ISO 37301:2021(コンプライアンスマネジメントシステム – 要件および使用のための指針)は、組織が法令・規制・倫理的要請を体系的に遵守する仕組みを構築・運用するための国際標準規格です。
📘 ISO 37301 概要(2021年発行)
✅ 基本情報
項目 | 内容 |
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正式名称 | ISO 37301:2021 – Compliance Management Systems |
発行機関 | ISO(国際標準化機構) |
発行年 | 2021年4月(ISO 19600の後継/初の認証可能規格) |
対象 | あらゆる規模・業種の組織(企業・団体・公共機関など) |
目的 | 組織の法令順守と倫理的行動の継続的改善を支援する |
🎯 主な目的・意義
- 組織が内部・外部の法的要件や倫理的期待を体系的に特定・管理・監査できるようにする
- 法令違反や不祥事リスクを低減
- ガバナンス、透明性、信頼性の向上
🧩 構成:PDCAサイクルに基づく7章構成
1. コンテキストの理解(Context)
- 外部・内部の課題(規制環境・企業文化など)の特定
- ステークホルダーのニーズと期待を明確化
2. リーダーシップ(Leadership)
- トップマネジメントの関与と方針策定
- コンプライアンス責任者の指名
- 組織文化・倫理的風土の醸成
3. 計画(Planning)
- リスクベースアプローチによるコンプライアンスリスク評価
- 法的・倫理的要件の把握と対策計画の策定
4. 支援(Support)
- 資源配分(人材、時間、予算)
- コンプライアンス研修・内部通報制度の整備
- 文書化、記録保持、内部広報の整備
5. 運用(Operation)
- 手順と統制の導入(例:贈答、契約、輸出入)
- サプライヤー・外部委託先のコンプライアンス管理
6. パフォーマンス評価(Performance Evaluation)
- 内部監査、自己点検、KPI分析
- 苦情・不適合のモニタリング
7. 改善(Improvement)
🔐 特徴的な要素
要素 | 説明 |
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認証取得可能 | ISO 37301は、第三者認証を受けて「コンプライアンス体制が信頼できる」と証明可能(ISO 19600は認証不可だった) |
ISO 37001(贈賄防止)との統合性 | ISO 37001と併用することで贈賄防止+法令順守体制を包括的に構築可能 |
ESG・SDGsとの整合性 | 倫理・透明性の強化がESGスコアや投資評価にも連動する仕組みとして注目されている |
✅ 企業が得られるメリット
項目 | 内容 |
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信頼性向上 | 取引先・投資家・規制当局からの信頼を獲得 |
リスク管理 | 違法行為・不祥事の発見と未然防止 |
国際展開支援 | グローバルで求められる行動基準との整合 |
労働文化改善 | 倫理的な意思決定・内部通報の活性化 |