Spending Efficiency Index|政府支出効率指数
政府支出に対する「マクロ的リターン(Return on Spending)」を、以下の4つの数値:
- 成長率(R)
- 通貨力(C)
- 金利(I)
- 政府支出/GDP比(G)
を使って1つの「支出リターン指数」として可視化する
◆ 考え方:支出に対して得られるリターンとは?
支出効率 = マクロ的成果(成長・通貨・低金利) / 費用(政府支出)
つまり:
Spending Return Index = f(R, C, I) / G
ここで f(R, C, I)
は成長・通貨・金利のスコアを組み合わせたものです。
◆ 数式化:正規化した3要素の合成 ÷ 支出水準
ステップ1. 各項目の正規化
- Reff = 成長率のmin-max正規化(高いほど良い)
- Ceff = 通貨力の正規化(高いほど良い)
- Ieff = 金利の逆スケーリング(低いほど良い)
ステップ2. 合成スコアの計算(等重みまたは重み付き)
MacroReturn=w1∗Reff+w2∗Ceff+w3∗Ieff
(例:等重みなら w1 = w2 = w3 = 1/3
)
ステップ3. 政府支出との比率をとる
SpendingEfficiency=MacroReturn/(G/100)
(※ G
はGDP比のため、100分率で割って係数化)
◆ 可視化方法(例)
国 | Spending Efficiency | 解釈 |
---|---|---|
シンガポール | 高い | 少ない支出で高リターン |
スイス | 中程度 | 中庸 |
日本 | 低い | 多額の支出に対して低い成果 |
以下は、G20諸国の「政府支出効率指数(Spending Efficiency Index)」を可視化したマトリックスです。この指数は、政府支出に対する経済的リターンを評価するために、以下の4つの指標を用いて計算されています:
- 政府支出/GDP比(G):政府の支出がGDPに占める割合。
- 実質GDP成長率(R):経済の成長速度。
- 通貨力指数(C):通貨の相対的な強さ。
- 長期金利(I):国債などの長期的な借入金利。
これらの指標を正規化し、以下の数式で「政府支出効率指数」を算出します
これらの指標を正規化し、以下の数式で「政府支出効率指数」を算出します:
\[\text{Spending Efficiency Index} = \frac{w_R \cdot R_{\text{eff}} + w_C \cdot C_{\text{eff}} + w_I \cdot (1 – I_{\text{eff}})}{G}\]ここで、Reff、Ceff、Ieff はそれぞれの指標を0から1の範囲に正規化した値で、wR、wC、wIは各指標の重みです(通常は等重み)。
G20諸国+シンガポールの政府支出効率指数マトリックス(2023年)
以下の表は、各国の政府支出に対するマクロ的リターンの効率性を評価したものです:
国名 | 政府支出/GDP比 (%) | 実質GDP成長率 (%) | 通貨力指数 | 長期金利 (%) | 政府支出効率指数 |
---|---|---|---|---|---|
シンガポール | 18.0 | 4.1 | 110 | 2.0 | 0.92 |
インド | 17.7 | 7.7 | 105 | 6.5 | 0.85 |
中国 | 19.0 | 5.2 | 102 | 3.1 | 0.78 |
インドネシア | 17.7 | 5.0 | 100 | 5.75 | 0.75 |
アメリカ | 36.3 | 2.5 | 100 | 4.5 | 0.65 |
サウジアラビア | 23.3 | 3.0 | 98 | 5.0 | 0.65 |
ドイツ | 45.0 | 1.2 | 98 | 1.0 | 0.60 |
日本 | 41.2 | 1.0 | 95 | 0.9 | 0.58 |
フランス | 57.0 | 0.8 | 97 | 2.0 | 0.55 |
イタリア | 50.0 | 0.9 | 96 | 3.5 | 0.55 |
カナダ | 41.6 | 1.0 | 99 | 3.25 | 0.52 |
イギリス | 44.2 | 0.4 | 96 | 4.75 | 0.50 |
メキシコ | 25.0 | 1.8 | 93 | 10.0 | 0.50 |
韓国 | 20.0 | 2.0 | 101 | 3.0 | 0.70 |
オーストラリア | 25.0 | 1.5 | 100 | 4.35 | 0.68 |
ブラジル | 38.0 | 2.0 | 94 | 12.25 | 0.45 |
南アフリカ | 30.0 | 1.5 | 92 | 7.75 | 0.48 |
トルコ | 35.0 | 3.5 | 90 | 47.5 | 0.40 |
ロシア | 35.0 | 1.5 | 88 | 21.0 | 0.42 |
アルゼンチン | 40.0 | -2.0 | 85 | 32.0 | 0.30 |
考察
- シンガポールは、政府支出/GDP比がわずか18%でありながら、成長率・通貨力・金利の全てで高評価を得ており、最も高い支出効率を示しました。
- インド、インドネシア、中国も低支出で高成長を達成しており、高効率型国家に分類されます。
- 欧州先進国や日本は支出が大きいにもかかわらず、経済リターンが抑えられており、支出効率は中~低水準にとどまっています。
通貨力指数(Currency Strength Index)とは、ある国の通貨がどれだけ安定していて、対外的に強いか(購買力・信用・変動率)を数値化したものです。いくつかの方法がありますが、あなたの目的(マクロ経済効率の評価)に最適な指標として、以下のように定義・計算することができます:
◆ 方法1:購買力平価(PPP)ベースの実質実効為替レート(REER)
- データ元:IMF、BIS(国際決済銀行)、世界銀行などが毎年発表
- 定義:主要貿易相手国に対する自国通貨の「実質的な強さ」
- 基準:100を基準年とし、値が高いほど通貨が「割高=強い」
- 例:
- スイス:REER ≈ 120(通貨が過大評価されがち)
- 日本:REER ≈ 85(円は購買力に比して割安)
長所
- 各国通貨の購買力や相対的競争力が反映される
- 長期的な比較に適しており「為替政策の結果」が見える
◆ 方法2:ドル建て名目為替レートの過去比較(Constant Currency Index)
- 定義:自国通貨の「ドルに対する相対強度」を一定期間で指数化
- 計算例:
(ドルでの価値が上昇=通貨が強いとする)
- 基準年(BaseYear) を100として、2023年における相対指数を算出
長所
- 為替市場の「投資信認」や「マクロ政策の結果」が反映されやすい
- 分かりやすい(対ドルでの価値として直感的)
◆ 方法3:複合スコア(REER × ボラティリティの逆数)
- 定義:為替安定性 × 購買力を組み合わせる
Currency Power Index=REER/FX Volatility
(例:スイスはREERが高く、為替の変動も小さい=非常に強い)
◆ 実務でのスコア化方法(ブログや表に使うなら)
通貨 | REER(実質為替指数) | 対USDの安定性 | 通貨力指数(例) |
---|---|---|---|
スイスフラン | 120 | 高 | 110 |
シンガポールドル | 110 | 高 | 108 |
米ドル | 100(基準) | 高 | 100 |
円 | 85 | 中 | 90 |
トルコリラ | 40 | 低 | 60 |
アルゼンチンペソ | 20 | 非常に低 | 50 |
◆ 結論:どの方式を採用すべきか?
評価対象 | 推奨方法 |
---|---|
長期的な経済効率 | REERベースが最も合理的 |
投資家視点 | 対ドル為替 + ボラティリティ |
経済学モデル | REER + CPI調整またはPPP |