TANAAKKのチャレンジ
v1 Aug 3rd 2023
Shoichiro Tanaka
TANAAKKビジネスが1,000名を超えるステークホルダーに拡大する過程で当初の経営指針が正しく普及しづらくなっていることから、現在の経営指針に至るまでの経緯を記す。
一般的なプロフェッショナルサービス業の課題
一般的な経営コンサルティング会社やITコンサルティング会社、M&Aアドバイザリー会社やコーポレート系法律事務所などには資金支払主体とリターンの受益主体が異なっているというファイナンシャルストラクチャ上の利益相反がありました。一般的なプロフェッショナルサービスの提供会社は表面上、成果にコミットする、クライアントに伴走するとうたっているものの実際のところ、「成果」が何を意味するのかの定義づけがされていなく、チーム参加メンバーの一人一人が予算を増やす、部下を増やす、部署間競争などの拡大欲求や、褒められる、頼りにされるなどの感情的報酬、少し他の人より給与をもらっていることで優越感を、少し仕事の手をぬくことで納得感を得るなど別の「成果」を求めてしまっている。経営に必要とされる本来の「成果」とは毎日の事業活動と習慣により、増収、増益、営業キャッシュフローの増加による増配及び株式価値の向上を指すものだというにも関わらず。
1USDが1USD以上の投資対効果になっているか
一般的なコンサルティング会社と称される企業に支払いされる業務項目について、明確なBusiness ROI Verification、ビジネス投資対効果ベリフィケーション(支払いの正当性)はどの程度されているでしょうか?支払いの正当性とは、その支払いが付加価値を生み、1USドルの支払いが1USドル以上の純利益を生んでいる場合にのみステークホルダーに承認されるのが一般的です。あえてドルを基軸通貨に選んでいる理由は世界で最も流通しているReserveCurrencyが基軸通貨としての普遍的なベンチマーク価値を現時点で持っているからです。
まやかしの「戦略」という単語を使わない
タナークでは、「コンサルティング」や「コンサルタント」、「戦略」という明確な特定の状態、対象をもたない「それ」という代名詞のような言葉は基本的にタイムチャージの労働集約型作業に対する、高額すぎる報酬を正当化しているにすぎない意味のない単語とみなしています。タナークでは支払いの正当性を常にBS、PL、CFに回帰させ、「増収」「増益」「営業キャッシュフローの増加」「サステナブル(持続的)な株式価値の向上」「増配」という明確な状態を表す言葉に変換し、企業価値の向上に直結するアクションを評価、それ以外のアクションを無駄として省いていく企業運営方式をとっています。
増収、増益、営業キャッシュフロー増加による増配のみが真の企業成果
上記のような一般的に理解されている「コンサルティング」方式でサービスを提供してしまうと、自社の活動によって、クライアント企業の増収増益があったとしても、それが偶然よい企業(増収増益し、営業キャッシュフローを増大させている企業)と取引をしたという相関関係があるのみで、自分達と取引しなくても成長する企業にただ寄生していただけかもしれない可能性を残している。つまり、クライアント企業の増収増益は自社が引き起こした事象ではなく、自社のアクションとクライアントのビジネス成果に因果関係がない可能性がある。自身の活動が、巡り巡って企業価値に紐づいているかを検証することは、言うは易しではてしなく困難な試みであり、一般的にプロフェッショナルサービスの課金類型は増収増益という効果検証手法を持たない以下の課金方式を通例としている。※TANAAKKでは以下の従来の課金課題を解消する事業運営方式をとっている、後述。
従来の「コンサルティング」ビジネス類型
人月単価のサービス時間課金コンサルティング
一般的なコンサルティング会社はこの形を取ることが多く、稼働率が最低60%くらいになるリスクを想定して、月額給与水準の2−3倍の費用を顧客に人月として請求する。基本的に人員がいないと成り立たない労働集約型。作業完結で費用が請求され、増収増益、営業キャッシュフローの増加という経営指標に対する明確な計測や因果関係は要求されない。
成果報酬型コンサルティング(業務完結型)
工事作業の進捗に応じて料金を請求する請負に近いコンサルティング提供形態。調査レポートの納品やITシステムのインテグレーションなどの工事進行ベースの作業完結で費用が請求され、増収増益、営業キャッシュフローの増加という経営指標に対する明確な計測や因果関係は要求されない。
成果報酬型コンサルティング(資本連動型)
