心臓のうるささを無視してはいけない
人間は無音室に長時間入れられると心臓の音がうるさくなって気が狂ってしまうという実験がある。しかし、一方で、普段の生活の中だとしても、心臓の鼓動に認知のチューナーを合わせると、心臓はあらゆる外部の騒音の中で一番うるさい。鼓動は音という認知ではなく、顔中、胸中、手のひらから足まで全身を常に駆け巡っており、このうるささを無視して自分を優先できないようでは必ず不都合が起こるだろうという根拠が容易に導き出される。
心停止は人間の死亡の最後の砦である。心臓よりも先に脳、肝臓、腎臓の方が機能不全になり、体は力尽きる。心臓(生命の中心)の「主張」を無視し、外的要因を優先するような生き方では、必ず構造的な破綻が生じる、という命題は心臓の鼓動から当然導き出される。心臓は最も頻繁に存在の背景場に常時接続する場所である。
可視宇宙<可視外宇宙<まだ宇宙にもなっていない有限空間<有限・無限<基底
心臓を知るということは宇宙にもまだ至っていない基底に近づくことと同意である。

