ブランドエクイティとは露出回数ではなく、フリーキャッシュフロー創出能力である

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ブランドエクイティとは露出回数ではなく、フリーキャッシュフロー創出能力である

価格が1番安いところを選ぶという神話が家電、小売にあるが、もはや現代の消費者は価格だけが購買要因だとは考えておらず、選考基準は複合的なものととらえており、売り手がディスカウント競争に敏感になるほど、買い手は低価格にこだわっていない。そもそも現代は上位1%の消費者が50%の富を保有している。下位99%も50%の富を持っているとしても、上位1%にアプローチする方が100倍は効率的というのが国民主権資本主義の結論になっている。

プレミアムとは選択を迫ることである。自動的に安い価格を選ぶ顧客に商品を提示するのはブランドとは言えない。ブランドとは広域問題に関する命題を提示し、考えさせ、選ばせるという活動である。

ブランドエクイティと価格には相関関係はない。ブランドエクイティと露出や認知も相関関係はない。ブランドエクイティとは投下資本に対する営業キャッシュフローイールドである。ブランドエクイティは地球規模の最適解の計算に対する消費者の「投票行動」である。ブランドプレミアムが他の同じ効用を持つ代替品とのマージンの差だと定義すると、プレミアムとは局所解に陥ったローカルプロダクツと、広域解を追求するグローバルプロダクツの思考の自由度の差であり、地球規模の将来利益のDCF現在価値による交換がプレミアムである。プライシングパワーによるプレミアム取引こそが事業のマージンオブセイフティー(安全余剰)である。つまり、ブランドエクイティとは、過去の積み上げによる現在の最適解ではなく、未来も含めた長期間における最適化問題なのである。

例えば、ニュースでローソンは料金据え置きで40%増量した弁当を出したのでソーシャルメディアで話題になりブランド認知が上がったという主張があり、セブンイレブンは増量キャンペーンに出遅れたのでブランド認知がランク外まで下がったといわれるが、セブンイレブンはいまだにローソンの10倍以上の営業CFを生み出しており、ブランドエクイティの優位性は全く動いていない。なぜローソンが1番伸びているというような間違った主張が生まれるのか。これは露出回数をブランドとご認識しているからである。日本のブランド価値の専門研究機関のランキングもフリーキャッシュフロー創出能力をベースとしていない評価なのであれば当てにならない。

例えば、ビットコインは伝統的な金(ゴールド)などの資産保全手段に比べて本当にコスト優位で、地球環境にもやさしいと言えるのか?富の保管や資産のトランザクションについてのCO2や保管コスト、取引コストを削減しているといえるのか?ビットコイン市場を維持するためのGPUや計算資源のエネルギー消費によるCO2排出量や演算コストが、ゴールドや他のコモディティよりも優れていなければ、イールドを産まないビットコインという資産はゴールドにすら勝てないし(ゴールドは数千年も低コストな富の保全物質として機能している)、イールドを産む資産(株式や国債)に長期的には負けていくだろうということが予測できる。