ディフェンスの強さが勝負を決する

Growth-as-a-Service™︎| Decrypt History, Encrypt Future™

ディフェンスの強さが勝負を決する

勝負の世界ではすべからくディフェンスの強さが勝敗を決する。オフェンスの派手さは勝利にはつながらず、ディフェンスの強さが相手のディフェンスを凌駕することにより結果的に相手のディフェンスのパターンを超えるディフェンスパターンの体系的ストックにより、自陣のオフェンスが相手のディフェンスに勝つことができる。ディフェンスのライブラリの多様性がオフェンスの勝利を呼ぶということである。

企業にとって売上はオフェンス、純利益はディフェンスであるが、純利益はオフェンス(売上)をどんなに強くしても生み出すことはできず、逆にオフェンス志向はディフェンスの穴を露呈する。これはスターフォワードが多いにも関わらず負けているサッカーチームのようである。

勝負の世界ではディフェンスの強さによって純利益が確保できる。そしてそのディフェンス力は常にストレステストにさらされる必要があり、ストレステストにより常に弱さが露呈し、レジリエントに再構成されるようでなくてはならない。組織の穴は最も弱いところに表出するのであり、それは勝負の間で起こるとは限らず、風邪、事故、怪我、災害、突発的な損失などあらゆる予測不可能な事象として顕在化する。顕在化した出来事を偶然と考えてはいけない。偶然に何かが起こるとしてもリスクが保全されるよう、事前に囲いをておくことで、リスクが顕在化したときも契約的予測可能性の範囲内で自由意思を遊ばせることができる。

つまり、勝利とはポジショニングということであり、ポジショニングとは、体系化されたオントロジーであり、構成員の内部で現実世界の事象に関するカテゴライゼーションが効率的に進むということなのである。

資本収益上のアップサイドはディフェンスの強さにより得られるものであり、売り上げ増というトップラインの増加は想像以上に実質的な勝利をもたらすことがない。実質的勝利とは守りの固さにより生まれる前線の余裕度、自由度から生まれる。

建築構造、外観、配管、床、内装を踏まえた上で、最後に天井に無駄がない、整然とした綺麗な部屋を作るためには、建築に関する全てを総動員する必要があるのだ。場所、料理、味、清潔感全てが揃っている江戸前鮨でも天井のエアコンが汚れていることがある。天井、空気は床や水回りよりも意識が向きにくい分あらゆる思想の最後のアウトプットとなっているのである。そもそも場所が悪かったり、シンボルでなかったり、住民の注目が最も集まっていないホテルであれば意味はなく、目抜通りのラグジュアリーホテルNo.1を確保した上で、さらに守りを固め、ランドマークのホテルのシグネチャルームの天井を作ることと共通した計算プロセスを有している。その部屋を使う人は、大人数を動かすことができるのである。つまり、最も目立たない部分の守りが、最大のレバレッジを生むのである。

世界中から年間1億人の観光客を集めながら、シンボリックな建築物を維持し、かつ内装から天井まで気を使い、食事のカテゴリ一つ一つに職人カリキュラムをおき、かつバイオダイバーシティを保全し、街の空気まで清浄化していくことに意識が向いている街には、それ以上のディフェンスを考えていない街は勝つことができない。