Captives|キャプティブズ

キャプティブとは何か?
キャプティブとは、Captive Insurance Companyの文脈で用いられる単語である。通常は保険会社がリスクを外に出すために設立する再保険子会社のことを指す。キャプティブの主な目的は、リスクにかかる総コストを削減し、企業がより適切に情報に基づいたリスクテイクの意思決定をスケーラブルにすることである。キャプティブには大きく分けて2つの種類があり、シングルペアレント型とグループ型がある。グループ型は同様のリスクを持った会社のために作られるキャプティブのことであり、例えばタクシー業界の自動車に関わる損害保険を引き受けるタクシー共済などがある。グループ型キャプティブから独立再保険会社に変わっていったトーア再保険のような会社もある。
シングルペアレント型のキャプティブ保険会社は事業のバリューチェーンを組み立てる上でとても良い題材である。例えば、以下のような事例はキャプティブ化とは異なるが、単体ではリスクをオフバランス(財務諸表から外す)しながら事業リスクをエコシステム全体でコントロールする一連の手法である。
1. クレジットカード会社と債権回収会社の関係
- クレジットカード会社は、利用者への与信リスク(返済不能リスク)を常に抱える。
- その一部を外部の債権回収会社(サービサー)に譲渡することで、貸倒損失の処理を外出しし、カード会社のリスクを切り離すことができる。
- これは「リスクを移転し、回収業務を専門の子会社や外部業者に任せる」点で、キャプティブ保険に似ている。
- 違いは、キャプティブは外部ではなく自前の子会社を作って内部化するのが基本という点。
2. 住宅ローンと団体信用生命保険(団信)
- 銀行が住宅ローンを貸すとき、借主が死亡・高度障害になった場合の返済不能リスクが生じる。
- このリスクを「団体信用生命保険」によって保険会社に移転。
- つまり、銀行はキャプティブを持たずとも「保険という仕組みでリスクを外部化」。
→ この団信の仕組みはグループ型キャプティブに近い。
3.TANAAKKの事例
例えばエンジニア人材という需要の方が供給よりも少なく、バブルになっている市場では、TANAAKKがGAASによる大企業との新規事業を開始するとき、エンジニアリングリソースを日本の派遣会社にエンジニア委託すると価格が高く、日本企業子会社のベトナムオフショアに頼んでもマージンが高いという問題があった。また、ベトナムオーナーのオフショアでも同様のマージンやコミュニケーションの問題があったので、最終的にはTANAAKKの日本法人のみを顧客とする、専用のTANAAKK VIETNAMを設立した。TANAAKKベトナムはTANAAKK日本の子会社ではないものの、キャプティブの考え方に類似するストラクチャリングである。
キャプティブと共通する構造
- 外部に頼るとマージンが高い
- 日本の派遣会社や日本企業が運営するベトナムオフショアに委託すると、仲介マージンが積み上がり、最終コストが高止まりする。
- これは「外部の保険会社に保険料を払うと利幅を取られる」構造と同じ。
- 自前の子会社を作ってリスク/コストを内部化する
- 外部に依存せず、自社専用のオフショア拠点=TANAAKK VIETNAMを設立することで、
- コストを最適化
- 品質を自社統制下に置く
- 中間マージンを削減
- これは「キャプティブ保険会社を設立して、保険コストを自社内に取り込む」仕組みに類似。
- 外部に依存せず、自社専用のオフショア拠点=TANAAKK VIETNAMを設立することで、
- グループ内最適化と再投資
- TANAAKK VIETNAMで生まれた利益や効率性は、最終的にグループ全体の競争力につながる。
- キャプティブも同じく、保険リスクを引き受けて余剰資金をプールし、将来的に再投資やグループ保全に使える。
キャプティブとの相違点
- キャプティブ保険会社は本来「リスク移転のための保険スキーム」なので、金融規制(保険業法・税制)との関わりが強い。
- TANAAKK VIETNAMは「人材・開発リソースの直接調達」のための拠点であり、保険スキームではない。
- ただし本質は同じで、「外部業者に払っていたプレミアムを自社グループに取り込む」=キャプティブ的発想。
まとめ|キャプティブ化
- TANAAKKがベトナム子会社を作ったのは、人的リソース調達のキャプティブ化といえる。
- 保険のキャプティブは「リスク引受コストの内部化」、TANAAKK VIETNAMは「人材供給コストの内部化」。
- 両者に共通するのは、外部マージンを削減し、自社統制を高め、グループ内に利益とリスクを閉じ込める発想。
これは単なるオフバランスやアウトソーシングとは違う考えであり、インソーシング(内製化)や垂直統合とも異なる戦略である。このキャプティブモデルと言える一連の思考シミュレーションは事業設計において優れたツールとなる。