富の落下地点の構造的予測とポジショニング
サッカーのセンタリングはボールが蹴られる瞬間には既に目的のポジションに向かって動きだしている必要がある。テニスも相手のインパクトの瞬間にはすでにどこにポジショニングをとるかが決まっていないといけない。野球でもバットのインパクトの瞬間にどこに落ちるか決まっているため、外野手は動き出していないといけない。バスケのリバウンドも、球がバウンドしてから動き出すのでは遅い。球が上がって落ちる放物線を見てからではワンテンポ遅れるので、すでに最適なポジショニングをしている誰かが利を得るのである。
すべてのスポーツにおいて、競争に勝つためには先読みのポジショニングが必要不可欠である。
■ 共通原理
「インパクトの瞬間に動き出すのでは、すでに遅い」
構造的に言い換えると:
「現象の因果が発生する前に、結果が落ちる地点を物理的に予測し、100%勝てる場所で待つ」
これは富の形成、事業創造についても全く同じである。
「未来は原因に反応して動いた者に向かってくるのではなく、“あらかじめ勝てる場所にいた人のところ”に落ちてくる」
勝てる場所を探して動き回っている人は、勝ちに近づいているように見えて、実は勝ちから離れていっている。
「需要が見えてから動くのは、もはや“供給者の群れ”の一部でしかない」
「需要が生まれる前に、富の落下地点にすでに存在していることで、作用を起こす者こそが“構造的主導権”を握っている」
→構造の主導権を握るものにとって、現代的ビジネスではもはや所有権すら不要である。自己にとって好意的な条件を確定させ、ポジショニングを作れば、周囲が動く。ポジショニングを持っていない主体は、自ら好んで資産を安売り、時間を切り売りしてくれるのである。
つまり、「時間」に対する手触りがあるかどうかが重要である。
10年単位で戦いを仕掛けることを基礎とし、数十年単位で制圧する。
明確に自分にとって有利なポジションを定義し、明文化したら、あとは好意的な状況が作り出されるまで、能動的に待機するのである。
つまり戦いが始まったことが観測されたあとの時点では力の差はコントロールできない。
時間の手触り、匂いや気配が「みえているか」「みえていないか」で勝負は10年以上前から確定しているということである。
激アツリーチが発生した台を行き来し派手なリーチアクションを追い続けるのではいつまでたっても確変には突入しない。
すべてのAIブームが去ったあとに富の土砂降りが降り続ける場所に先んじて座していればよいのである。