AI/MLをどのように組織に根付かせ、業績につなげるのか?

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AI/MLをどのように組織に根付かせ、業績につなげるのか?

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1.AI/MLのブームの背景

AI/ML(Artificial Intelligence/Machine Learning)を事業に取り入れることで、売上、利益、株価を伸ばしているApple, Microsoft, Tesla, Meta, Alphabet,Nvidiaなどの成功に追随しようと関連事業を模索する経営者が多くなりつつあります。ただし、どのように自社の経営業績向上に活かせるのか、バズワードと日々の経営アクションが繋がっていない方も多いのではないでしょうか。まずはAIのブームと、AIのバブル崩壊についておさらいします。

1.1.アメリカ以外でのAI/ML成功の再現

アメリカ以外の国でもAI/MLを取り入れて急速に成長しているTencent, Alibabaなどの成功、または老舗企業のカーブアウトでも急速に業績を伸ばしているKyndril(IBM)やBlue Yonder(Panasonic)、老舗銀行でもITに強いことで各国で成長を加速させているJP MorganやHSBCなど、なぜAI/MLがバズワードになっているのか?にはエビデンスがあり、そのエビデンスはグローバル各国で再現性のあるものとなっています。

1.2.2023年は米国で3,200社が倒産|AIバブルの崩壊

一方でNew York Times が Pitchbook に依頼した調査によると、今年になって破綻した、VC が投資した未上場の米国企業数は 3,200 社、調達したベンチャー資金総額合計$27.2 billion(3.9兆円)となり、ベンチャー業界は大きな岐路に立たされています。米国のベンチャー投資は、資金量で 2021 年第 4 四半期、ディール数では 2022 年第 1四半期をピークに急速に減少、その後低調が続きます。

1.3.ベンチャーキャピタル崩壊の影響

ベンチャーキャピタル業界の資金供給量が2021年第四四半期から減った影響はサプライヤーから影響が出ました。特にブロックチェーンなどの外注先として利用されていたベトナムのITアウトソーサーでは、プロジェクトの解約が相次ぎ、2021年12月ごろから、プロジェクトがないエンジニアが急増したのをTANAAKKでは確認しています。ベトナムはこの10年間毎年給与が10%上がっていくのが一般的だったのがベトナムのテクノロジー業界ですが、2022年、2023年では給与据え置き、または減給しているエンジニアも多数となっています。

1.4.大手テック業界のレイオフラッシュ

microsoft layoff

大手テックの雇用環境は2022年9月までは右肩上がりでしたが、ベンチャー業界に1年遅れて、2022年10月を境に、Amazon,Microsoft,Meta含む大手テクノロジー企業及び、中堅スタートアップ企業も軒並みレイオフを発表。これに準じてサプライヤーも解約、派遣切りも進み、日本のクラウド、IT業界やベトナムのクラウド業界に従事していたエンジニアもプロジェクトがなくなることが多くなってきたのが2022年の後半移行です。TANAAKKでは2023年移行クラウドエンジニアやプロジェクトマネージャーの採用がしやすくなりました。(価格が低い、または主たるプロジェクトにアサインされていない人材が多い)

2.AI/MLは終わったのか?

ではAI/MLやIT産業はもう終わりかけで今後下降していくのか?というと、そうではなく、今後も上昇を続けていくとTANAAKKは予測しています。ことの本質は、AI/MLのブームが過ぎ去ったのではなく、膨大な資金投入と試行錯誤によって、適用領域が限定され、不要な費用がカットされたという点でしょう。

2.1.機関投資家の46%はAI/MLに投資できるGPを探している

第一章で触れたようなAI/MLバブルの崩壊にもかかわらず、英AIPが世界の大手機関投資家220社に実施した調査では、AI&MLを重点投資領域にしているLP(リミテッドパートナー)は46%におよび、この10年で最も大きなリターンが得られた領域として、トレンドの域を超え、今後10年でも大きなリターンが見込めるエリアとしてAI&MLに投資できるGP(ゼネラルパートナー)を探しています。これはトレンドではなく、ハイリターンのエビデンスが確立していると言えるでしょう。

2.2.AI/MLの意義|株式会社の存在意義に立ち戻る

現在では「AI/MLのスキルのみのエンジニア」の給与の価値下落が止まりません。株式会社の公理的な存在意義は株主価値の向上です。株主価値のファンダメンタル、基本は純資産の増加、純利益の増加、そして配当と株価の継続的な向上です。株式会社の買い手のほとんどがソブリンファンドやファンズオブファンズであるため、安定的に配当することや、急激に価値が下がらないことという条件が付加されます。