労働集約型ではあるが、移動する資本総額の3%などマージンレートを決めて業務実施するため、取引金額が大きくなると人員あたりの限界利益が大きくなる。不動産やM&A、法律の訴訟などで用いられる。実態として労働集約型だが、供給者が少ないので資本取引額の○%でマージンが取れているに過ぎない。市場参加者が増えたり、取引が反復するとマージン%が下がるか中間者は排除されてしまう。あるいは時給制のサービス提供者に戻ってしまう。作業完結で費用が請求され、増収増益、営業キャッシュフローの増加という経営指標に対する明確な計測や因果関係は要求されない。
成果報酬型コンサルティング(コスト削減型)
こちらも労働集約型ではあるが、コスト削減対象の光熱費やITインフラ費用、リストラクチャリングする人件費の5%など成功指標を決めて業務開始する。手付金と成功報酬を分けるなどの収益形態が一般的。こちらも供給者が少ないので%で取れているに過ぎない。市場参加者が増えると%が下がるかあるいは時給制に戻ってしまう。作業完結で費用が請求され、増収増益、営業キャッシュフローの増加という経営指標に対する明確な計測や因果関係は要求されない。
高い目標を設定するハードル
自分達の毎日の意志決定や企業活動、習慣が増収増益に対して因果関係が認められるときにのみ、増収増益するプロセス及び結果から支払いをしてもらうという、明確なアカウンタビリティを持った課金手法とデータマネジメントを追求しているのがタナークです。
高いハードルを設定するメリット
高いハードルを設定することのメリットは、社内チーム及びサービス提供先クライアントのコスト意識が向上し、事業全体が良い方向=ステークホルダーに承認されるハイパーグロースの方向に進むということです。
高いハードルを設定するデメリット
デメリットは、真に増収増益、営業キャッシュフローの増加、株式価値の向上、増配という結果を作れる企業は1万社に1社ほどしか存在せず、周囲から観測する以上に大きな難題にチャレンジすることになるということです。また、ROEが低い仕事は農作物の間引きのように切り落とす必要があるので、従来の習慣を継続することでは達成できず、常に自分たちの習慣のどこかに間違えがあるという前提で自己否定を繰り返す必要があり、精神的にもタフさが要求されます。
他社よりうまくいっている場合にさらに高い目標を掲げるのが最も難しい
最も難しい判断は例えばROEが8%でているが、来年は8.1%になってしまうなど、収益性が落ちたとはいえず、さらに日本国内でベンチマークをすると上場企業約4万社の中でも上位10%の収益性成績を上げてしまっているケースです。この場合、経営者は賞賛されることになってしまい、通常それ以上の成果を求める声は上がっても、すでに大きな純利益を上げており、さらに収益率が改善している企業の収益性をさらに10倍に高めろという株主の声を聞いてくれる上場企業の取締役陣は基本的にはいません。S&P500ベンチマークに求められるような14%以上のROEや、Appleに見られるような100%以上のROEを日本企業の経営陣が文字通り全ての資本と時間をかけて自己犠牲をして目指すことは多くの場合、インセンティブ設計不足の観点もあることから現実的に困難です。
Growth-as-a-Service®︎
営業キャッシュフローデータマネジメント
TANAAKKではクライアント企業の増収、増益、営業キャッシュフローの増加による増配及び株式価値向上という経営成果を得るために必要な一連のチームパフォーマンスの評価メトリクス及びデータプラットフォームを保有することで、社内、社外ともに規律を持った経営ができるよう尽力しています。
1
グロースデータマネジメント
プロジェクトがはじまってから1年以内にすべての支出、収入データ及び一人一人の社員の行動データを計測可能にする。
2
ROIレビュー
受け取った支払いに対して、どれだけの増収増益結果を生んだのか、四半期に1回のペースでクライアントと評価を実施する。
3
ベンチマーク評価と目標設定
計測したKPIがベンチマークよりも上回っていることはもちろん、ベンチマークを上回っている場合、さらなる挑戦的な目標をチーム内で合意し設定する。
HITSERIES®︎EquityOps(EquityOperation)
上記アクションによる営業キャッシュフローの創出に加えて、デット、エクイティによる資本戦略としてHITSERIES®︎EquityOpsを用意し、営業キャッシュフローを元本として、どれだけの資本的信用創造ができたのか?(デット、エクイティによる資金調達可能性と結果)を明確に計測し、コントロールしています。このような包括的なGrowth-as-a-Service®︎を提供するような「コンサルティング会社」は存在せず、一般的にはそのような会社はコングロマリット、事業会社や製造小売業と呼ばれています。
キャッシュを失った人は泣き寝入りするしかないのか?
