歴史的革命のは必ず「金」が関わる。ゴールドの信用モデルを解釈した新たな擬似デリバティブで次の経済は作られる

Growth-as-a-Service™︎| Decrypt History, Encrypt Future™

歴史的革命のは必ず「金」が関わる。ゴールドの信用モデルを解釈した新たな擬似デリバティブで次の経済は作られる

金は人類20万年の歴史の中でも、少なくとも1万年は歴史のある最も古いアセットクラスである。金は悠久不変であるとともに地殻、海、人の肉体に普遍的に存在する物質であり、中性子星やブラックホール級の質量還元がないと分解されない性質を持つ。
ブレトンウッズ体制に至るまでの世界の通貨体制は金本位制であり、金本位制下での通貨は、「金と交換できる」という実質的・物理的裏付けがあった。現代では、金本位制はほぼすべての国で廃止されており、現在の GBP や USD は「金とは無関係」な fiat 通貨であるが、ゴールドは姿を変えて重要産業に入り込んでいる。iphone, macbookなどのスマートフォンのワイヤーボンディングにはゴールドが使用され、錆びない、酸化しない、展性が高い、伝導率が高いという特性を活かし、精密制御が必要なあらゆる業界にゴールドは利用されている。たとえば、量子コンピュータ、軍事レーダー、人工衛星、量子加速器、重力波検知器など、情報通信、航空宇宙のあらゆる領域で、金は最重要なマテリアルである。

企業の信用創造においても金は言語以上の意味を有するセミオティック(Semiotic)コードである。たとえば、流行り廃りのあるファッション業界にいたとしても、ゴールドを扱った装飾品を設計するデザイナーだけは、ゴールドをヘリテージとして次世代に承継する前提で扱っている。ゴールドは所有するものではなく、一時的に肌に身につけたり、近くに置くことしかできない。ゴールドはその性質上、宇宙の寿命か、陽子崩壊まで存続する物性を持つため、人間の寿命よりも長い時間宇宙空間を旅している。つまり、次の世代に譲り渡すという目的が明確であるのが金なのである。

情報通信や航空宇宙において大きな信用力により将来キャッシュフローの現在価値を元に手元にない資金を調達できるのはゴールドの加工が関わるサプライチェーンの企業のみである。たとえアパレルだとしても、情報製造小売業として、ゴールドが含有されたデータセンター、パソコン、スマートフォンを利用している企業はゴールドのエコシステムに所属している。

人類がゴールドに信用創造の核を連想してしまうというのはこの数十年で出来上がった錯覚ではない。これは世界中に約170種類近く存在すると予想される元素の周期モデルの中で最も人間に扱いやすい質量のパッケージとして比較優位で相対的に選ばれた結果であり、人間(または動植物でさえ)のDNAに深く染み付いているアンカーではないかと感じる。

GBP, USDも元々はゴールドの信用から始まり、徐々にゴールドから離れてトポロジカルにゴールドをメタファーとした擬似デリバティブと変化した。 GPU、ASICという、ワイヤーボンディングにゴールドが使われる計算資源も、金の物性をその出自とする擬似デリバティブであるとするとビットコインも同様に金のメタファー資産である。ビットコイン経済は金の物性をアルゴリズム化している。
Patekが1996年の広告で標榜したGenerationsスローガンも、まさに金の物性を表現している。
“You never truly own a Patek Philippe, you simply look after it for the next generation”
パテック フィリップを真の意味で所有することはできません。ただ、次の世代のために大切に守っていくだけなのです。

金(ゴールド)を保有している企業が信用を得やすいという統計はないし、ゴールドを保有した時と保有しない場合を比較できないため、統計をとっても対照実験、仮説検定の裏付けにならない。資本を増やすためにゴールドを保有しようという主張は、ゴールドはイールドがないし、生産性がないので持っている意味がないという論拠に抵抗することはできない。しかしながら、日本において、豊臣秀吉の多田銀山、徳川家康の佐渡金山、明治政府の金主である三菱、住友の金鉱山に至るまで、主要な国内革命が起きた決定的な歴史的イベントの分岐点は、金採掘である。江戸幕府は金の流出により力を弱め、明治政府は金の信用により新たな正当性を得た。ナポレオンボナパルトは戦勝により100トン級のゴールドを集めたし、イギリスが力を落としたのは第一次世界大戦における100~200トン級の金の流出が関連しており、アメリカが強国になったのは300トン級のゴールドラッシュの影響がある。

豊臣秀吉や徳川家康はその地位の確立に伴い、100トン級のゴールドを保有した。江戸幕府は200年間で200トン強の金を失い、幕末にはほとんど金を保有しておらず、明治政府に取って代わられた。イギリスは第一次世界大戦のたった5年間で160トンもの金を失い、政府の金保有量が半減した。一方アメリカはゴールドラッシュの5年間で350トン超のゴールドを得た。

いまだに国の実質的強さは金の保有トン数ランキングに比例しているのではないか。アメリカのように8000トン超の金を国家が握るためには国際社会の避難や攻撃などあらゆる抵抗を潜り抜けなければ実現できない。

過度な合議主義、合理主義は農作物のようにイールドを産まず、製造業のように他国に輸出もできないゴールドの保有を拒み国の金保有量を減らそうとする。実際一人一人の人が集まってみんなで相談して決めると、ゴールドに価値はないので米国債やS&Pを購入するべきという結論になってしまいそうだ。しかしながら、次の革命は必ずゴールドの物性を見極めたものが起こす。

金(ゴールド)は、物理資産である前に、人類文明の“基底計算資源(Foundational Computational Resource)=Semiotic Core”である。

そして通貨、国家、技術、信用、企業経営はすべて、このSemiotic Coreの変容形態(擬似デリバティブ)として発展してきたのだ。パテックを一代で所有できないのと同様、ゴールドの価値は自分の世代のことしか考えていない人たちにとって理解することができない。しかし、地球の富を子孫に承継するという観点で国づくりをする人たちにとって、ゴールドは最も適した物性モデルと言えるのである。国債、株式、不動産、ワイン、時計、AIに至るまで、あらゆるアセットクラスはその名の通り、ゴールドのデリバティブであり、日本語でデリバティブを訳すと「金」融派生商品となる。金の物性を溶かしてシステムのコアに組み込むというメタファーは単語の響きにも現れている。