2.3.リーダーシップ3つの資質|Warren Buffet

株式会社の存在意義が株式価値の継続的な成長であることから、たとえばBerkshireHathawayのウォーレンバフェットは採用に関して以下のような発言を残しています。

“We look for three things when we hire people. We look for intelligence, we look for initiative or energy, and we look for integrity. And if they don’t have the latter, the first two will kill you, because if you’re going to get someone without integrity, you want them lazy and dumb. I mean, you don’t want a spark of energy out of them. So it’s that third quality. But everything about that quality is your choice.” -Warren Buffett

意訳をすると、

我々は人を採用する際3つの要素を探します。Intelligence(賢さ), Energy(行動力), Integrity(誠実さ)です。この中で最も重要なのがIntegrity(誠実さ)です。誠実さに欠けるIntelligence(賢さ)やEnergy(行動力)は組織を滅ぼすため、もしIntelligence(賢さ)のみを持つ人材が組織の中にいた場合は、なるべく行動力を発揮せずに、怠けて仕事をしない人であってほしいと思うでしょう。誠実でない賢さを持つ人が行動力を発揮してしまうと、組織を滅ぼすからです。

2.4.ITは悪事にレバレッジが効いてしまう

単純に考えてみると、株式価値、マーケットバリュー、社会的公益に対するIntegrity=誠実さや整合性、言行の一致性がない人が、賢さや行動力を発揮してしまうと、意図しようとしまいと、悪事(=企業価値や社会公益に反する)を助長してしまう方向性に行ってしまうということです。

サイバーセキュリティの知識を持つハッカーが、企業の機密情報を盗んで身代金を請求する、知能犯のようになってしまうということは一例ですが、そこまでの結果にはならなくても、自分の感情的利益のために企業の損失を引き起こしてしまうような人材は想像以上に多いため、特に悪い癖にレバレッジが効いてしまうようなテクノロジー技術が扱われる業界では、経営の基本が重んじられるでしょう。

3.AI/MLに求められる究極の条件は財務貢献

やはり、企業人として求められることというのは、企業の成績表である財務諸表を改善できる資質です。売上を作る、利益を生み出すために業務を効率化する、1人ではなく多人数で会社が回るようにする、チームを率いる、チームから信頼されるという人間力的な要素が必要であることはエンジニアでも、税理士でも会計士でも、弁護士でも、変わらないでしょう。

3.1.財務指標の改善

基本的な企業経営における支出を正当化(ビジネスベリフィケーション)するためには、主に安全性、収益性、生産性、成長性に貢献できる必要があります。

BS面(バランスシート)
・資本家とのリレーションシップがあり資本調達ができる
・無形資産投資計画の予算が作れる

PL面(プロフィットアンドロス)
・売上が作れる
・デマンドサプライコントロールができる
・規則やシステムによる業務の交通整理、効率化ができる

CF面(キャッシュフロー)
・キャッシュコンバージョンサイクルを改善できる(買掛金入金サイクルを伸ばして、売掛金入金サイクルを短くする)

3.2.AIエンジニアの財務上の価値

AIエンジニアの価値も財務諸表に照らし合わせてみると、以下のようなアウトプットが求められると言えるため、AIというスキルセット一つでは企業が求める成果を実現することが難しく、企業価値向上の目的に対して周囲の情報を整理し、人的な情報ハブとなることが求められるという点で、部下のいない高級AIエンジニアは存在し得ないと断言できるでしょう。

BS面(バランスシート)
・資本調達ができる
・無形資産投資計画の予算が作れる(事業が作れる)

PL面(プロフィットアンドロス)
・売上が作れる(ITインフラの組み合わせによるプロダクトスケール)
・デマンドサプライコントロールができる(デマンドジェネレーションとサプライヤー管理)
・規則やシステムによる業務の交通整理、効率化ができる(IDEの統一、ルールやポリシーの規定と普及管理)

CF面(キャッシュフロー)
・エクイティ、デット、レンタル、リースや決済など金融スキームの選択と新たなスキームの発明

4.AIに求められる増収、増益へのコミットメント

採用する企業側が気をつけるべきはAI/MLエンジニアが株式価値に対する上記企業価値に貢献できるようなIntegrityを保有しているかどうかでしょう。

4.1.他の効用との比較

数千万円の年間給与をもらうということは、それを支払う企業側にとっては、他の支出と比べられるものでなくてはならないということです。数千万円とは家を買ったり、高級車を買ったり、高級時計を買うのと同じくらいの価値訴求力と比べられます。資金の出し手が、リシャールミルを買わずにAIエンジニアを雇うということは時計よりも時流に乗っているし、かっこいい、保有したいと言う高揚感が必要ということです。

4.2.AI/MLにはブランド=超過収益力があるのか?