増収増益という明確な成果に繋がらないプロジェクトを引き受けてしまうと、クライアントも長い時間の経過後に落胆し、後悔する結果になる。しかしながら法律上はだれもせめることができず、失われたキャッシュにたいして泣き寝入りするしかなくなる。これはクライアント企業だけが損をし、サービス提供主体は損をしないように見えるが、現実は機会損失を生んでいることが大半だ。例をあげると増収増益に結びつかないプロジェクトを任されていたタナークの社員は成果が出せない数年間を過ごすことになり、一人の人生の貴重な時間(金銭に変えられない価値ある資産)を失う。数字は思いの外正しいので、1ヶ月や2ヶ月くらいの減収減益でも、社内をしらみつぶしに探さなければいけないほど多くの原因が潜んでいる。実際、グローバルな経済合理性が働いていない企業は明確にS&PやNASDAQINDEXに比べてROEやBPS,EPS成長の観点でアンダーパフォームし、グローバルな経済合理性を働かせている企業は明確にアウトパフォームしている。
フリーライダーやフェイクワーカーに受益権を渡してはいけない
そもそも本来リスクテイクした支払主体と受益者は一致すべきはずで、大型の資本を動かした支払い主体が、たまたま大型資本が動く市場にいただけの参加者に%で計算した巨額の費用を支払う合理性はない。リスクプレミアムはリスクテイク主体が得るべきなので、複雑でテクニカルな%理論にけむをまいて本来バリューを発揮していない人たち(フリーライダー)や、将来性リスクに対して資金、時間などの支出をしていない人(Fake Worker)がリターンを得るべきではない。
言い換えると、リスクテイクにチャレンジした人の回りにたまた寄生した人がリターンを得るべきではない。こういった市場の不均衡や経済不合理性は10年単位の長い時間をかけて徐々に消えていくものと思われる。
サステナビリティ、グリーン投資の課題点
クリーンエネルギーやグリーン調達について、地球レベルで取り組まないと大きな経済的損失が生まれる可能性が高いという議論はある程度正しいとして、その実施手法として、低金利で借入をして、利益回収の見込みのない投資を繰り返したり、無作為に担当者を増やしてCO2排出量を大きなコストをかけて可視化するのは、そのさきに紐づく営業キャッシュフロー増加の可能性がある場合は続けても構わないし、続くと思うが、営業キャッシュフロー減少の一途で、黒字転換の見込みがない場合は1、2年の体力で尽きてしまうだろう。重要なことは、グリーンアジェンダについて地球規模の損失回避に加えて、1単位の企業の増収、増益、営業キャッシュフローの増加が伴っていないと、一時的なブームで終わる。また、それがグローバルベンチマークのROEパフォーマンスを優っていないと、産業転換は起きないことも留意したい。
トップマネジメントの役割
1.共通ゴールを示し、利益コンフリクトを解消する
増収、増益、営業キャッシュフローの増加による増配、株式価値の継続的な向上(一株あたりの純資産BPS、一株あたりの純利益EPSの増加)、プロフィットマージンの増加、ROEの増加など、グローバルで普遍的とされる企業活動により求められる社会的なアウトプットを実現するためには、部署間の不要な競争や、顧客と自社との利益コンフリクトをトップマネジメントが解消する必要があります。例えば、クライアントだけが得をして、自社が損をするケースが最も難しい経営判断です。その損失、投資に対して明確なリターンが認められればリスクをチーム内で合意した上で引き受けるべきですが、顧客への請求に転嫁できないようなシャドーワークが増えてしまうことは、結果的に利益創出にかける時間や集中力を削ぐことになってしまうため、断るべきケースが多いのが一般的でしょう。
2.フリーライダーを排除し、フェイクワーカーを追放する
営業キャッシュフローの増大という共通ゴールを達成できない場合、損をするのは自社であり、自社の社員です。民主主義の勤労、教育、納税の義務と同じように、社会生活をする上で誰かの仕事の上にフリーライドすることは簡単には許されず、誰かの時間や労力の犠牲の上に利得を得ているフリーライダーや、付加価値のでない仕事に一生懸命取り組むことで、異議を挟ませないフェイクワーカーは特に見つけるのが難しい擬態者です。このような、他人の労働意欲を削ぐようなマイナス要因は重要ポジションに置くべきではなく、なおかつ誰かの目に触れるようなところにおくべきでもありません。改善の余地が認められそうな部下にはフリーライドの習慣や、フェイクワークの習慣を発見し、指導することも必要とされます。
