経営再建のゴールドスタンダード|ノンリコース再生支援

事業承継が流行る中で、経営再建型のディストレスト投資は基本形を守らなければ、ミイラ取りがミイラになるプロジェクトである。株主として民事再生企業に関わる場合には以下のようなアクションが必要である。
経営再建における基本スタンス:ノンリコース & 実行支援型ファシリテーション
1. 連帯保証を原則として要求しない(ノンリコース)
- 純資産がない会社や債務超過の会社のオーナーが株式を1円で売却し、連帯保証解除を求めてくるケースは多い。
- しかしながら保証して借りたのは全オーナーなのであり、日本の民法では担保提供するか、自己破産するまで債務免除はできないというのが基本である
- 買い手としては、原則として連帯保証は提供しないスタンスを明確にする。
- 理由:リスクテイクの範囲は再建支援に限定され、保証人としての法的責任を負うことは経済合理性を欠くため。
- その前提で、売り手がわは売り手だけでは実行することが難しい経営再建プロジェクトと、債権者とのタフな交渉をアウトソースすることができる
2. 再建支援の条件:現実的な弁済計画と技術リソース支援
- 債務の弁済計画(5〜10年)を現実的な事業キャッシュフローに基づいて策定し、債権者集会で合意形成。
- 新たな親会社からの支援は、主に下記のようなオフバランス型のリソース提供:
- エンジニアリング・オペレーション支援
- 金額換算で年間数千万円レベル
- ただし資金提供ではなく貸与/業務支援の形態で行う
3. 増資方針:ターンアラウンド見込みがある場合に限定
- 経営再建によってターンアラウンド(急成長)可能性があると判断した場合にのみ、親会社は増資を検討。
- その場合でも:
- 増資資本は運転資金または成長投資に充当されるべき
- 増資資本は既存債務の返済には原則使わないのが原則
4. 債権者との関係:任意整理の形でリスケジュールを交渉
- 弁済困難な場合には法的整理ではなく、**任意整理(私的整理)**を優先。
- すべての債権者に対し債権者集会で情報開示し、**事業再生計画に基づくリスケジュール(元本据え置き・利息カット等)**を交渉。
- この過程において、当社はあくまでファシリテーターとして機能し、経営の主体は対象企業に維持。
- 5年から10年に渡り、正常収益力を確保するのが至上命題
- 営業CFの回復無くして経営再建は完了しない
総括:リスク共有ではなく、再建支援の構造設計を通じて成長シナリオを共創
- 経営再建における買い手の立場は、リスク保証人ではなく再建設計者。
- この構造が明確であることで、財務・法務・事業面の整合性を持ちながら再建を進められる。