つまりAI/MLにはブランド的な価値が必要であり、ブランドとは、反復的な超過収益力のことです。例えば年収2000万円を支払うということは少なくともその仕入れにより、4000万円以上の粗利益を作れる必要があり、反復的に毎年4000万円の粗利益を生み出すために、法人顧客に請求しようとすると、人月350万円ほどになり、このような人月を長期間支払う企業は日本全国を見回してもありません。AI人材によって収益を得るためにはスキル以外の大きな理由が必要です。資本や人を動かせる、市場を牽引できるなどの要素が求められます。

4.3.数千万円の給与レンジの人材はどこにいるのか?

年収2000万円を超えてくる人材は大体日本国内ではほとんどがプライム上場企業の執行役員以上です。年収2000万円の人材が稼ぐべき粗利益は人月350万円程度となります。支払い側にとっての人月350万円は東証プライム上場企業の平均役員報酬になってしまいますので、日本全国6900万人の労働人口のうち、4000人くらいしかいないトップ人材です。

4.4.AI/MLスキル単独保有者の労働市場相場

そうすると、AI/ML単独スキルで売上や利益に直結していることが説明できないような技術のみの保有者、または部下のいるチームを作れないAIエンジニアの給与は博士号の平均年収くらいまでで高止まりしてしまうということが言えるでしょう。

5.AI/MLにお金を支払いすぎないように

採用側、購買側や発注者側で気をつけることは、高すぎる買い物をして残念な気持ちにならないようにするということであり、いかに指値を入れられるかという点は不動産購入や中古車購入と同様のコツが必要となります。もしAIエンジニアがスキルだけで給与を交渉しようとすると、日本の博士号取得者の平均年収700万円という金額からかけ離れた給与の取得はできないでしょう。

5.1.「AI/MLをどのように組織に根付かせ、業績につなげるのか?」

冒頭の「AI/MLをどのように組織に根付かせ、業績につなげるのか?」に対する問いは、「いかにハイパーグロースを生むための先端技術事業をチームアップするか」という問いに置き換えられます。まず、そのような問いに対する端的な答えとしては、「単なるIT素養を持つ1人の人材ができるものではない」という答えです。

5.2.セキュリティ、法令遵守、ルールメイキング

AI/MLやスマートコネクテッドプロダクトという新規領域では、技術だけでは解決できない、バーチャルな街づくりのためのルールメイキングが必要とされます。異なるプラットフォーム間でどのようにデータを交換すれば良いかのAPIプロトコルや、どんなデータを企業秘密とし、どんなデータをオープン化してコラボレーションを図るかのエコシステム設計、個人情報保護法やEU GDPRへの対応など、エンジニアの領域を遥かに上回るような経営上の利害調整、業界内の利害調整、業界外での社会や政府との利害調整が必要となる点が特徴です。

5.3.情報統制、罰則と監視

また、テクノロジーが普及すると、不正やフリーライダーが増えてきてしまいます。情報統制についての賞罰の仕組みをどうするか、違法とは断言できないが倫理上経営方針にそぐわないようなアクションをとってしまうユーザや社員がいたらどうするのかなど、警察権限に似た罰則に関するルールメイキングまでがAI/MLチームに究極的に求められていることだとすると、単なるIT素養を持つ1人の人材ができるものではないということが明確でしょう。

6.AI技術者の相場観

タナークではSaaSのようなクラウド事業や、スマートコネクテッドプロダクト事業などの新規領域事業を推進する一方で、レンタカー、内装工事業、法律事務所、医療機器など、さまざまな伝統的な業種を横断して、技術革新の可能性を既存産業に応用する、一連のインフラストラクチャとスキルセットを磨いています。マーケットが求める需要に対して高すぎる金額のサービスは淘汰されていくということを予測し、「はやい、やすい、うまい」革新的なサービスを提供することを心がけています。

6.1.バリューのあるAI人材の調達力が求められる

戦後時代に刀鍛冶が天下をとったことはないでしょうが、良い大名は、良い商人や刀鍛冶を知っており、良い刀を調達していたことでしょう。新しい時代に経営者がAI/MLの専門家になる必要はないですが、良いAI/MLチームを知り、調達できるようにすることは競争に勝つために必要不可欠です。高品質な新技術をいかに安定的に、他社よりも安く、多く仕入れるかが、競争に勝つために昔から変わらない要素でしょう。新規事業に関わるグロース戦略の一つとしてAI/MLの採用をご検討中の企業様、無償のディスカッションをご希望の方はフォームよりお問い合わせいただくか、以下までご連絡ください。

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