3.上位1%の成果に集中して、事業エコシステムを拡大する
トップマネジメントに陥りやすいトラップは、通常大きく拡大していく組織の妨害をしてしまうことでしょう。物理法則は全てがトレードオフの制約条件の上に成り立っています。一人の人間が取り組むことのできる課題はほとんどないと言っていいくらい小さいものです。トップマネジメントの役割は、労働時間を増やして組織の穴を埋めることではなく、組織の穴になるであろう項目を化学記号の表のようにあらかじめ想定し、社内の情報流通及び社外の情報流通を活性化させ、拡大させていく過程においてファンダメンタルとなる要素を発見し、重要人物をリストアップし、リソースを集中させることです。
平均点を高めるのではなく、最高得点者を重んじる
よくある組織の間違いは、増収したての組織で営業成績に社員間で差がついてしまった場合に、業績の良い社員に業績の悪い社員を指導させたり、チーム全体でボトムアップの取り組みをすることです。教育現場など、数年間毎日顔を合わせる人たちがうまく生活していく条件下では平均点を高める方法が正しい判断なのかもしれませんが、少ないリソースで市場の競争相手となる最大手のコングロマリットと戦っていくために、平均点を高める方法は得策ではありません。資本が多い主体の方がそれを得意としてしまうからです。資本が少ない新規事業、成長事業主体が取り組むべき課題は、最もパフォーマンスが上がっている社員の成果をさらに10倍に増やすにはどうしたら良いかです。どのような成長ビジネスもほとんどが2割の上位顧客により成り立ち、成熟事業に至っては例外があるケースはありますが、成長事業については2割の法則にほぼ例外がありません。感覚的にはうまくいっている上位1%の事象に全てのリソースを投下するような極端な考え方でも良いでしょう。
行動と習慣に対しての適切な判別と階層化を実施する
成果が出ている人と、成果が出ていない人を一緒くたに扱って何かの物事に取り組ませるということは、水と油を混ぜようとして、混ざらないのと同じです。ビジネスには乳化剤はないと考えた方が良く、営業キャッシュフローという成果に繋がっている人の行動や習慣を重んじ、取り上げ、そうでない人の行動や習慣は軽んじる必要があります。グローバル経営の銀行は顧客を資産区分によって明確に区別します。グローバル経営のプライベートバンクはUltraHighNetWorth未満の一般顧客のところには絶対に営業に行きません。最重要顧客に紹介されたとしても、目の前の人の資産が企業で規定された足切りラインより低い場合は相手にしないでしょう。それが互いにとって時間、労力の観点で無意味だと知っているからです。収益につながる行動、習慣、パーソナリティの明確な判別が企業の競争力と収益力を産むのです。
ビジネスモデルの変遷
TANAAKKはより付加価値の高い上流工程と、必需サービスである下流工程を組み合わせたハイパーグロースを可能とするGrowth-as-a-Service®︎データプラットフォームを提供しています。リスクテイク主体と利益享受の主体を一致させることでファイナンシャルコンフリクトを避けるための工夫が組み込まれています。
このビジネスモデルの転換により、TANAAKKはROE100%以上をハードルレートとしたプロジェクト選択ができるようになり、高付加価値でない領域についてはリソースを割かないという明確な経営意思決定ができるようになっています。クライアントの増収増益結果にも明確に反映しており、一部のクライアントでは前年同月比10倍以上の増収増益も実現しています。
1
調査コンサルティング業
2013年〜2021年
TANAAKKの事業は初期投資の少ない労働集約型の市場調査及び中小企業のコンサルティング業から始まりました。現在提供はしていませんが、HITSCAN®︎、HITPLAN®︎という業務名称が残っています。
2
パッケージソフトウェア業
2021年〜2023年
市場調査業を反復するうちに、市場成長30%以上の事業領域が特定できるようになり、成長性の高い新規事業領域においてハイパーグロースを実現するGrowth-as-a-Service®︎を2021年から提供し始めました。
3
事業投資会社
2022年〜
ハイパーグロースするための一連のデータインフラを保有し、自社の意思決定でコントロールすることができるようになった現在では、ジョイントベンチャーのような形で自己勘定によるプリンシパル投資を実施し、Growth-as-a-Service®︎を提供する形を基本形としています。