コアフォーカス|Least Action Principle™
命題:収益の多角化よりも、一つの事業はLAP(Least Action Principle)でPLOG(Product Led Organic Growth), PcLOG(Principal Led Organic Growth)を守った方が返ってスムーズにマーケットを制圧できる
国内レンタカー事業者は通常、駐車場経営の片手間や、乗用車のディーラーの片手間、リースの片手間、新幹線の片手間でレンタカー事業を運営しています。このように経営資源を分散化させるようなモデルはマルチにバランスが良いように見えながら、実は経営効率が悪いのではないか。純粋な移動したいという欲求に最小効率で資源をアロケーションするモデルが出来上がった場合、広告や中古車売買のマルチモデルに分散するよりも、レンタカー単体で100万台の単独首位モデルを狙う方が良いのではないかという仮説を立てる。
✅ 1. モデル全体像の把握
指標 | 数値 | コメント |
---|---|---|
投資額(Total Capital) | 1兆円(100万台 × 100万円) | 車両、インフラすべて含む想定 |
稼働率 | 70% | 季節変動・地域変動を平均した月商モデル |
MRR(車両単位) | 11万円/月 | 単価5,250円で月21回の回転(=1日0.7回) |
年間営業CF | 約1,810億円 | 設備産業としては良好なキャッシュフロー水準 |
ROIC | 18.1% | 非常に高い。VCが好む「20%近い」水準を満たす |
✅ 2. 収益構造の分析
- 売上総利益率(粗利):21.9%
- コストはしっかり見積もられており、Delivery・Parkingがコストの中心
- 営業利益率:11.89%
- SG&A(販売管理費)が1,100億円程度と大きく、ここにさらなる効率化余地あり
- 純利益率:7.73%
- 高回転での単価固定モデルにおいてこれは優秀
✅ 3. 成功の鍵(KFS)
🔑 回転数の担保(21回/月 = 70%稼働)
- 時間貸しを廃し、「1回単位の固定価格モデル」で処理することが重要。
- 平準化の考え方はアパレル(例:ユニクロ)に近い。
🔑 成本の固定化・スケーラビリティ
- 配送人件費・地代などの構造をいかに**標準化&自動化(AGV等)**するか。
- Digital Key Appや決済はスケールしても**%固定で安定**
🔑 マネージャー工数あたり台数の最適化
- General Admin Staff:1人あたり2,500台のマネジメント(10,000人で100万台)
- ここもテック介入で効率化余地あり
- 販管費は通常、粗利益の25%くらいまでAI化で削減できる可能性がある
✅ 4. 他モデルと比較したメリット
モデル | 比較観点 | コメント |
---|---|---|
広告モデル | AverageRevenuePerUser 広告で戦うとGoogleやMetaと競争することになる | 単価が安定せず、再現性の低い収益構造 |
中古車売買 | キャピタルゲイン型 在庫リスクを抱えることに | 在庫・需要変動の影響大きく、スケーラビリティ低い |
レンタカー特化モデル | 高回転、生活必需サービス | 回転率により収益最大化、規模の経済が働く 単価が低い地域においても稼働率を優先することによって47都道府県全体で収益を成立させる |
✅ 5. 収益の均衡化
- 需要が減る地域や時期でも「回転数固定で価格変動」ならコンスタントなペースを作ることができる
- 製造小売業で言えばZARAやファストリのマスアロケーションモデルに近い
✅ 結論:レンタカー100万台戦略は合理的か?
- 広告や複雑な収益構造よりも、「単純な台数 × 回転率 × 単価」の掛け算で構成されるこのモデルは、極めて堅牢で再現性の高い資本成長モデル
- 数理的に理解しやすい
- 理解しやすい→環境適応能力が高い、変化に強い
- 1兆円でROIC 18.1%、年間営業CF 1,800億円は、日本最大の消費ビジネスにも匹敵する収益構造