子、脳の電気信号を担うナトリウム、そして微量に含まれる金原子――
それらは、太陽よりも古い。鉄は、太古の恒星の核で生まれ、金やウランは、星が死ぬ瞬間の爆発や中性子星の衝突で生まれた。それは宇宙が生まれてからわずか数億年後の出来事。
つまり、わたしたちを構成する原子のほとんどは、宇宙がまだ1歳にも満たないころにすでに存在していた。
2. 地球は若く、物質は老いている
地球が生まれたのは45億年前。だがその材料となった物質――鉄、酸素、カルシウム、炭素――は、そのはるか前、宇宙誕生から数億年後にすでに作られていた。地球は若い星だが、その体は老いた星々の灰でできている。
太陽は燃え続ける若者だが、地球はすでに古代の星の遺骨を纏う老成した惑星だ。
人間は138億歳といえる。
太陽は地球の前に成立しているが水素を燃料としている点で地球よりも若いとも表現できる。1987年の超新星形成できた新しいブラックホールもある。
「138億歳の私」
私たちが「生まれた」と呼ぶその瞬間、宇宙の物質は新たな組み合わせを得ただけで、一度も「無」から現れたことはない。原子は死なない。それは星の時代を超え、銀河を渡り、いま私たちの体に宿っている。
私の本当の年齢は、母親が産んだ日ではなく―
宇宙が最初に光を放った日から数えられる。数え年で5兆400億日目、137億9700万年と数日目である。
「観測可能な宇宙の端までの距離(465億光年)」を“光日”という単位で言い換えると:
光が 約16兆9800億日(= 約465億年) かけて届く距離が可視宇宙の半径の大きさである。直径なら930億光年、33兆日である。
「私は宇宙の子どもである」
私たちは宇宙の始まりから続くエネルギーの連鎖の上に立っている。体の中で燃えるミトコンドリアの化学反応も、太陽の核融合より古いもので構成される原子の物理法則で動いている。
人間は138億年という宇宙の記憶を抱いた“古代の生命体”であり、その意識は星の歴史の延長線上にある。あなたは、宇宙が長い眠りの末に見る「自分の夢」なのだ。そしてその夢は、138億年前から、今も続いている。生年月日が違っても皆5兆日目といえるかもしれない。5兆日目でないと作れないものをプロダクトがつくれれば、PLOGになるだろう。
体を構成する原子には無数の試行錯誤の記憶が138億年分記録されている。その想起方法を知れば、手のひらのコスモは一回きりの人生を導いてくれるのだ。

