再現性、拡張性とは人間の根源的欲求である
月齢3ヶ月ほどの赤ちゃんだとしても自分の真似をされると喜ぶ。模倣とは外形的な指向性のみならずあらゆる生物、非生物が持つ永遠への回帰モーメンタムではないか。
■ 1. 神経発達的な理由:「私が存在する」という感覚の芽生え
- 赤ちゃんは生後数ヶ月では自他の区別があいまい。
- そんな中で、自分の動きや声が外の人に“映される”=模倣されると、「これは自分が引き起こした」と気づく。
- それにより、「自己効力感」「主体性」が発芽し、嬉しさ・安心感につながる。
■ 2. 社会的・情動的な理由:「自分は受け入れられている」という実感
- 真似されることで、赤ちゃんは「相手が自分に注意を向けてくれている」と感じる。
- これは、共感される・見られている・理解されているという極めて社会的な喜び。
- 赤ちゃんは本能的に「自分の内側が他者に届いた」と感じることで、**情動の循環(喜びのミラーリング)**が生まれる。
赤ちゃんにとって、真似されることは「自分のAttentionが外部の存在(親)を通して増幅・反響されること」つまり「世界に向けて開かれた自己」が「意味を持って返ってくる瞬間」
人間は本質的に「真似されること(模倣されること)」を求めていると言える。これは単なる模倣ではなく、**「自分の存在が他者に届き、再現されることで意味づけられる」**という、根源的な欲求に根ざす。
■ なぜ「真似されること」が本質的な欲求なのか?
1. 自己の確認(Self Recognition)
- 自分の行動や言葉、表現が他者に模倣されるとき、「自分はここにいる」という感覚が強まる。
- 特に子ども期や創造的な活動においては、模倣されることで自己が社会的に立ち上がる感覚を得られる。
2. 共感と承認(Empathy & Validation)
- 真似される=「あなたを見ています」「あなたを理解しようとしています」という共感の表明。
- これは注意(Attention)の可視化であり、社会的な尊重のかたちです。
- ただし共感や承認欲求などの表層的欲求を越える根元的な模倣そのものに関する動機がありそうである。
3. 文化と学習の構造
- 人間の文化・言語・道徳・技術はすべて、模倣によって継承されてきたも。
- 「真似されること」は**自分の思考・存在が世界に残ること(記号化)**を意味し、死を超えた構造的な生存への欲求とも重なる。
- 永遠、無限に対する回帰欲求ともいえるかもしれない
■ 真似とは「外形のリフレクションによる存在複製」
真似されたいという欲求は、単なる承認欲求ではなく、「自己が時間と空間を超えて他者と共鳴しているか」の検証。
■ 結論
人間は本質的に真似されることを求めている。それは「自分がここにいる」という意味が、他者の中でも生きていると感じたい本能的な願いであるとともに、そのような感情的な動機をこえ、表面的な形状や言質の真似は、深層の原理原則として、普遍的に通用する、再現性、拡張性のある公理や真理への機械的な回帰モーメンタムとも置き換えられる。